【マツダ ロードスターRF 新型試乗】またまた良くなった。でもやっぱり気になるのは…中村孝仁
◆「MTにしときゃよかった!」
マツダ『ロードスターRF』に試乗したのは昨年の4月。当時からエンジンは2リットルを搭載していたが、その2リットルがさらなる進化を遂げた。
具体的にはかなり多岐にわたっていて、まずは性能面の話をすると最高出力で26psアップ。最大トルクの方はほんの少しだけで5Nm向上した。他に何をしたのか。マツダのリリースをそのまま拝借すると、「トルク特性を大幅に見直し、回転系部品の軽量化、高性能化に合わせたエンジンサウンドの変更などにより、高い加速度のまま、よどみなく吹き上がる軽快かつ爽快な伸び感を提供します」とある。確かに最高回転数も7500rpmまで引き上げられている。
と、こうした内容は実はクルマを借りて帰宅してじっくりとリリースやカタログを読んで初めて知ったこと。まあ、それまで情報を入手しなかった自分が悪いと言えばそれまでなのだが、実は昨年試乗した時に、「スポーツカーなんだからマニュアル、当たり前でしょ?」なんて言ってクルマを借り出した。それで書いた原稿には、「こちらはATでも快適で楽しく乗れるかな?」と書いたのである。というわけで今回は躊躇することなく実はATを借りた。しかし、最高回転数が上がって、全域のトルク特性が見直されて、よどみなく吹け上がる…などと書かれると、またしても失敗!マニュアルにしときゃ良かった…などと思う。
◆テレスコピックが初採用
そんなことはともかく、ヨコハマのマツダR&Dからクルマを借り出して、走らせる前にポジションを決め、ミラーを合わせていざ出発なのだが、そのポジション合わせの際、「んっ?こうだったっけ?」と思ったことが一つ。それがステアリングのテレスコピック機構である。
家に帰って調べてみて「やっぱり!」であった。歴代ロードスターで初めてテレスコピックステアリングを採用…とあるじゃないですか。改良前でも個人的には結構しっくりとくるポジションは取れていたけれど、元々ステアリングの位置が低いのが好みなので、乗降の際には不便。今度は跳ね上げて降りることが出来るから、結構便利である。
音質は確かに変わった気がする。マフラー改良しているわけだから、サウンド変わらない方がおかしい。でも、こうしたものって2台持ってきて乗り比べてみないとなかなか理解できるものではない。
このクルマで、クルマ好きの仲間が集まる群馬県まで遠出した。流石に乗りつけるといきなり「屋根閉めてみて」のリクエスト。13秒ほどのデモンストレーションが始まると、すぐに周りから「おぉ~」の声。このルーフの開閉はかなりユニークだから、初めて見る人には結構楽しいのかもしれない。
◆やっぱり気になる点もある
オープンで高速走行をしてみたが、隣の住人からも「このクルマは屋根開けてもあんまり風入ってこないのね」というお褒めの言葉。これならオープンの頻度が上がるというものだ。しかし、隣にパッセンジャーを乗せて走るとやはり気になる点も見つかる。
ロードスターの基本コンセプトは、如何に走りをよくするかであって、そこには妥協しなくてはならないポイントがいくつかあったのだと思う。そのひとつは決定的に少ない室内のものを置くスペースだ。初代NAの時から、シート背後には結構なスペースがあったのだが、このNDはリアの隔壁がシートにくっつくほど迫っていて、小さな僕ですら、シート背後のスペースは皆無。財布やらちょっとした小物を入れたカバンすら置くスペースがない。だから隣が女性だと、彼女のカバンは必然的に抱えるか、床に置くしかない。勿論僕のも。
今回はみんなで集まっての食事会。そのため、皆さん飲めないことを想定して、2リットル入りペットボトルのお茶を数本持って行ったのだが、それを入れるのはトランクスペースしかなく、その開口部も非常に小さいから、よいしょと持ち上げる必要がある等々、とことん潔い作りだ。隣のレディは(まあ家人なわけですが)持ってきたサングラスをグローブボックスに仕舞おうとして「これどうやって開けるの?」。僕「グローブボックス無いの」彼女「えぇ?」というやり取りがあったりもした。
少なくとも高速巡行で遠くまで行くのなら、ATでもMTでもあまり関係なく、まあ快適で楽というならATである。でも、今回ばかりはMTで乗ってみたいなぁと…偽らざるホンネである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
