【トヨタ クラウン 新型試乗】「Gエグゼクティブ」実質これが新型マジェスタだ…中村孝仁
3サイズ、全長4910×全幅1800×全高1455mmである。全幅1800mmというところがミソで、今となってはCセグメントのハッチバック車ですら、『クラウン』の全幅を超えるものがいくつもある。
しかし、駐車スペースにおおらかな地方ならばともかく、都会では未だに駐車スペースの白線が狭いところなどいくらでもあって、関西に行けば「5ナンバー車以上入れません」などという看板を見かけることも…。勿論1800mmでもそうしたところは無理なわけだが、いわゆる落としどころとしての1800mmという全幅は、少なくとも日本の道路事情や交通インフラ事情を考えた時は、絶妙なのである。そしてクラウン、このクルマは日本専用に開発されたものであって、輸出はされていないのである。
と考えると、グローバルが闊歩する現代にあって、ある意味これほど贅沢なクルマはないわけである。日本人はとかく限定モノに弱い。クラウンはまさに日本限定の高級セダンなのである。
今回クラウンはボディが一本化された。で、一番困ったのはもしかすると旧型クラウンで最上級に位置していた『マジェスタ』のオーナーたちかもしれない。というのも、マジェスタは従来、後席重視でホイールベースを延長したいわゆるショーファーカーであったからだ。だが、1本化されたボディは、実はどちらかと言えば旧マジェスタに寄ったサイズ感を持っている。ホイールベースだけで見ると、マジェスタが2925mmであったのに対し、新しいクラウンは2920mmあるからだ。旧型クラウンが2850mmのホイールベースを持っていたことを考えれば、まさにこれはマジェスタの代わりと言って差し支えない。
そしてエンジン面でマジェスタの代わりを果たすのが、「Gエグゼクティブ」である。従来同様3.5リットルのV6(型式は異なる)エンジンとハイブリッドの組み合わせだ。そして最も大きな違いは、マルチステージハイブリッドシステムを組み合わせていること。これ自体は既にレクサス『LC500h』などにも採用されているメカニズムだが、トヨタ系への採用はこれが初めて。同時にトランスミッションもマルチステージハイブリッドトランスミッションを採用した。これもレクサスLC500hに使われているメカニズム。つまり、性能は異なれど、ドライブトレーンはレクサスLC500hそのものである。そしてあちらは最低でも1350万円。こちらは718万7400円から。そこだけを取り上げると実にリーズナブルである。
僕が食いついたのはマルチステージハイブリッドトランスミッション。実はまだレクサスには乗ったことがなくて、こいつを試すのはクラウンが最初となったためである。従来トヨタのハイブリッドは、動力分割機構と無段変速の組み合わせだったものだが、このマルチステージハイブリッドトランスミッションは、とりあえずメカニカルなトランスミッションを組み込み、それをマルチステージハイブリッド機構と組み合わせたもの。10速の変速を可能にするが、メカニカルには4速のトランスミッションであるという。縦置きエンジンのFR駆動に対応した技術ともいえるが、とにかくえらい進化である。
正直言うと、メカニズムの基本自体は良く呑み込めていない。とにかくこれまでは低速用と高速用だけだった変速が、4つになって疑似的な10速を構成しているということなのだが、今回も詳しく聞けなかったので、詳細についてはわからないが、試乗して実際に変速してみると、確かに10速ある。しかも、従来9速は乗ったことがあるが(メカニカルな)、これだと通常は100km/hになっても滅多なことでは9速に入らないが、疑似10速は60km/hでも10速に入る(当たり前か)ところが大きな違い。では、本格的にメカニカルな10速のようなステップを踏むかというと、そこは正直微妙というか踏んではいない。あくまでも疑似である。
それはともかくとして、3.5リットルV6とこいつの組み合わせは非常にスムーズでパワフルな走りを披露してくれるし、何より骨格がTNGAとなったことで、ドライビングそのものが楽しくなっている。マジェスタはショーファーカーだと書いたが、最近日本でショーファーカーといえば、『アルファード/ヴェルファイア』に代表される高級ワンボックスが主流。だから今、ドライバーズカーに舵を切ったクラウンの方向性もまさに理に適ったものだと思うわけである。
今回は、都会の雑踏や狭い駐車場へ立ち入ることはなかったが、クラウンの強みはそうしたところで如何なく発揮されるはずである。今のところ、日本限定発売!これほど贅沢で日本の交通状況を知り尽くした高級車は他にあるまい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
しかし、駐車スペースにおおらかな地方ならばともかく、都会では未だに駐車スペースの白線が狭いところなどいくらでもあって、関西に行けば「5ナンバー車以上入れません」などという看板を見かけることも…。勿論1800mmでもそうしたところは無理なわけだが、いわゆる落としどころとしての1800mmという全幅は、少なくとも日本の道路事情や交通インフラ事情を考えた時は、絶妙なのである。そしてクラウン、このクルマは日本専用に開発されたものであって、輸出はされていないのである。
と考えると、グローバルが闊歩する現代にあって、ある意味これほど贅沢なクルマはないわけである。日本人はとかく限定モノに弱い。クラウンはまさに日本限定の高級セダンなのである。
