【三菱 エクリプスクロス 試乗】マジメにユーザーのことを考えてくれている…岩貞るみこ
うーわっ、なんだこれ、走りやすい!走り始めて30秒もたたないうちに、体温急上昇である。
コーナーでハンドルをきると、ぐいぐいとコーナーの先に向かう。というか、コーナリングの途中でも、安心してアクセルが踏めるのである。ええ、私、運転が下手です。コーナーを走るときは、ものすごく緊張します。そんな私ですら、上体がぶれることなく、コーナーの出口に向かってハンドルをきり続け、さらにアクセルを踏みながら、安定した状態で走れるってどういうことなんだろう=どうにもこうにも、これが技術者の汗と涙の結晶である。
SUVスタイルは、乗員がいるスペースと荷物を載せるスペースがいっしょで、つまり、四角い箱のようなもの。コーナーを曲がるときはボディがよれやすい。よれるとなぜか、中で運転している人も、上体がよれる。しかし、ミツビシの溶接技術で、よれない箱を作り上げたようだ。よれずに、前に走る力をしっかりとタイヤに伝えた分、気持ちよくコーナーを走れるというわけだ。
走りやすさを具現化しているもうひとつの立役者は、変速プログラムである。今回は、8速CVTなのだが、これが実にいい仕事をするのだ。道のアップダウンや速度の変化に応じて、ギアの選び方が超を超えるくらい適切で、ずーっと力強いトルクを感じていられる。いじわるをして、アクセルをオフにしたり、あれこれやってみるのだが、常に、一番気持ちよく走れる状態を作ってくれるのである。おみごと!
特に、潔いのは、ノーマルモードでこの気持ちよさを作り上げたこと。最近は、スポーツモードにすれば気持ちいいけれど、ノーマルにもどすとぐだぐだになるクルマが出没するなか、『エクリプスクロス』はノーマルモードできちんと気持ちよく走れ、エコを考えるならエコモードに切り替える仕様にしているのだ。
これ、なにが違うのかというと、カタログに載せる数字は、ノーマルモードで計測する。つまり、燃費を強調したいのであれば、ノーマルモードの走りをだらだらにして、スポーツモードできちんと走るようにすればいいわけだ。ところが、ミツビシは、その手段はとらなかった。燃費の数値が落ちようとも、あくまでもノーマルで快適に走れるようにしたのである。
このところは特に燃費で選ぶ人が多いので、不利なんじゃないですか?そう尋ねてみると、「ミツビシの4WDの走りに期待してくれている人が多いので、落胆させたくないんです」とのこと。落胆させたくない、という言葉が、ここ数年のミツビシをとりまく事情と重なって、なんだかぐっときたけれど、でも現場の開発者はマジメにがんばっているのである。
もうひとつ、マジメ部分を書くと、ドアを開けて乗り降りするときに、足元(ふくらはぎの裏側あたり)が泥はねで汚れないよう、ドアが下まで覆ってくれていること。ドアを大きくする=重くなる=走りに不利、ではあるものの、あえて、女性ユーザーを含め、泥や雨の日を考慮してくれたあたり、やっぱりマジメにユーザーを考えてくれているなあと、ほっとするのである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。
(レスポンス 岩貞るみこ)
コーナーでハンドルをきると、ぐいぐいとコーナーの先に向かう。というか、コーナリングの途中でも、安心してアクセルが踏めるのである。ええ、私、運転が下手です。コーナーを走るときは、ものすごく緊張します。そんな私ですら、上体がぶれることなく、コーナーの出口に向かってハンドルをきり続け、さらにアクセルを踏みながら、安定した状態で走れるってどういうことなんだろう=どうにもこうにも、これが技術者の汗と涙の結晶である。
SUVスタイルは、乗員がいるスペースと荷物を載せるスペースがいっしょで、つまり、四角い箱のようなもの。コーナーを曲がるときはボディがよれやすい。よれるとなぜか、中で運転している人も、上体がよれる。しかし、ミツビシの溶接技術で、よれない箱を作り上げたようだ。よれずに、前に走る力をしっかりとタイヤに伝えた分、気持ちよくコーナーを走れるというわけだ。
走りやすさを具現化しているもうひとつの立役者は、変速プログラムである。今回は、8速CVTなのだが、これが実にいい仕事をするのだ。道のアップダウンや速度の変化に応じて、ギアの選び方が超を超えるくらい適切で、ずーっと力強いトルクを感じていられる。いじわるをして、アクセルをオフにしたり、あれこれやってみるのだが、常に、一番気持ちよく走れる状態を作ってくれるのである。おみごと!
特に、潔いのは、ノーマルモードでこの気持ちよさを作り上げたこと。最近は、スポーツモードにすれば気持ちいいけれど、ノーマルにもどすとぐだぐだになるクルマが出没するなか、『エクリプスクロス』はノーマルモードできちんと気持ちよく走れ、エコを考えるならエコモードに切り替える仕様にしているのだ。
これ、なにが違うのかというと、カタログに載せる数字は、ノーマルモードで計測する。つまり、燃費を強調したいのであれば、ノーマルモードの走りをだらだらにして、スポーツモードできちんと走るようにすればいいわけだ。ところが、ミツビシは、その手段はとらなかった。燃費の数値が落ちようとも、あくまでもノーマルで快適に走れるようにしたのである。
このところは特に燃費で選ぶ人が多いので、不利なんじゃないですか?そう尋ねてみると、「ミツビシの4WDの走りに期待してくれている人が多いので、落胆させたくないんです」とのこと。落胆させたくない、という言葉が、ここ数年のミツビシをとりまく事情と重なって、なんだかぐっときたけれど、でも現場の開発者はマジメにがんばっているのである。
もうひとつ、マジメ部分を書くと、ドアを開けて乗り降りするときに、足元(ふくらはぎの裏側あたり)が泥はねで汚れないよう、ドアが下まで覆ってくれていること。ドアを大きくする=重くなる=走りに不利、ではあるものの、あえて、女性ユーザーを含め、泥や雨の日を考慮してくれたあたり、やっぱりマジメにユーザーを考えてくれているなあと、ほっとするのである。
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オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。
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