【ホンダ CR-V 新型試乗】おすすめはハイブリッド。だが価格を考えると…丸山誠
◆初代CR-Vが提案したもの
ホンダのヒット車は、開発時の持ち駒が少ない状況で生み出されたものがいくつかある。その代表格が『CR-V』と『オデッセイ』だった。
当時もホンダは登録車の商用車系のプラットフォームを持っていなかったため、ミニバン(当時は1ボックス)やSUV(RV)を商用車を使って低コストで作ることが難しかった。そこで考え出されたのが乗用車のプラットフォームを使い、乗用車用生産ラインのままでミニバンとSUVを作ることだった。
初代CR-Vは1995年に新しい価値観を提案する“クリエイティブ・ムーバー=生活創造車”として登場した。乗用車用プラットフォームを使ったおかげで乗り心地がよく、静粛性に優れていることで一気に人気が高まった。
国内で人気が高まると同時に、北米市場でもSUVの人気が高まりつつあった。市場規模が大きい北米市場に目を向けるのは当然で、CR-Vは世代を追うごとに大型化され北米に大きな比重を置いて開発されるようになった。そうしたなか日本では、ついに4代目でモデルが途切れることになってしまった。
◆より大きく立派になった5代目
しばらくブランクがあったが、5代目となる新型が日本市場に再投入された。ただし、日本市場専用ボディではなく、現行『シビック』などとプラットフォームを共用するグローバルモデルのまま登場した。そのためボディはより大きく立派になり、全長は先代より70mmも長くなり、全幅も1855mmと35mmワイド化された。ホイールベースも40mm延長されて2660mmになり、後席のレッグスペースは50mmも拡大され余裕が増した。
これは余談だが、ホンダは初代CR-Vで日本市場にクルマを使った新たなレジャーを根付かせたいと考えていた。1996年には関連会社のホンダ特装からキャンピングトレーラーの『デイトリッパー』が発売された。キャンピングカーの黎明(れいめい)期といえる時代に何とキャンピングトレーラーを販売していたのだ。
デイトリッパーは自社開発ではなく、ヨコハマモーターセールスからのOEMモデルだったが、それでもホンダブランドでキャンピングトレーラーを販売するというのは衝撃的だった。もちろんCR-Vにはトレーラーをけん引するためヒッチを標準装備したグレードも追加設定された。ただ、このチャレンジは成功することなく、残念なことに初代で終わってしまった。
◆2種類のパワーユニット、動力性能で選ぶなら
5代目の注目ポイントは2種類のパワーユニットを搭載している点だ。1.5リットル直噴ターボとCR-V初搭載の2リットルハイブリッドのi-MMDで、特にハイブリッドのi-MMDは、同システム初となるリアルタイムAWDも採用している。1.5リットル直噴ターボを1人乗りで走らせると不満のない動力性能を見せる。低速域から充実したトルクが発生していて、アクセルレスポンスはターボであることを感じさせない。ただし、ボディが大きく重くなっているため、動力性能に余裕を感じるまでには至っていない。
それとこの直噴ターボだが、ステップワゴンやシビックにも搭載されているが、アクセルを積極的に踏んでスポーティに走ると燃費が悪化してしまう。ダウンサイジングターボだからしかたないが、フル乗車時の燃費も気になってしまう。
ハイブリッドは動力性能に余裕があり、ガソリンの3リットル並みのパワー感がある。パワートレーンの緻密さやスムーズさ、静粛性といった点でもターボのフィールとはかなり違い、走りの味わいは1クラス上の雰囲気を持っているといえる。余裕ある動力性能がほしいのであれば、迷わずハイブリッドを選ぶことをオススメする。
◆価格を考えると…
ただ、価格を考えるとCR-Vの評価は微妙になってしまう。「ハイブリッドEX」でも約380万円というプライス。
国産車でライバルとなるのは『CX-5』だが、CR-Vの弱点はインテリアの高級感だ。内装デザインやインパネは先代よりも明らかに質感が高まっているが、CX-5のインテリアと比べてしまうと物足りない。ボタン式のセレクターなどコックピットには新鮮さもあるが、全体的には価格に見合った質感とは思えないのだ。
直噴ターボの「EX」は約323万円から用意されているので許容範囲だが、価格が高いハイブリッドはもう少しインテリアの質感を高めてほしかった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
(レスポンス 丸山 誠)
