【三菱 アウトランダーPHEV 試乗】走りの質感アップ、これぞ”熟成”と言うべき進化…桂伸一
『アウトランダーPHEV』がさらに進化する。といっても筆者が乗ったのはプロトタイプなので、試乗はクローズドコースでの話。
EVもハイブリッドも好む筆者としては、2013年のデビュー当初からその独創的なハイブリッドシステムと、三菱自慢の曲がる4WD!! S-AWDシステムと、さらに回生ブレーキを強弱可変調整できる機能で、減速から”空走(コースティング・モード)”をコントロールできる機能を大絶賛してきた。今回は性能と燃費を含む環境性と、何よりも走りの質感をアップした事が素晴らしい。これぞ”熟成”と言うべき進化である。
では何が変わったのか? まずはエンジン。エンジンは現行の2リットルからより燃焼効率がいい、つまり燃費に優れたアトキンソンサイクルの2.4リットルに拡大。それは排気量分の余裕、というありがちのネタではない。吸排気系を見直しノイズの発生源を抑えて静粛性も高めた低燃費エンジンである。
走行中のタイヤが跳ね上げる異物の音が気になるのは、動力系が静かという証し。アクセル操作によるエンジン回転と加速感を、ヒトの感性に合うよう絶妙にチューニングした事は、空転感を感じないリニアな加速Gが証明している。
EV走行のまま最高速を計測すると、従来は120km/hでエンジン始動したのに対して、新型はなんと135km/h(サーキット走行)まで延び、その航続距離も65km!! と日常の大都市内の移動なら十分に「電動カー」のまま過ごせる実用性。これは駆動用バッテリーをセルの個数、サイズに変化のないまま極板、電極液の変更で充電容量を15%、出力を10%高めた事と、前後ふたつのモーターのうちリア用を10kWhアップの70kWhとした効果。
それは走行モードを新設の「スポーツ」にすることで、後輪駆動車のような押し出し感を生む、という事でも体感できた。
この状況ではもちろんエンジンも始動するが、低回転から豊かなトルクを産む事から回転全体が抑えられた事。フル加速時にエンジンの回転と速度の上昇にズレが生じない、ダイレクト感が何度も言うが素晴らしい。
と言う事をサーキット走行で確認したが、じつは今年上旬に雪上でも試乗して、三菱が誇るS-AWC(スーパー・オールホイールコントロール)の威力も再確認。モーター駆動による瞬時の駆動力と曲げる制御を実に緻密に自然に作用させて、まるで自分の操縦が上手くなったかのように雪上を加速し、曲がり、止まる、クルマの動きを以下にヒトの感性に近づけるか、それは性能アップとともに安全性につながることを三菱は心得ているな、と改めて感じ取れた。
このサイズのSUVを所望するなら、ディーゼルかハイブリッドかプラグインハイブリッド…というのは現在の流れ。そのなかでも頭ひとつ抜きん出た感がある新鮮さはPHEVである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
桂 伸一|モータージャーナリスト/レーシングドライバー
1982年より自動車雑誌編集部にてレポーター活動を開始。幼少期から憧れだったレース活動を編集部時代に開始、「走れて」「書ける」はもちろんのこと、 読者目線で見た誰にでも判りやすいレポートを心掛けている。レーサーとしての活動は自動車開発の聖地、ニュルブルクリンク24時間レースにアストンマー ティン・ワークスから参戦。08年クラス優勝、09年クラス2位。11年クラス5位、13年は世界初の水素/ガソリンハイブリッドでクラス優勝。15年は、限定100台のGT12で出場するも初のリタイア。と、年一レーサー業も続行中。
(レスポンス 桂伸一)
EVもハイブリッドも好む筆者としては、2013年のデビュー当初からその独創的なハイブリッドシステムと、三菱自慢の曲がる4WD!! S-AWDシステムと、さらに回生ブレーキを強弱可変調整できる機能で、減速から”空走(コースティング・モード)”をコントロールできる機能を大絶賛してきた。今回は性能と燃費を含む環境性と、何よりも走りの質感をアップした事が素晴らしい。これぞ”熟成”と言うべき進化である。
では何が変わったのか? まずはエンジン。エンジンは現行の2リットルからより燃焼効率がいい、つまり燃費に優れたアトキンソンサイクルの2.4リットルに拡大。それは排気量分の余裕、というありがちのネタではない。吸排気系を見直しノイズの発生源を抑えて静粛性も高めた低燃費エンジンである。
走行中のタイヤが跳ね上げる異物の音が気になるのは、動力系が静かという証し。アクセル操作によるエンジン回転と加速感を、ヒトの感性に合うよう絶妙にチューニングした事は、空転感を感じないリニアな加速Gが証明している。
EV走行のまま最高速を計測すると、従来は120km/hでエンジン始動したのに対して、新型はなんと135km/h(サーキット走行)まで延び、その航続距離も65km!! と日常の大都市内の移動なら十分に「電動カー」のまま過ごせる実用性。これは駆動用バッテリーをセルの個数、サイズに変化のないまま極板、電極液の変更で充電容量を15%、出力を10%高めた事と、前後ふたつのモーターのうちリア用を10kWhアップの70kWhとした効果。
それは走行モードを新設の「スポーツ」にすることで、後輪駆動車のような押し出し感を生む、という事でも体感できた。
この状況ではもちろんエンジンも始動するが、低回転から豊かなトルクを産む事から回転全体が抑えられた事。フル加速時にエンジンの回転と速度の上昇にズレが生じない、ダイレクト感が何度も言うが素晴らしい。
と言う事をサーキット走行で確認したが、じつは今年上旬に雪上でも試乗して、三菱が誇るS-AWC(スーパー・オールホイールコントロール)の威力も再確認。モーター駆動による瞬時の駆動力と曲げる制御を実に緻密に自然に作用させて、まるで自分の操縦が上手くなったかのように雪上を加速し、曲がり、止まる、クルマの動きを以下にヒトの感性に近づけるか、それは性能アップとともに安全性につながることを三菱は心得ているな、と改めて感じ取れた。
このサイズのSUVを所望するなら、ディーゼルかハイブリッドかプラグインハイブリッド…というのは現在の流れ。そのなかでも頭ひとつ抜きん出た感がある新鮮さはPHEVである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
桂 伸一|モータージャーナリスト/レーシングドライバー
1982年より自動車雑誌編集部にてレポーター活動を開始。幼少期から憧れだったレース活動を編集部時代に開始、「走れて」「書ける」はもちろんのこと、 読者目線で見た誰にでも判りやすいレポートを心掛けている。レーサーとしての活動は自動車開発の聖地、ニュルブルクリンク24時間レースにアストンマー ティン・ワークスから参戦。08年クラス優勝、09年クラス2位。11年クラス5位、13年は世界初の水素/ガソリンハイブリッドでクラス優勝。15年は、限定100台のGT12で出場するも初のリタイア。と、年一レーサー業も続行中。
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