【三菱 エクリプスクロス 試乗】「C-HR」との決定的な差は、開放感と室内の広さ…丸山誠
『エクリプスクロス』は、三菱にとって久々の新型車ということでかなり力が入っている。説明によるとクロスオーバーSUVラインアップに新たに加わったコンパクトモデルだという。
コンパクトというなら『RVR』の後継モデルと思ってしまうが、じつはRVRは販売を継続していて、上級車の『アウトランダー』の下に位置するのがエクリプスクロスらしい。ポジショニングが今いちはっきりしないが、スタイリッシュなクーペフォルムによるスポーティなSUVというのが特徴だ。確かに横から見るとウエッジシェイプが効いていて、ルーフがリヤウインドーに向かってなだらかに弧を描くスタイルはクーペに近い。
搭載エンジンはダウンサイジングターボの1.5リットル直4・直噴MIVEC DOHCにINVECS-IIIの8速スポーツモードCVTの組み合わせで、全グレードにFFと4WDのS-AWCを設定。試乗車は最上級グレードのGプラスパッケージのS-AWC(309万5280円)。専用に開発したというイメージカラーのレッドダイヤモンド(7万5600円のオプション)が美しく輝いている。試乗時はあいにくの雨だったが、暗い日差しのなかでもキャラクターラインがきれいに浮かび上がり、目が覚めるような美しいレッドだ。
試乗は、三菱のエンジニアも同乗して、3人でのドライブ。アクセルを軽く踏むとスムーズにトルクが立ち上がり、ダウンサイジングターボらしい力強い加速感が得られる。2000回転から最大トルク240Nmを発揮するため市街地でもちょっとアクセルを踏み込むだけで周りをリードできるほど余裕がある。通常の試乗は1人で行うことが多いが、3人乗車でも市街地での動力性能に不満はない。
首都高のETCゲートまで上り坂が続く場面でアクセルを踏み込むと、トルクフルでかなり元気な加速感。これは調子がいいと思っていると6000回転手前からトルクが落ち込んで、それまでの伸び感がなくなり頭打ち傾向になってしまう。もう少し高回転域の伸び感があればさらに気持ちいいはずだが、これには事情があるようだ。
エンジン自体は、本来もう少し高回転域まで回せて最大トルク300Nmを発揮する実力があるという。だが、組み合わせたCVTのキャパシティが240Nmだったため、それに合わせて高回転域を切ってしまったようなのだ。そのため伸び感がもう一歩というフィールだ。
それと直噴と前述したが、このエンジンは全域でポート噴射を併用するタイプ。直噴だけにしなかったのは、過去の苦い経験。三菱はGDIで量産車初の直噴を実現したが、カーボン堆積などのトラブルが起きてしまった。久々の新車ということもあって安全側に振って、ポート噴射を併用したようだ。それにPM削減という排ガス対策の効果も狙っている。
3人乗車ということもあって運転を交代して、後席の乗り心地を試すと前席と同様、段差を通過しても直接的なショックが伝わってこないため快適。クーペフォルムのため頭上の開放感が心配だったが、身長170cmくらいの人でも余裕があり、足下の広さも十分だった。トヨタの『C-HR』との決定的な差は、開放感と室内の広さだ。C-HRはサイドウインドーから横の景色が見えにくいが、エクリプスクロスは視界がいいため、後席に座ることが多い家族には好評なはずだ。
ちょっと残念だったのは後席での騒音。特にロードノイズが荷室から聞こえてくるのだ。オプションのトノカバー(2万0152円)を装着していたが、シートバックとトノカバーとの間に30mmほどのが隙間があるためノイズが耳に届きやすい。
ACCを含めた先進安全装備eアシストは、Gグレード以上に標準装備と現在の水準をクリアしていそうに見えたが、なぜか普段使いで便利な先行車発進のお知らせ機能がないのが残念。それにこのタイミングならレーンキープも搭載してほしかった。
これらの“惜しいポイント”は、追加されるPHEV(アウトランダーPHEVと同じシステムになるらしい)の登場時には改良してもらいたい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。
