【プジョー508 新型試乗】攻めに転じた508、ガソリン&ディーゼルの違いは…島崎七生人
◆“攻め”のスタイリングに転じた508
てっきりノッチバックセダンだと思わせておきながら実際にはハッチバックであるところなど「巧いなぁ」と思う。フォーマル色が強かった先代に対し、より“攻め”のスタイリングに転じたことは確かだ。
とはいえ徒に我を主張してくる訳ではなく、また何かの模倣の片鱗を感じさせる訳でもない。ノーズ先端に『508』のバッジを配したのは往年のプジョー車と同様の手法で、“ライオンの3本の爪痕”というテールランプは、ピニンファリーナが手がけた往年の『504クーペ』を元に、最新のEVコンセプトクーペ(2018年・パリ)でも採用された洒落たデザイン。
今フルモデルチェンジを果たしたモデルらしい新しさは見る者の気持ちをときめかせてくれるものであり、冴えたデザインがセダンだからなおさら惹かれる……そんな第1印象である。
◆おなじみの“i-Cockpit”に、質感、実用性の高い室内
インテリアは“i-Cockpit”と呼ぶ、おなじみのステアリングの上からメーター(ヘッドアップインストルメントパネル)を見渡すレイアウトを基本に、インパネ中央の8インチタッチパネル(エアコンの温度調節がスワイプでできたりする)を備えた現代的な趣。
シフトレバー、駐車ブレーキなどは電気式とし、タッチパネル手前には7個のトグルスイッチを並べ、操作性を向上させながらインパネまわりのデザイン的なアクセントにもしている。
室内空間は大部分のトリム表皮、加飾が入念に仕立てられ質感が高く、前後とも心地いい包まれ感のあるもの。Aピラーは太めだが安心感を感じさせてくれるもので、セダンらしくフードも見渡せる。
後席はキチンと背を起こした姿勢で座らせるデザインで、頭上はまずまずの余裕、足元はセンタートンネルが低めでスッキリとしている。バックドアは大きく開き、ラゲッジスペースは文句なしの広さだ。
また最新のモデルらしく、先進安全支援関係の機能も充実しており、安心感も高い。
◆ガソリンとディーゼル、走りの違いは
EMP2プラットフォームをベースに先代に対し平均で70kgの軽量化を果たしたというボディに電子制御アクティブサスペンションを採用(全車に標準)し、走りも期待に違わない仕上がり。搭載エンジンには1.6リットルガソリンターボ(180ps/250Nm)と2リットルディーゼルターボ(177ps/400Nm)の2機種を設定、いずれも8速ATの組み合わせだが、乗り較べるとそれぞれのキャラクターの違いがあった。
総じて颯爽と気持ちのいい走りを体感させてくれるのはガソリン車のほうで、小気味いい音を聞かせながらエンジン回転を上げ、低速でもペースを上げた状態でも十二分なパワー感と、それに完全に釣り合った自然なハンドリング、乗り味を堪能させてくれる。
一方でディーゼルも、走行中にパワーユニットの音・振動の発生、伝達が僅かに認められ、ガソリン車との車重差分(120kgほど)、クルマの動きがゆったりと感じられるが、たとえば高速道路で足を伸ばすような使い方では、余裕が大きくドライバビリティも心地よく、ディーゼルエンジンの本領(トルクの厚みや燃費経済性)が発揮され、ふさわしい走りが期待できるはずだ。
ハッチバックながらボディ剛性の高さが実感できたし、最小回転半径はカタログの数値では5.5mだが、実際にはそれ以上に小回りが効く印象なのも好感が持てた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
(レスポンス 島崎七生人)
てっきりノッチバックセダンだと思わせておきながら実際にはハッチバックであるところなど「巧いなぁ」と思う。フォーマル色が強かった先代に対し、より“攻め”のスタイリングに転じたことは確かだ。
とはいえ徒に我を主張してくる訳ではなく、また何かの模倣の片鱗を感じさせる訳でもない。ノーズ先端に『508』のバッジを配したのは往年のプジョー車と同様の手法で、“ライオンの3本の爪痕”というテールランプは、ピニンファリーナが手がけた往年の『504クーペ』を元に、最新のEVコンセプトクーペ(2018年・パリ)でも採用された洒落たデザイン。
今フルモデルチェンジを果たしたモデルらしい新しさは見る者の気持ちをときめかせてくれるものであり、冴えたデザインがセダンだからなおさら惹かれる……そんな第1印象である。
◆おなじみの“i-Cockpit”に、質感、実用性の高い室内
インテリアは“i-Cockpit”と呼ぶ、おなじみのステアリングの上からメーター(ヘッドアップインストルメントパネル)を見渡すレイアウトを基本に、インパネ中央の8インチタッチパネル(エアコンの温度調節がスワイプでできたりする)を備えた現代的な趣。
シフトレバー、駐車ブレーキなどは電気式とし、タッチパネル手前には7個のトグルスイッチを並べ、操作性を向上させながらインパネまわりのデザイン的なアクセントにもしている。
室内空間は大部分のトリム表皮、加飾が入念に仕立てられ質感が高く、前後とも心地いい包まれ感のあるもの。Aピラーは太めだが安心感を感じさせてくれるもので、セダンらしくフードも見渡せる。
後席はキチンと背を起こした姿勢で座らせるデザインで、頭上はまずまずの余裕、足元はセンタートンネルが低めでスッキリとしている。バックドアは大きく開き、ラゲッジスペースは文句なしの広さだ。
また最新のモデルらしく、先進安全支援関係の機能も充実しており、安心感も高い。
◆ガソリンとディーゼル、走りの違いは
EMP2プラットフォームをベースに先代に対し平均で70kgの軽量化を果たしたというボディに電子制御アクティブサスペンションを採用(全車に標準)し、走りも期待に違わない仕上がり。搭載エンジンには1.6リットルガソリンターボ(180ps/250Nm)と2リットルディーゼルターボ(177ps/400Nm)の2機種を設定、いずれも8速ATの組み合わせだが、乗り較べるとそれぞれのキャラクターの違いがあった。
総じて颯爽と気持ちのいい走りを体感させてくれるのはガソリン車のほうで、小気味いい音を聞かせながらエンジン回転を上げ、低速でもペースを上げた状態でも十二分なパワー感と、それに完全に釣り合った自然なハンドリング、乗り味を堪能させてくれる。
一方でディーゼルも、走行中にパワーユニットの音・振動の発生、伝達が僅かに認められ、ガソリン車との車重差分(120kgほど)、クルマの動きがゆったりと感じられるが、たとえば高速道路で足を伸ばすような使い方では、余裕が大きくドライバビリティも心地よく、ディーゼルエンジンの本領(トルクの厚みや燃費経済性)が発揮され、ふさわしい走りが期待できるはずだ。
ハッチバックながらボディ剛性の高さが実感できたし、最小回転半径はカタログの数値では5.5mだが、実際にはそれ以上に小回りが効く印象なのも好感が持てた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
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1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
(レスポンス 島崎七生人)
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