ホンダのヒット車は、開発時の持ち駒が少ない状況で生み出されたものがいくつかある。その代表格が『CR-V』と『オデッセイ』だった。
当時もホンダは登録車の商用車系のプラットフォームを持っていなかったため、ミニバン(当時は1ボックス)やSUV(RV)を商用車を使って低コストで作ることが難しかった。そこで考え出されたのが乗用車のプラットフォームを使い、乗用車用生産ラインのままでミニバンとSUVを作ることだった。
初代CR-Vは1995年に新しい価値観を提案する“クリエイティブ・ムーバー=生活創造車”として登場した。乗用車用プラットフォームを使ったおかげで乗り心地がよく、静粛性に優れていることで一気に人気が高まった。
国内で人気が高まると同時に、北米市場でもSUVの人気が高まりつつあった。市場規模が大きい北米市場に目を向けるのは当然で、CR-Vは世代を追うごとに大型化され北米に大きな比重を置いて開発されるようになった。そうしたなか日本では、ついに4代目でモデルが途切れることになってしまった。
◆より大きく立派になった5代目
しばらくブランクがあったが、5代目となる新型が日本市場に再投入された。ただし、日本市場専用ボディではなく、現行『シビック』などとプラットフォームを共用するグローバルモデルのまま登場した。そのためボディはより大きく立派になり、全長は先代より70mmも長くなり、全幅も1855mmと35mmワイド化された。ホイールベースも40mm延長されて2660mmになり、後席のレッグスペースは50mmも拡大され余裕が増した。
これは余談だが、ホンダは初代CR-Vで日本市場にクルマを使った新たなレジャーを根付かせたいと考えていた。1996年には関連会社のホンダ特装からキャンピングトレーラーの『デイトリッパー』が発売された。キャンピングカーの黎明(れいめい)期といえる時代に何とキャンピングトレーラーを販売していたのだ。
デイトリッパーは自社開発ではなく、ヨコハマモーターセールスからのOEMモデルだったが、それでもホンダブランドでキャンピングトレーラーを販売するというのは衝撃的だった。もちろんCR-Vにはトレーラーをけん引するためヒッチを標準装備したグレードも追加設定された。ただ、このチャレンジは成功することなく、残念なことに初代で終わってしまった。
◆2種類のパワーユニット、動力性能で選ぶなら
5代目の注目ポイントは2種類のパワーユニットを搭載している点だ。1.5リットル直噴ターボとCR-V初搭載の2リットルハイブリッドのi-MMDで、特にハイブリッドのi-MMDは、同システム初となるリアルタイムAWDも採用している。1.5リットル直噴ターボを1人乗りで走らせると不満のない動力性能を見せる。低速域から充実したトルクが発生していて、アクセルレスポンスはターボであることを感じさせない。ただし、ボディが大きく重くなっているため、動力性能に余裕を感じるまでには至っていない。
それとこの直噴ターボだが、ステップワゴンやシビックにも搭載されているが、アクセルを積極的に踏んでスポーティに走ると燃費が悪化してしまう。ダウンサイジングターボだからしかたないが、フル乗車時の燃費も気になってしまう。
ハイブリッドは動力性能に余裕があり、ガソリンの3リットル並みのパワー感がある。パワートレーンの緻密さやスムーズさ、静粛性といった点でもターボのフィールとはかなり違い、走りの味わいは1クラス上の雰囲気を持っているといえる。余裕ある動力性能がほしいのであれば、迷わずハイブリッドを選ぶことをオススメする。
◆価格を考えると…
ただ、価格を考えるとCR-Vの評価は微妙になってしまう。「ハイブリッドEX」でも約380万円というプライス。
国産車でライバルとなるのは『CX-5』だが、CR-Vの弱点はインテリアの高級感だ。内装デザインやインパネは先代よりも明らかに質感が高まっているが、CX-5のインテリアと比べてしまうと物足りない。ボタン式のセレクターなどコックピットには新鮮さもあるが、全体的には価格に見合った質感とは思えないのだ。
直噴ターボの「EX」は約323万円から用意されているので許容範囲だが、価格が高いハイブリッドはもう少しインテリアの質感を高めてほしかった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
(レスポンス 丸山 誠)
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