今回クラウンはボディが一本化された。で、一番困ったのはもしかすると旧型クラウンで最上級に位置していた『マジェスタ』のオーナーたちかもしれない。というのも、マジェスタは従来、後席重視でホイールベースを延長したいわゆるショーファーカーであったからだ。だが、1本化されたボディは、実はどちらかと言えば旧マジェスタに寄ったサイズ感を持っている。ホイールベースだけで見ると、マジェスタが2925mmであったのに対し、新しいクラウンは2920mmあるからだ。旧型クラウンが2850mmのホイールベースを持っていたことを考えれば、まさにこれはマジェスタの代わりと言って差し支えない。
そしてエンジン面でマジェスタの代わりを果たすのが、「Gエグゼクティブ」である。従来同様3.5リットルのV6(型式は異なる)エンジンとハイブリッドの組み合わせだ。そして最も大きな違いは、マルチステージハイブリッドシステムを組み合わせていること。これ自体は既にレクサス『LC500h』などにも採用されているメカニズムだが、トヨタ系への採用はこれが初めて。同時にトランスミッションもマルチステージハイブリッドトランスミッションを採用した。これもレクサスLC500hに使われているメカニズム。つまり、性能は異なれど、ドライブトレーンはレクサスLC500hそのものである。そしてあちらは最低でも1350万円。こちらは718万7400円から。そこだけを取り上げると実にリーズナブルである。
僕が食いついたのはマルチステージハイブリッドトランスミッション。実はまだレクサスには乗ったことがなくて、こいつを試すのはクラウンが最初となったためである。従来トヨタのハイブリッドは、動力分割機構と無段変速の組み合わせだったものだが、このマルチステージハイブリッドトランスミッションは、とりあえずメカニカルなトランスミッションを組み込み、それをマルチステージハイブリッド機構と組み合わせたもの。10速の変速を可能にするが、メカニカルには4速のトランスミッションであるという。縦置きエンジンのFR駆動に対応した技術ともいえるが、とにかくえらい進化である。
正直言うと、メカニズムの基本自体は良く呑み込めていない。とにかくこれまでは低速用と高速用だけだった変速が、4つになって疑似的な10速を構成しているということなのだが、今回も詳しく聞けなかったので、詳細についてはわからないが、試乗して実際に変速してみると、確かに10速ある。しかも、従来9速は乗ったことがあるが(メカニカルな)、これだと通常は100km/hになっても滅多なことでは9速に入らないが、疑似10速は60km/hでも10速に入る(当たり前か)ところが大きな違い。では、本格的にメカニカルな10速のようなステップを踏むかというと、そこは正直微妙というか踏んではいない。あくまでも疑似である。
それはともかくとして、3.5リットルV6とこいつの組み合わせは非常にスムーズでパワフルな走りを披露してくれるし、何より骨格がTNGAとなったことで、ドライビングそのものが楽しくなっている。マジェスタはショーファーカーだと書いたが、最近日本でショーファーカーといえば、『アルファード/ヴェルファイア』に代表される高級ワンボックスが主流。だから今、ドライバーズカーに舵を切ったクラウンの方向性もまさに理に適ったものだと思うわけである。
今回は、都会の雑踏や狭い駐車場へ立ち入ることはなかったが、クラウンの強みはそうしたところで如何なく発揮されるはずである。今のところ、日本限定発売!これほど贅沢で日本の交通状況を知り尽くした高級車は他にあるまい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
最新ニュース
-
-
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
2024.11.22
-
-
-
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
2024.11.22
-
-
-
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
2024.11.22
-
-
-
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
2024.11.22
-
-
-
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
2024.11.22
-
-
-
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
2024.11.22
-
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
2024.11.22
-
-
-
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
2024.11.22
-
-
-
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
2024.11.22
-
-
-
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
2024.11.22
-
-
-
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
2024.11.22
-
-
-
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
2024.11.22
-
MORIZO on the Road