【ポルシェ 718ボクスターGTS 試乗】扱いやすさと底知れぬパワーが共存…九島辰也
このところスポーツの機運が高まっている。そりゃそうだ。今年はサッカーW杯、来年はラグビーW杯、そして2020年には東京オリンピック、パラリンピックが開催されるのだからそうならない方がおかしい。皇居周辺にはジョギングを楽しむ人が溢れ、テレビ番組には様々なジャンルのアスリートが出演しているのも自然なことだ。
もちろん、こうした流れはここ数年続いていて、多くのスポーツイベントが行われ企業が協賛している。今回軽井沢で行われた「第14回ポルシェ軽井沢フューチャーズ2018」もそのひとつ。第12回大会からポルシェがスポンサーしている。
軽井沢フューチャーズは国際テニス連盟、日本テニス協会が公認する競技会で、主催は軽井沢テニス協会が行っている。シングルスとダブルスがあり、賞金総額は2万5000ドル。世界男子テニスツアーにおける下部ランクのトーナメント戦だ。若手選手は本大会で獲得したポイントを積み重ね、上位トーナメントを目指す。大会期間は9日間で、今回はシングルス準決勝、ダブルス決勝の土曜日に観戦に会場まで出向いた。
◆充実装備のニューモデル
その旅の足としたのが『718 ボクスター GTS』。昨年秋に発表され、この春に上陸したばかりの話題のモデルだ。というか、試乗車はデリバリーが開始されたばかりのおニュー。ポルシェ好きなら誰もが早くステアリングを握りたいと思ってしまうシロモノである。
そのパワーソースは、すでにお馴染みとなった“S”モデルの2.5リットル水平対向4気筒ターボユニットをスープアップしたもの。ボクスターSの350psに対し、最高出力は365psを発揮する。6500回転という高い回転数で発揮されることからも楽しさがうかがえるであろう。サスペンションは“S”モデルよりも10mm低くなり、タイヤは前後20インチのロープロタイヤを履く。ホイールはカレラSの10本スポーク。サテンブラック仕上げというのが嬉しい。赤いブレーキキャリパーが映える。
加えてPASM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメントシステム)やPTV(ポルシェ・トルクベクトリング)といった電子デバイスが最初から備わる。つまり、標準モデルのオプション項目がある程度装着されているという設定。逆にいえば、標準モデルでも速く快適に走らせるにはどの装備が必要なのかがこれでわかる。
エクステリアはフロントバンパーに備わる大型のエアインテークが存在感を際立たせる。只者でない雰囲気。そしてスモークのテールランプもそうだが、各所にブラックのアクセントが散りばめられるのがいい。精悍でシャープな印象だ。インテリアはアルカンターラを大胆に採用。ステアリングホイールもそうだし、シートセンター部にも使われていた。レザーとのコンビネーションはバッチリ。ドアを開けたときに目に飛び込んでくるヘッドレストに刺繍された“GTS”のロゴもたまらない。
◆レーシングカーの挙動も見せる
では、実際に走らせるとどうか。試乗車は6速マニュアルだったのではじめから気分は高揚する。ショートストロークのカチカチ決まるシフト操作は実に楽しい。ただ、よくよく考えると街中でのスタートや高速道路での標準的スピード域では、それほどスペシャルさは感じない。確かにエキゾーストサウンドは秀逸で、ハイグロスブラックに仕上げられたテールパイプからいい音は流れる。が、普通に走れば普通なのだ。要するに扱いやすい。
ところが、高速道路で前が少し空いた時に中間加速からグイッと踏み込むとクルマの性格が一変する。流れる景色の速度が早まり底知れぬパワーを実感する。この加速感は半端ない。また、ワインディングではそのままゴーカートというかレーシングカーの挙動を見せる。ドライバーを起点にロールを抑えながら左右に向きを変えていく様はそんな感じだ。しかも、加速すればするだけ安定感は増し、足が路面に貼りつくような挙動になるのもグッド。ミッドシップレイアウトの利点が全面に現れる瞬間だ。
なんて感じの718ボクスターGTSでスポーツドライビングしながらスポーツ観戦に向かう。すると軽井沢までの長い距離もそれほど苦ではなく楽しい時間に思えた。まさにスポーツカーの最大利点はここかも知れない。オーバースペックの走りが、疲れないロングドライブに効果覿面ってことであろう。
<協力:ポルシェジャパン>
