【スバル XV 雪上試乗】スバルAWDが雪国で選ばれる理由…丸山誠
◆雪国で選ばれるスバルAWD
『フォレスター』の雪上試乗でお伝えしたように、今回のスバルテックツアーは「SUV SNOW DRIVING EXPERIENCE」として雪深い山形で行われた。
なぜこの東北の地が試乗会場として選ばれたかというと、スバルの国内シェアが高い地域だからだ。2018年9月時点での国内登録車シェアは2.9%だが、東北では3.62%と高く、山型は3.70%とさらに高いシェアを誇っている。AWDを幅広くラインナップするスバルだからこそだ。さらに2018年のAWDの販売比率を見ると国内では87.4%がAWDのところ東北は94.4%。山形は95.4%と街を走るスバル車のほぼすべてがAWDといっていいほど。やはり雪国ではAWDが圧倒的に支持されていることがわかる。
今回の雪上ドライブでフォレスターに続いて試乗したのが『XV』の「2.0i-Lアイサイト」。フォレスターはe-ボクサーを搭載するハイブリッドだったが、XVは直噴2リットルのNA。ともに電子制御のアクティブトルクスプリットAWDを採用する。駆動力配分はフロント60%、リヤ40%の設定になっている。スバルはこのほかに『レヴォーグ』の2リットルや『WRX S4』がVTD方式、MTの海外仕様XVなどが採用するビスカスLSD付きセンターデフ方式、MTのWRX STIが採用するDCCD方式の合計4タイプのAWDをそろえている。
◆AWDはチェーン装着時に注意が必要
AWDが雪に強いことは誰でも知っているが、タイヤチェーンを装着したときには前後タイヤのグリップバランスが崩れて走りにくくなる。今では4輪スタッドレスタイヤが当たり前だが、最近大注目されつつあるのがタイヤチェーン。昨年、国土交通省が豪雪時にチェーンを義務化する区間を発表したからだ。国交省の直轄国道は6か所が指定され、山形は国道122の一部が指定された。今回の試乗ルートではないが豪雪地帯を通るため、試乗車には脱出キットと簡易チェーンが積載されていた。
最近はチェーンを装着したクルマに乗っていないため忘れていたが、AWDは装着時の挙動変化に注意が必要だという。ノーマルタイヤのときにフロントにチェーンを装着してコーナリングすると、リヤタイヤのグリップが足りずスピンモードに陥りやすい。これはリヤがノーマルタイヤのままであることとAWDはリヤにも駆動力を配分するため、よりグリップを失いやすくなってしまうわけだ。
特にコーナーの立ち上がりで横Gが残ったままアクセルを急に踏み込むと、いきなりクルリンとスピンすることもある。スバルは以前、リヤタイヤのトルク配分を多くしていた時期があるが、ノーマルタイヤにチェーンを付けた状態で開発テストを重ね、現在のトルク配分になった。
◆フォレスターe-ボクサーとの違いは
XVで圧雪路を走るとすばらしいグリップ力とカーブでの旋回性の高さを実感できる。これは装着されていたブリヂストンのブリザックVRX2のポテンシャルの高さも相まっての性能だ。このブリザックは縦方向のトラクションがよく、アイスバーンでも驚くほどの減速Gを感じることができる。サイプを減らして接地面積でグリップを稼ぐという新しいコンセプトが、見事に性能に直結している。
路面が圧雪からシャーベッドの轍(わだち)に変わると、フォレスターアドバンスのe-ボクサーとは少し違った挙動を見せる。AWDのメカニズムそのものは同じだが、轍の乗り越えを試すとXVのほうがややリヤタイヤの追従が遅れる感じがある。これが車重による差かモーター駆動のあるなしの違いかは判断できなかったが、挙動の安定性という点ではフォレスターのe-ボクサーが勝っていた。もっともXVも高い雪道性能を備えていて、まったく快適にドライブすることができた。
快適な点をもう1つお伝えしたい。試乗したフォレスターとXVはともにシートヒーターを装備していたため、外気温がマイナス4度と寒いなかでも体が温かく、乗り換えをしてもエアコンより早く体を温めてくれる。雪国ではファブリックシートにヒートヒーターの組み合わせが、もっとも快適性が高い。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
(レスポンス 丸山 誠)