(レスポンス 丸山 誠)
コンパクトというなら『RVR』の後継モデルと思ってしまうが、じつはRVRは販売を継続していて、上級車の『アウトランダー』の下に位置するのがエクリプスクロスらしい。ポジショニングが今いちはっきりしないが、スタイリッシュなクーペフォルムによるスポーティなSUVというのが特徴だ。確かに横から見るとウエッジシェイプが効いていて、ルーフがリヤウインドーに向かってなだらかに弧を描くスタイルはクーペに近い。
搭載エンジンはダウンサイジングターボの1.5リットル直4・直噴MIVEC DOHCにINVECS-IIIの8速スポーツモードCVTの組み合わせで、全グレードにFFと4WDのS-AWCを設定。試乗車は最上級グレードのGプラスパッケージのS-AWC(309万5280円)。専用に開発したというイメージカラーのレッドダイヤモンド(7万5600円のオプション)が美しく輝いている。試乗時はあいにくの雨だったが、暗い日差しのなかでもキャラクターラインがきれいに浮かび上がり、目が覚めるような美しいレッドだ。
試乗は、三菱のエンジニアも同乗して、3人でのドライブ。アクセルを軽く踏むとスムーズにトルクが立ち上がり、ダウンサイジングターボらしい力強い加速感が得られる。2000回転から最大トルク240Nmを発揮するため市街地でもちょっとアクセルを踏み込むだけで周りをリードできるほど余裕がある。通常の試乗は1人で行うことが多いが、3人乗車でも市街地での動力性能に不満はない。
首都高のETCゲートまで上り坂が続く場面でアクセルを踏み込むと、トルクフルでかなり元気な加速感。これは調子がいいと思っていると6000回転手前からトルクが落ち込んで、それまでの伸び感がなくなり頭打ち傾向になってしまう。もう少し高回転域の伸び感があればさらに気持ちいいはずだが、これには事情があるようだ。
エンジン自体は、本来もう少し高回転域まで回せて最大トルク300Nmを発揮する実力があるという。だが、組み合わせたCVTのキャパシティが240Nmだったため、それに合わせて高回転域を切ってしまったようなのだ。そのため伸び感がもう一歩というフィールだ。
それと直噴と前述したが、このエンジンは全域でポート噴射を併用するタイプ。直噴だけにしなかったのは、過去の苦い経験。三菱はGDIで量産車初の直噴を実現したが、カーボン堆積などのトラブルが起きてしまった。久々の新車ということもあって安全側に振って、ポート噴射を併用したようだ。それにPM削減という排ガス対策の効果も狙っている。
3人乗車ということもあって運転を交代して、後席の乗り心地を試すと前席と同様、段差を通過しても直接的なショックが伝わってこないため快適。クーペフォルムのため頭上の開放感が心配だったが、身長170cmくらいの人でも余裕があり、足下の広さも十分だった。トヨタの『C-HR』との決定的な差は、開放感と室内の広さだ。C-HRはサイドウインドーから横の景色が見えにくいが、エクリプスクロスは視界がいいため、後席に座ることが多い家族には好評なはずだ。
ちょっと残念だったのは後席での騒音。特にロードノイズが荷室から聞こえてくるのだ。オプションのトノカバー(2万0152円)を装着していたが、シートバックとトノカバーとの間に30mmほどのが隙間があるためノイズが耳に届きやすい。
ACCを含めた先進安全装備eアシストは、Gグレード以上に標準装備と現在の水準をクリアしていそうに見えたが、なぜか普段使いで便利な先行車発進のお知らせ機能がないのが残念。それにこのタイミングならレーンキープも搭載してほしかった。
これらの“惜しいポイント”は、追加されるPHEV(アウトランダーPHEVと同じシステムになるらしい)の登場時には改良してもらいたい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。
(レスポンス 丸山 誠)
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