マツダ『ロードスターRF』に試乗したのは昨年の4月。当時からエンジンは2リットルを搭載していたが、その2リットルがさらなる進化を遂げた。
具体的にはかなり多岐にわたっていて、まずは性能面の話をすると最高出力で26psアップ。最大トルクの方はほんの少しだけで5Nm向上した。他に何をしたのか。マツダのリリースをそのまま拝借すると、「トルク特性を大幅に見直し、回転系部品の軽量化、高性能化に合わせたエンジンサウンドの変更などにより、高い加速度のまま、よどみなく吹き上がる軽快かつ爽快な伸び感を提供します」とある。確かに最高回転数も7500rpmまで引き上げられている。
と、こうした内容は実はクルマを借りて帰宅してじっくりとリリースやカタログを読んで初めて知ったこと。まあ、それまで情報を入手しなかった自分が悪いと言えばそれまでなのだが、実は昨年試乗した時に、「スポーツカーなんだからマニュアル、当たり前でしょ?」なんて言ってクルマを借り出した。それで書いた原稿には、「こちらはATでも快適で楽しく乗れるかな?」と書いたのである。というわけで今回は躊躇することなく実はATを借りた。しかし、最高回転数が上がって、全域のトルク特性が見直されて、よどみなく吹け上がる…などと書かれると、またしても失敗!マニュアルにしときゃ良かった…などと思う。
◆テレスコピックが初採用
そんなことはともかく、ヨコハマのマツダR&Dからクルマを借り出して、走らせる前にポジションを決め、ミラーを合わせていざ出発なのだが、そのポジション合わせの際、「んっ?こうだったっけ?」と思ったことが一つ。それがステアリングのテレスコピック機構である。
家に帰って調べてみて「やっぱり!」であった。歴代ロードスターで初めてテレスコピックステアリングを採用…とあるじゃないですか。改良前でも個人的には結構しっくりとくるポジションは取れていたけれど、元々ステアリングの位置が低いのが好みなので、乗降の際には不便。今度は跳ね上げて降りることが出来るから、結構便利である。
音質は確かに変わった気がする。マフラー改良しているわけだから、サウンド変わらない方がおかしい。でも、こうしたものって2台持ってきて乗り比べてみないとなかなか理解できるものではない。
このクルマで、クルマ好きの仲間が集まる群馬県まで遠出した。流石に乗りつけるといきなり「屋根閉めてみて」のリクエスト。13秒ほどのデモンストレーションが始まると、すぐに周りから「おぉ~」の声。このルーフの開閉はかなりユニークだから、初めて見る人には結構楽しいのかもしれない。
◆やっぱり気になる点もある
オープンで高速走行をしてみたが、隣の住人からも「このクルマは屋根開けてもあんまり風入ってこないのね」というお褒めの言葉。これならオープンの頻度が上がるというものだ。しかし、隣にパッセンジャーを乗せて走るとやはり気になる点も見つかる。
ロードスターの基本コンセプトは、如何に走りをよくするかであって、そこには妥協しなくてはならないポイントがいくつかあったのだと思う。そのひとつは決定的に少ない室内のものを置くスペースだ。初代NAの時から、シート背後には結構なスペースがあったのだが、このNDはリアの隔壁がシートにくっつくほど迫っていて、小さな僕ですら、シート背後のスペースは皆無。財布やらちょっとした小物を入れたカバンすら置くスペースがない。だから隣が女性だと、彼女のカバンは必然的に抱えるか、床に置くしかない。勿論僕のも。
今回はみんなで集まっての食事会。そのため、皆さん飲めないことを想定して、2リットル入りペットボトルのお茶を数本持って行ったのだが、それを入れるのはトランクスペースしかなく、その開口部も非常に小さいから、よいしょと持ち上げる必要がある等々、とことん潔い作りだ。隣のレディは(まあ家人なわけですが)持ってきたサングラスをグローブボックスに仕舞おうとして「これどうやって開けるの?」。僕「グローブボックス無いの」彼女「えぇ?」というやり取りがあったりもした。
少なくとも高速巡行で遠くまで行くのなら、ATでもMTでもあまり関係なく、まあ快適で楽というならATである。でも、今回ばかりはMTで乗ってみたいなぁと…偽らざるホンネである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
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