【トヨタ カローラ 新型試乗】経済性だけがウリのカローラではない…木下隆之
◆カローラスポーツから投入した理由とは…
現行の『カローラ』がデビューしたのは2018年6月。だがその時にはフルラインナップでなく、『カローラスポーツ』を名乗るハッチバックのみの登場に驚かされた。国民車とも言える日本を代表する大衆車なのに、いきなり「スポーツ」から遡求にトヨタの真意を掴みそこねた。環境性能や経済性が大衆車カローラの最大の特徴だと理解していただけに、思わぬ販売戦略に頭を振ったのである。
そんなカローラに『カローラセダン』と『カローラツーリング』が登場。ようやく大衆車カローラの本来のラインナップになったのである。ちなみに、「スポーツ」を先行デビューさせ、中核となる「カローラセダン」と「カローラツーリング」を後発でくわえた理由はふたつ。
カローラほどの大量生産が期待されるモデルは、プロダクト計画が困難である。世界戦略車であるから、どの工場のどのラインでどう流すか…の調整に時間を要した。それがハッチバックからの市場投入になったという点が一つ。
もう一つは、「カローラは変わった」を印象つけるためだ。大衆車カローラは、以前の経済性だけがウリのカローラではなく、昭和のカローラがそうであったように、走りの確かさ訴求したいと考えたのである。
◆新プラットフォーム採用の恩恵は至るところに
新型には、1.8リットルハイブリッドを中心に、1.2リットルターボモデルをラインナップしている。だが、最大の注目点は、TNGAプラットフォームを採用したことだ。これからのトヨタの主流シャシーとなるそれは、エンジンを低い位置に、しかも重心点に寄せた位置に搭載可能だ。ワイドなスタンスでもある。つまり、フットワークが整ったのである。
FFモデル特有の、旋回挙動の悪さは感じない。軽快なハンドリングを得ている。「スポーツ」をラインナップに加えたのは、販売戦略上の理由だけではなく、結果的に走りがよく仕上がったからの副産物ではないかと想像したくなるほど、走りが整っていた。
ただし、乗り心地を犠牲にしてまでのフットワークではない。むしろその逆で、TNGAプラットフォームを採用したことで、乗り心地が良くなった。足回りを固めずにフットワークが改善されたことで、その余裕を乗り心地に振り分けることが可能になったのだ。
トヨタの言葉を借りれば「直結性」だという。路面からの突き上げをいなしながらも、ステアリングからタイヤまでに介在する関節部部分の結合性を上げ、反応に鈍さを減らすことに成功したというのだ。
なるほど、首都高速といった複雑に入り組んだ中速コースの周回でも、動きは安定している。車線変更が楽に行なえる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
木下隆之|モータージャーナリスト
プロレーシングドライバーにして、大のクルマ好き。全日本GT選手権を始め、海外のレースでも大活躍。一方でカー・オブ・ザ・イヤー選考委員歴は長い。『ジェイズな奴ら』を上梓するなど、作家の肩書きも。
(レスポンス 木下隆之)
現行の『カローラ』がデビューしたのは2018年6月。だがその時にはフルラインナップでなく、『カローラスポーツ』を名乗るハッチバックのみの登場に驚かされた。国民車とも言える日本を代表する大衆車なのに、いきなり「スポーツ」から遡求にトヨタの真意を掴みそこねた。環境性能や経済性が大衆車カローラの最大の特徴だと理解していただけに、思わぬ販売戦略に頭を振ったのである。
そんなカローラに『カローラセダン』と『カローラツーリング』が登場。ようやく大衆車カローラの本来のラインナップになったのである。ちなみに、「スポーツ」を先行デビューさせ、中核となる「カローラセダン」と「カローラツーリング」を後発でくわえた理由はふたつ。
カローラほどの大量生産が期待されるモデルは、プロダクト計画が困難である。世界戦略車であるから、どの工場のどのラインでどう流すか…の調整に時間を要した。それがハッチバックからの市場投入になったという点が一つ。
もう一つは、「カローラは変わった」を印象つけるためだ。大衆車カローラは、以前の経済性だけがウリのカローラではなく、昭和のカローラがそうであったように、走りの確かさ訴求したいと考えたのである。
◆新プラットフォーム採用の恩恵は至るところに
新型には、1.8リットルハイブリッドを中心に、1.2リットルターボモデルをラインナップしている。だが、最大の注目点は、TNGAプラットフォームを採用したことだ。これからのトヨタの主流シャシーとなるそれは、エンジンを低い位置に、しかも重心点に寄せた位置に搭載可能だ。ワイドなスタンスでもある。つまり、フットワークが整ったのである。
FFモデル特有の、旋回挙動の悪さは感じない。軽快なハンドリングを得ている。「スポーツ」をラインナップに加えたのは、販売戦略上の理由だけではなく、結果的に走りがよく仕上がったからの副産物ではないかと想像したくなるほど、走りが整っていた。
ただし、乗り心地を犠牲にしてまでのフットワークではない。むしろその逆で、TNGAプラットフォームを採用したことで、乗り心地が良くなった。足回りを固めずにフットワークが改善されたことで、その余裕を乗り心地に振り分けることが可能になったのだ。
トヨタの言葉を借りれば「直結性」だという。路面からの突き上げをいなしながらも、ステアリングからタイヤまでに介在する関節部部分の結合性を上げ、反応に鈍さを減らすことに成功したというのだ。
なるほど、首都高速といった複雑に入り組んだ中速コースの周回でも、動きは安定している。車線変更が楽に行なえる。
■5つ星評価
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インテリア/居住性:★★★★
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プロレーシングドライバーにして、大のクルマ好き。全日本GT選手権を始め、海外のレースでも大活躍。一方でカー・オブ・ザ・イヤー選考委員歴は長い。『ジェイズな奴ら』を上梓するなど、作家の肩書きも。
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