【プジョー 308SW 新型試乗】ワゴンとディーゼルのベストコンビネーション…中村孝仁
◆SUVブームの影に隠れたステーションワゴンの魅力
個人的にワゴンという自動車の型式が非常に好きである。今はSUVブームで、ワゴンの良さはその影に隠れた格好になっているが、利便性はすこぶる高いと思う。
SUVを求める多くのユーザーは、その目線の高さと乗降性の良さを評価しているようだ。確かに目線が高ければ遠くまで見通せるし、そこそこの高さに収まっていれば、腰をかがめることなくスムーズな乗降を可能にする。ただ、背が高いということは必然的に体積を有し、実際コンパクトなSUVでも実に大柄に見えてしまう。まあ、それが良さだという人もいるが…。そこへ行くとワゴンはセダンの延長線上にあって、乗降性の良さという点ではSUVには及ばないものの同等以上にユーティリティーとSUVを上回る運動性能が期待できる。
そもそも日本市場においてワゴンが流行り始めたのはそう古い話ではない。というのも日本には商用バンというカテゴリーがあり(昔はそれをライトバンと呼んだ)、ワゴンはそれにと見間違うため不人気だったからだ。80年代に横文字商売の人たちがその利便性に目をつけて使いだしたことが人気が高まる原動力であった。
テールゲートを開ければ、広大な荷室空間があって無造作に荷物を放り込んで出かけられる。その荷物を取り出したいという時も、後席に人が座っていればセダンと違ってクルマを止めてトランクを開ける必要もない。何より、セダン並みの運動性能を有しているから、ハンドリングを愉しむことだってできる。その昔、ボルボはこのワゴンでレースをしていたことだってある(成功はしなかったが)。
◆ディーゼルエンジンと積載性を併せ持つワゴン
プジョー『308』は、ご存知の通りCセグメントのモデルだ。日本ではハッチバック車とこの「SW」の名を持つワゴンが導入されているが、SWの場合テールゲートを開けると、リアシートを使用した状態ですら610リットルという広大な荷室スペースが存在する。勿論ハッチバックでこの広いラゲッジスペースは求めようもないし、セダンのトランクにしてもここまで広いものは無い。
さらにリアシートを畳めば1660リットルの容量が確保できる。最大のライバルたるVW『ゴルフヴァリアント』よりもわずかだが優る。そして今のところ、この広大な荷室スペースと長足を可能にするディーゼルエンジンの組み合わせを持つ利便性の高いCセグメントのワゴンは、このプジョー308SWだけなのである。
実はハッチバックに比べると、ホイールベースが110mm長い。その影響もあってか乗り心地は確実にこちらの方がハッチバックを上回る。それに敢えて「アリュール」という、いわゆるベーシックなグレードを積極的に選択する意味がこのクルマにはある。
◆フランス車に乗るならベーシックカーを選べ、を実感
それは205/55R16というタイヤを履くこと。上級の「GT」になるとタイヤサイズが一気に225/40R18と2サイズ大型化してしまう。確かに写真を撮ってみるとどことなく足元がひ弱に写る。しかし、高速ハンドリングは犠牲になるだろうが、その分乗り心地が大幅にアップする。
その昔「フランス車に乗るならベーシックカーを選べ」とよく言われたものだが、その言葉は何となく理解できる。しかもベーシックグレードとはいえ、装備は上級のGTとほとんど変わるところはない。強いて言えばパークアシストがないことと、アクティブブラインドスポットモニターシステムがないことぐらいで、他の装備で気になるものは無い。つまりはほとんどタイヤ/ホイールの違いなのである。
ディーゼルに関しては既にハッチバックでもお伝えしたが、排気量が下がっても性能的には向上しており、しかも静粛性は確実に上がっているし、すでに尿素SCRを使用して排ガス対策も万全だから、荷物をたくさん積んでロングドライブを愉しみたい向きにはうってつけである。僕はやはりSUVよりもワゴンが好きである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
個人的にワゴンという自動車の型式が非常に好きである。今はSUVブームで、ワゴンの良さはその影に隠れた格好になっているが、利便性はすこぶる高いと思う。
SUVを求める多くのユーザーは、その目線の高さと乗降性の良さを評価しているようだ。確かに目線が高ければ遠くまで見通せるし、そこそこの高さに収まっていれば、腰をかがめることなくスムーズな乗降を可能にする。ただ、背が高いということは必然的に体積を有し、実際コンパクトなSUVでも実に大柄に見えてしまう。まあ、それが良さだという人もいるが…。そこへ行くとワゴンはセダンの延長線上にあって、乗降性の良さという点ではSUVには及ばないものの同等以上にユーティリティーとSUVを上回る運動性能が期待できる。
そもそも日本市場においてワゴンが流行り始めたのはそう古い話ではない。というのも日本には商用バンというカテゴリーがあり(昔はそれをライトバンと呼んだ)、ワゴンはそれにと見間違うため不人気だったからだ。80年代に横文字商売の人たちがその利便性に目をつけて使いだしたことが人気が高まる原動力であった。
テールゲートを開ければ、広大な荷室空間があって無造作に荷物を放り込んで出かけられる。その荷物を取り出したいという時も、後席に人が座っていればセダンと違ってクルマを止めてトランクを開ける必要もない。何より、セダン並みの運動性能を有しているから、ハンドリングを愉しむことだってできる。その昔、ボルボはこのワゴンでレースをしていたことだってある(成功はしなかったが)。
◆ディーゼルエンジンと積載性を併せ持つワゴン
プジョー『308』は、ご存知の通りCセグメントのモデルだ。日本ではハッチバック車とこの「SW」の名を持つワゴンが導入されているが、SWの場合テールゲートを開けると、リアシートを使用した状態ですら610リットルという広大な荷室スペースが存在する。勿論ハッチバックでこの広いラゲッジスペースは求めようもないし、セダンのトランクにしてもここまで広いものは無い。
さらにリアシートを畳めば1660リットルの容量が確保できる。最大のライバルたるVW『ゴルフヴァリアント』よりもわずかだが優る。そして今のところ、この広大な荷室スペースと長足を可能にするディーゼルエンジンの組み合わせを持つ利便性の高いCセグメントのワゴンは、このプジョー308SWだけなのである。
実はハッチバックに比べると、ホイールベースが110mm長い。その影響もあってか乗り心地は確実にこちらの方がハッチバックを上回る。それに敢えて「アリュール」という、いわゆるベーシックなグレードを積極的に選択する意味がこのクルマにはある。
◆フランス車に乗るならベーシックカーを選べ、を実感
それは205/55R16というタイヤを履くこと。上級の「GT」になるとタイヤサイズが一気に225/40R18と2サイズ大型化してしまう。確かに写真を撮ってみるとどことなく足元がひ弱に写る。しかし、高速ハンドリングは犠牲になるだろうが、その分乗り心地が大幅にアップする。
その昔「フランス車に乗るならベーシックカーを選べ」とよく言われたものだが、その言葉は何となく理解できる。しかもベーシックグレードとはいえ、装備は上級のGTとほとんど変わるところはない。強いて言えばパークアシストがないことと、アクティブブラインドスポットモニターシステムがないことぐらいで、他の装備で気になるものは無い。つまりはほとんどタイヤ/ホイールの違いなのである。
ディーゼルに関しては既にハッチバックでもお伝えしたが、排気量が下がっても性能的には向上しており、しかも静粛性は確実に上がっているし、すでに尿素SCRを使用して排ガス対策も万全だから、荷物をたくさん積んでロングドライブを愉しみたい向きにはうってつけである。僕はやはりSUVよりもワゴンが好きである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
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