【C-HR GRスポーツ 新型試乗】マイチェンで明確になった「スポーツ」の存在意義…佐藤久実
◆性能の違いよりもキャラクターの違い
トヨタ『C-HR』がマイナーモデルチェンジし、「GRスポーツ」が追加された。C-HRは2016年に登場すると、あっという間に人気を博し、このセグメントの年間販売台数No.1になった。個性的でキャラの立ったデザインとハンドリングの良さが、人気の理由の筆頭に挙げられるだろう。
TNGAプラットフォームを採用し、ザックスのダンパーが奢られ、ヨーロッパで徹底的に走り込んで作っただけに、軽快な走りはデビュー当時から注目された。そしてマイナーモデルチェンジ後のスタンダードモデルは、ダンパーがザックスから日立製となり、キュッと締まった感じから乗り心地志向となった。
さて、それに対してGRスポーツは、ブレース、スタビライザーが追加され、足まわりを変更、タイヤは18インチから19インチにアップされた。ベースの素材が良いだけに、“性能差”がわかりにくい側面もあるが、ベースモデルがコンフォート志向となった分、スポーツモデルの存在意義が明確になったともいえる。もちろん性能も向上しているが、それ以上にキャラクターの違いと捉えた方がわかりやすい。
エクステリアでは、ヘッドライトとリヤランプの意匠が変更されたが、特にリヤは左右のライトが繋がりすっきりした。フロントマスクはGRのアイデンティティである「ファンクショナル・マトリクス・グリル」が採用され精悍さが増した。
◆ニュル24時間を走った「C-HR Racing」を彷彿
一般道とパイロンコースで試乗した。運転席に座ると、まず、ランバーサポートの効いたシートがカラダにフィットする。もちろん、横Gがかかった時にもしっかり支えてくれる。
スラロームやレーンチェンジでは、ステアリングを切った際の初期応答の良さが印象的だ。小気味良く、キュッとノーズが入る。しかし、背の高いSUVは、闇雲にレスポンスを高めるとボディが追従しきれず、遅れた上にロールスピードが速くロール量も大きいということになりかねない。が、C-HR GRスポーツは、ちゃんとボディコントロールされており、操舵に対してボディも一体感のある動きを見せる。
ここで思い出した。私、2016年に、デビュー前の「C-HR Racing」でニュルブルクリンク24時間レースに参戦したが、その時のクルマの動きに似ていると。ノーマルに近いチューニングであったが、それでもロールケージによってボディ剛性は高められ、プラットフォームが同じ『プリウス』のパーツの流用などにより車高も落とされ、重心も低くなっていた。
ハンドリングに優れ、なかなかレコードラインを走らせてもらえないニュルのレースでも、自由度が高く、どんなラインを走ってもコース上にいられるという自信と安心感を持ってドライブできるマシンだった。そして、GRスポーツにはこのテイストがしっかりと落とし込まれているのだ。ハンドリングと乗り心地がバランスされ、SUVを感じさせない乗り味は、尖ったスポーツではなく、街乗りでも快適な乗り心地が保たれ、気持ち良く走れるスポーティさだ。
◆マニュアル派も満足できる1.2ターボ&MT
もう一つ、注目すべきは、1.2リットルターボモデルにマニュアルトランスミッションが追加されたことだ。コンパクトSUVとはいえ、スポーツカーに比べれば遥かにスペース・ユーティリティに優れる。それでいて、ハンドリングも楽しめるので、マニュアル派も満足できるだろう。
今回、C-HRがマイナーモデルチェンジしたタイミングでのGRスポーツ追加となったが、ベースモデルであるSグレードをベースにGRスポーツを作っている。それでいて、上級グレードの意匠をほぼ採用し、プライスは上級グレードのプラス10万円という超お買い得価格も魅力的だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
佐藤久実|モータージャーナリスト
大学在学中にレースデビュー。耐久レースをメインに活動。海外の24時間レースでも入賞を果たす。レースで培ったスキルをベースに、ドライビング・インストラクターとしても活動。ホンダ・ドライビング・ミーティング、ポルシェ・ドライビング・スクール、BMWドライバートレーニング、VWエコドライブトレーニング、ブリヂストン・タイヤセーフティ・ドライビングレッスンなどでインストラクターを務める。レーシングドライバーとしてのホットな目、ジャーナリストとしてのクールな目、そして女性目線からクルマを評価、自動車専門誌への執筆をはじめWEBやテレビでも活動。東海大学工学部動力機械工学科非常勤講師、芝浦工業大学特別講師。
