【シボレー カマロSS 試乗】“直線番長”だと思ったら大間違い…諸星陽一
シボレーにはブランドを代表するスポーツモデルが2機種ある、2つは『コルベット』、もう1つが今回試乗した『カマロ』だ。カマロは1967年に初代モデルが登場、現行モデルは2015年にアメリカで発表され2016年から日本でも販売されている。
コルベットがV8エンジンのみ(初代にのみ直6モデルが存在した)のラインアップであるのに対し、現行カマロは直4、V6、V8とさまざまなパワーユニットが用意(日本には直4は輸入されない)される。今回試乗したモデルはもっともホットなV8仕様の「SS」で、6.2リットルの排気量を有し最高出力は453馬力、最大トルクは617Nmと歴代カマロ最強のユニットとなっている。
このエンジンの面白いところは、弁動系をクラシカルなOHVにこだわったところ。アメリカンV8らしいOHVでありながら、可変バルブタイミングを採用するなどして、出力や燃費、エミッションを向上している。組み合わされるミッションは8速ATとなる。
サスペンションはフロントがストラット、リヤがマルチリンクで、SSはパフォーマンスサスとマグティックライド(磁性体を利用した可変ダンパー)、LSD、ローンチコントロール、前後ブレンボブレーキなど走りの装備が満載されている。
左ハンドル仕様のみのドライバーズシートに座り、エンジンを始動。セレクターをDに入れアクセルを踏み込むと、アメリカンV8らしい怒濤の加速を味わうことができる。停止状態からアクセルを床までいきなり踏み込むのはかなり危険だ。だからこそローンチコントロールがついてるのだろう。
さらに言えば、V6搭載のカマロは前後ともに245/40R20サイズのタイヤを履くが、このSSはリヤが275/35ZR20と3サイズも太くなっている。V6で前後同サイズが使えるということはシャシーバランス的には同サイズでいいわけだ。V8はフロントが重くなるので出力を考えなければそのままでもいいくらいなのに、リヤが3サイズ大きい。これは紛れもなく出力があまり大きいため、サイズ差でカバーしなければならなかったからだ。
高速道路を走っていると、太いタイヤを履いているとは思えないような安定した直進性とフラットな乗り心地にびっくりさせられる。そしてさらにいいのがコーナリングだ。路面の追従性が高く、ピシッとボディを安定させて俊敏にコーナーを抜けていく。公道で600Nmを超えるトルクを思う存分リヤタイヤに与える勇気はなかったが、それを行えばさらにアクティブな走りを手に入れることができるだろう。
決して直線番長ではない、ハンドリングカーとして楽しめるのがカマロSSだ。価格は598万円。決して安くはないが、日産『GT-Rブラックエディション』の半額以下と考えるとその魅力は高い。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
(レスポンス 諸星陽一)
コルベットがV8エンジンのみ(初代にのみ直6モデルが存在した)のラインアップであるのに対し、現行カマロは直4、V6、V8とさまざまなパワーユニットが用意(日本には直4は輸入されない)される。今回試乗したモデルはもっともホットなV8仕様の「SS」で、6.2リットルの排気量を有し最高出力は453馬力、最大トルクは617Nmと歴代カマロ最強のユニットとなっている。
このエンジンの面白いところは、弁動系をクラシカルなOHVにこだわったところ。アメリカンV8らしいOHVでありながら、可変バルブタイミングを採用するなどして、出力や燃費、エミッションを向上している。組み合わされるミッションは8速ATとなる。
サスペンションはフロントがストラット、リヤがマルチリンクで、SSはパフォーマンスサスとマグティックライド(磁性体を利用した可変ダンパー)、LSD、ローンチコントロール、前後ブレンボブレーキなど走りの装備が満載されている。
左ハンドル仕様のみのドライバーズシートに座り、エンジンを始動。セレクターをDに入れアクセルを踏み込むと、アメリカンV8らしい怒濤の加速を味わうことができる。停止状態からアクセルを床までいきなり踏み込むのはかなり危険だ。だからこそローンチコントロールがついてるのだろう。
さらに言えば、V6搭載のカマロは前後ともに245/40R20サイズのタイヤを履くが、このSSはリヤが275/35ZR20と3サイズも太くなっている。V6で前後同サイズが使えるということはシャシーバランス的には同サイズでいいわけだ。V8はフロントが重くなるので出力を考えなければそのままでもいいくらいなのに、リヤが3サイズ大きい。これは紛れもなく出力があまり大きいため、サイズ差でカバーしなければならなかったからだ。
高速道路を走っていると、太いタイヤを履いているとは思えないような安定した直進性とフラットな乗り心地にびっくりさせられる。そしてさらにいいのがコーナリングだ。路面の追従性が高く、ピシッとボディを安定させて俊敏にコーナーを抜けていく。公道で600Nmを超えるトルクを思う存分リヤタイヤに与える勇気はなかったが、それを行えばさらにアクティブな走りを手に入れることができるだろう。
決して直線番長ではない、ハンドリングカーとして楽しめるのがカマロSSだ。価格は598万円。決して安くはないが、日産『GT-Rブラックエディション』の半額以下と考えるとその魅力は高い。
■5つ星評価
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インテリア/居住性:★★★
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オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
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