【トヨタ カローラツーリング 新型試乗】ついに老舗ブランドの呪縛から解放された?…岩貞るみこ

トヨタ カローラツーリング 新型(ハイブリッド)
『カローラ』が誕生したのは1966年のこと。何であれ継続させることは難しいと言われるが、私のなかではカローラもその類で(すみません!)、もうそろそろいいんじゃないの? いつこの名前を成仏させるのよ?と思っていた。

ところが、2018年に登場した『カローラスポーツ』である。走りといいデザインといい内装といい乗りやすさといい、カローラの名前と歴史を上手に受け継ぎつつとても乗りやすいクルマに仕立てられた。

む、ならばセダンとツーリングはどう仕上げられてくるのか? 期待むくむくで対峙した『カローラツーリング』は、期待通り、骨抜きにされる乗りやすさだった。

◆カローラスポーツ同様の気持ちよさ

デザインは、老舗ブランドならではの老々しさ(こんな言葉はないけれど若々しさがあるなら反対語でこの言葉があってもよかろうに)がない。特に後ろナナメからの眺めは、軽く二度見をする新鮮な艶っぽさである。

走りとくれば、ワインディングはカローラスポーツ同様の気持ちよさ。ハンドルを自然にきって自然に曲がっていき、違和感がまったくないのである。今回試乗したハイブリッドは、走り始めをモーターでアシストするため、信号待ちからの動き始めが、超絶なめらか。CVTとの組み合わせで、するする息継ぎなく加速していく。その動きを受け止めるサスペンションのしなやかさもいい。

そりゃ、高級車のしなやかさに比べたらそれなりに劣るけれど、この車両本体価格でこのなめらかな走りを手に入れられるなら上等すぎるだろう。

◆ついに老舗ブランドの呪縛から解放された?

唯一、私の感性に合わないのはブレーキの最後の効き具合で、ハイブリッドカー特有の「最後にぎゅっと止まる」というところ。改善されてきて、きっと上手なドライバーにとってはほとんど感じないところだろうけれど、やっぱりある。ブレーキをスイッチみたいに踏んでしまうド下手なドライバーにとっては、最後のこの部分は気になるのだ。もう少しおだやかに最後の停止まで味付けしてくれると、ありがたいのだけれど。

カローラ、ついに老舗ブランドの呪縛から解放された? そんなふうに感じてしまう。なにも考えず気持ちよく乗れるクルマって、ほんとに貴重なのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

(レスポンス 岩貞るみこ)

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