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。
(レスポンス 九島辰也)
もちろん、こうした流れはここ数年続いていて、多くのスポーツイベントが行われ企業が協賛している。今回軽井沢で行われた「第14回ポルシェ軽井沢フューチャーズ2018」もそのひとつ。第12回大会からポルシェがスポンサーしている。
軽井沢フューチャーズは国際テニス連盟、日本テニス協会が公認する競技会で、主催は軽井沢テニス協会が行っている。シングルスとダブルスがあり、賞金総額は2万5000ドル。世界男子テニスツアーにおける下部ランクのトーナメント戦だ。若手選手は本大会で獲得したポイントを積み重ね、上位トーナメントを目指す。大会期間は9日間で、今回はシングルス準決勝、ダブルス決勝の土曜日に観戦に会場まで出向いた。
◆充実装備のニューモデル
その旅の足としたのが『718 ボクスター GTS』。昨年秋に発表され、この春に上陸したばかりの話題のモデルだ。というか、試乗車はデリバリーが開始されたばかりのおニュー。ポルシェ好きなら誰もが早くステアリングを握りたいと思ってしまうシロモノである。
そのパワーソースは、すでにお馴染みとなった“S”モデルの2.5リットル水平対向4気筒ターボユニットをスープアップしたもの。ボクスターSの350psに対し、最高出力は365psを発揮する。6500回転という高い回転数で発揮されることからも楽しさがうかがえるであろう。サスペンションは“S”モデルよりも10mm低くなり、タイヤは前後20インチのロープロタイヤを履く。ホイールはカレラSの10本スポーク。サテンブラック仕上げというのが嬉しい。赤いブレーキキャリパーが映える。
加えてPASM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメントシステム)やPTV(ポルシェ・トルクベクトリング)といった電子デバイスが最初から備わる。つまり、標準モデルのオプション項目がある程度装着されているという設定。逆にいえば、標準モデルでも速く快適に走らせるにはどの装備が必要なのかがこれでわかる。
エクステリアはフロントバンパーに備わる大型のエアインテークが存在感を際立たせる。只者でない雰囲気。そしてスモークのテールランプもそうだが、各所にブラックのアクセントが散りばめられるのがいい。精悍でシャープな印象だ。インテリアはアルカンターラを大胆に採用。ステアリングホイールもそうだし、シートセンター部にも使われていた。レザーとのコンビネーションはバッチリ。ドアを開けたときに目に飛び込んでくるヘッドレストに刺繍された“GTS”のロゴもたまらない。
◆レーシングカーの挙動も見せる
では、実際に走らせるとどうか。試乗車は6速マニュアルだったのではじめから気分は高揚する。ショートストロークのカチカチ決まるシフト操作は実に楽しい。ただ、よくよく考えると街中でのスタートや高速道路での標準的スピード域では、それほどスペシャルさは感じない。確かにエキゾーストサウンドは秀逸で、ハイグロスブラックに仕上げられたテールパイプからいい音は流れる。が、普通に走れば普通なのだ。要するに扱いやすい。
ところが、高速道路で前が少し空いた時に中間加速からグイッと踏み込むとクルマの性格が一変する。流れる景色の速度が早まり底知れぬパワーを実感する。この加速感は半端ない。また、ワインディングではそのままゴーカートというかレーシングカーの挙動を見せる。ドライバーを起点にロールを抑えながら左右に向きを変えていく様はそんな感じだ。しかも、加速すればするだけ安定感は増し、足が路面に貼りつくような挙動になるのもグッド。ミッドシップレイアウトの利点が全面に現れる瞬間だ。
なんて感じの718ボクスターGTSでスポーツドライビングしながらスポーツ観戦に向かう。すると軽井沢までの長い距離もそれほど苦ではなく楽しい時間に思えた。まさにスポーツカーの最大利点はここかも知れない。オーバースペックの走りが、疲れないロングドライブに効果覿面ってことであろう。
<協力:ポルシェジャパン>
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。
(レスポンス 九島辰也)
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