(レスポンス 佐藤久実)
トヨタ『C-HR』がマイナーモデルチェンジし、「GRスポーツ」が追加された。C-HRは2016年に登場すると、あっという間に人気を博し、このセグメントの年間販売台数No.1になった。個性的でキャラの立ったデザインとハンドリングの良さが、人気の理由の筆頭に挙げられるだろう。
TNGAプラットフォームを採用し、ザックスのダンパーが奢られ、ヨーロッパで徹底的に走り込んで作っただけに、軽快な走りはデビュー当時から注目された。そしてマイナーモデルチェンジ後のスタンダードモデルは、ダンパーがザックスから日立製となり、キュッと締まった感じから乗り心地志向となった。
さて、それに対してGRスポーツは、ブレース、スタビライザーが追加され、足まわりを変更、タイヤは18インチから19インチにアップされた。ベースの素材が良いだけに、“性能差”がわかりにくい側面もあるが、ベースモデルがコンフォート志向となった分、スポーツモデルの存在意義が明確になったともいえる。もちろん性能も向上しているが、それ以上にキャラクターの違いと捉えた方がわかりやすい。
エクステリアでは、ヘッドライトとリヤランプの意匠が変更されたが、特にリヤは左右のライトが繋がりすっきりした。フロントマスクはGRのアイデンティティである「ファンクショナル・マトリクス・グリル」が採用され精悍さが増した。
◆ニュル24時間を走った「C-HR Racing」を彷彿
一般道とパイロンコースで試乗した。運転席に座ると、まず、ランバーサポートの効いたシートがカラダにフィットする。もちろん、横Gがかかった時にもしっかり支えてくれる。
スラロームやレーンチェンジでは、ステアリングを切った際の初期応答の良さが印象的だ。小気味良く、キュッとノーズが入る。しかし、背の高いSUVは、闇雲にレスポンスを高めるとボディが追従しきれず、遅れた上にロールスピードが速くロール量も大きいということになりかねない。が、C-HR GRスポーツは、ちゃんとボディコントロールされており、操舵に対してボディも一体感のある動きを見せる。
ここで思い出した。私、2016年に、デビュー前の「C-HR Racing」でニュルブルクリンク24時間レースに参戦したが、その時のクルマの動きに似ていると。ノーマルに近いチューニングであったが、それでもロールケージによってボディ剛性は高められ、プラットフォームが同じ『プリウス』のパーツの流用などにより車高も落とされ、重心も低くなっていた。
ハンドリングに優れ、なかなかレコードラインを走らせてもらえないニュルのレースでも、自由度が高く、どんなラインを走ってもコース上にいられるという自信と安心感を持ってドライブできるマシンだった。そして、GRスポーツにはこのテイストがしっかりと落とし込まれているのだ。ハンドリングと乗り心地がバランスされ、SUVを感じさせない乗り味は、尖ったスポーツではなく、街乗りでも快適な乗り心地が保たれ、気持ち良く走れるスポーティさだ。
◆マニュアル派も満足できる1.2ターボ&MT
もう一つ、注目すべきは、1.2リットルターボモデルにマニュアルトランスミッションが追加されたことだ。コンパクトSUVとはいえ、スポーツカーに比べれば遥かにスペース・ユーティリティに優れる。それでいて、ハンドリングも楽しめるので、マニュアル派も満足できるだろう。
今回、C-HRがマイナーモデルチェンジしたタイミングでのGRスポーツ追加となったが、ベースモデルであるSグレードをベースにGRスポーツを作っている。それでいて、上級グレードの意匠をほぼ採用し、プライスは上級グレードのプラス10万円という超お買い得価格も魅力的だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
佐藤久実|モータージャーナリスト
大学在学中にレースデビュー。耐久レースをメインに活動。海外の24時間レースでも入賞を果たす。レースで培ったスキルをベースに、ドライビング・インストラクターとしても活動。ホンダ・ドライビング・ミーティング、ポルシェ・ドライビング・スクール、BMWドライバートレーニング、VWエコドライブトレーニング、ブリヂストン・タイヤセーフティ・ドライビングレッスンなどでインストラクターを務める。レーシングドライバーとしてのホットな目、ジャーナリストとしてのクールな目、そして女性目線からクルマを評価、自動車専門誌への執筆をはじめWEBやテレビでも活動。東海大学工学部動力機械工学科非常勤講師、芝浦工業大学特別講師。
(レスポンス 佐藤久実)
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