『フォレスター』の雪上試乗でお伝えしたように、今回のスバルテックツアーは「SUV SNOW DRIVING EXPERIENCE」として雪深い山形で行われた。
なぜこの東北の地が試乗会場として選ばれたかというと、スバルの国内シェアが高い地域だからだ。2018年9月時点での国内登録車シェアは2.9%だが、東北では3.62%と高く、山型は3.70%とさらに高いシェアを誇っている。AWDを幅広くラインナップするスバルだからこそだ。さらに2018年のAWDの販売比率を見ると国内では87.4%がAWDのところ東北は94.4%。山形は95.4%と街を走るスバル車のほぼすべてがAWDといっていいほど。やはり雪国ではAWDが圧倒的に支持されていることがわかる。
今回の雪上ドライブでフォレスターに続いて試乗したのが『XV』の「2.0i-Lアイサイト」。フォレスターはe-ボクサーを搭載するハイブリッドだったが、XVは直噴2リットルのNA。ともに電子制御のアクティブトルクスプリットAWDを採用する。駆動力配分はフロント60%、リヤ40%の設定になっている。スバルはこのほかに『レヴォーグ』の2リットルや『WRX S4』がVTD方式、MTの海外仕様XVなどが採用するビスカスLSD付きセンターデフ方式、MTのWRX STIが採用するDCCD方式の合計4タイプのAWDをそろえている。
◆AWDはチェーン装着時に注意が必要
AWDが雪に強いことは誰でも知っているが、タイヤチェーンを装着したときには前後タイヤのグリップバランスが崩れて走りにくくなる。今では4輪スタッドレスタイヤが当たり前だが、最近大注目されつつあるのがタイヤチェーン。昨年、国土交通省が豪雪時にチェーンを義務化する区間を発表したからだ。国交省の直轄国道は6か所が指定され、山形は国道122の一部が指定された。今回の試乗ルートではないが豪雪地帯を通るため、試乗車には脱出キットと簡易チェーンが積載されていた。
最近はチェーンを装着したクルマに乗っていないため忘れていたが、AWDは装着時の挙動変化に注意が必要だという。ノーマルタイヤのときにフロントにチェーンを装着してコーナリングすると、リヤタイヤのグリップが足りずスピンモードに陥りやすい。これはリヤがノーマルタイヤのままであることとAWDはリヤにも駆動力を配分するため、よりグリップを失いやすくなってしまうわけだ。
特にコーナーの立ち上がりで横Gが残ったままアクセルを急に踏み込むと、いきなりクルリンとスピンすることもある。スバルは以前、リヤタイヤのトルク配分を多くしていた時期があるが、ノーマルタイヤにチェーンを付けた状態で開発テストを重ね、現在のトルク配分になった。
◆フォレスターe-ボクサーとの違いは
XVで圧雪路を走るとすばらしいグリップ力とカーブでの旋回性の高さを実感できる。これは装着されていたブリヂストンのブリザックVRX2のポテンシャルの高さも相まっての性能だ。このブリザックは縦方向のトラクションがよく、アイスバーンでも驚くほどの減速Gを感じることができる。サイプを減らして接地面積でグリップを稼ぐという新しいコンセプトが、見事に性能に直結している。
路面が圧雪からシャーベッドの轍(わだち)に変わると、フォレスターアドバンスのe-ボクサーとは少し違った挙動を見せる。AWDのメカニズムそのものは同じだが、轍の乗り越えを試すとXVのほうがややリヤタイヤの追従が遅れる感じがある。これが車重による差かモーター駆動のあるなしの違いかは判断できなかったが、挙動の安定性という点ではフォレスターのe-ボクサーが勝っていた。もっともXVも高い雪道性能を備えていて、まったく快適にドライブすることができた。
快適な点をもう1つお伝えしたい。試乗したフォレスターとXVはともにシートヒーターを装備していたため、外気温がマイナス4度と寒いなかでも体が温かく、乗り換えをしてもエアコンより早く体を温めてくれる。雪国ではファブリックシートにヒートヒーターの組み合わせが、もっとも快適性が高い。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
(レスポンス 丸山 誠)
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