アバルト 595 新型試乗 スペックのチューンだけではない走りの質…島崎七生人
◆チンクに蚊がとまっているくらいに考えたら大間違い
アバルト『595』に付いているエンブレムの“スコーピオン”を、チンクに蚊がとまっているくらいに考えたら大間違い。その実態は、当然のことながらまったく別のクルマに仕立てられている……からだ。
アバルト『595』といえば、往年の高性能車『595 SS』をオマージュした『595/595C esseesse』の限定車が9月に販売開始されたところ。アクラポビッチ社製の排気システムを搭載、今回は595CのMT車の用意もあるようだから、いつも以上に走らせることにこだわりをもつマニアから注目を集めているに違いない。
そんな『595』は、2017年に(2016年の『500』のマイナーチェンジを受けて)現行モデルへと移行したのはご存知のとおり。この時にラインアップ全車を“595”に統一、現在のカタログモデルは、1.4リットルの4気筒DOHC 16バルブインタークーラー付きターボをベースに、3段階のスペック違いで展開している。
今回ここにご紹介するのは『595Cツーリズモ』と『595コンペティツィオーネ』の2台。
◆『595Cツーリズモ』と『595コンペティツィオーネ』の違い
まず『595Cツーリズモ』は、目下のラインアップの中核モデルで、ノーマルルーフのほかに、シリーズでは唯一の“C”、すなわち電動開閉式ソフトトップ車の設定があり、試乗車はこのモデル。搭載エンジンは1.4リットルのDOHC 16バルブで、ギャレット製ターボチャージャーにより165ps/21.4kgm(SPORTスイッチ使用時23.5kgm)の性能を発揮。ミッションはATモード付き5速シーケンシャルとなっている。
一方の『595コンペティツィオーネ』はエンジンのベースは共通ながら、180ps/23.5kgm(SPORTスイッチ使用時25.5 kgm )にスペックが高められ、高性能排気システムの“レコードモンツァ”を採用、ブレンボ製4ポッドフロントブレーキなどが装着される。
2台に改めて試乗した印象は、総じて“速く、気持ちよく、心がときめかされるクルマだ”ということ。とくに実感するのは、2007年の新生アバルト復活直後に登場した“500”だった初期型がとにかくスパルタンだったのに対し、最新モデルは遥かにコンフォートだということ。
◆スペックのチューンだけではない走りの質
といっても前後にコニのダンパーが組み込まれたコンペティツィオーネは足が締まった“ハーダーサス”で、今回の試乗車のように5速MTでハイパワーを存分に引き出しながら走らせると、レベルの高いスポーツ走行が楽しめる。
他方でツーリズモは、リヤのみに装着されたコニのダンパーがクルマをしっかりと安定させながら、ワインディングで切り込んでいくと、コンペティツィオーネよりは穏やかなステアリングレスポンスを示す。
だがSPORTスイッチを切り替えればコンペティツィオーネの標準と同数値にトルクが増強され(マキシマムトルクの発生回転は250回転高い)、パドルシフトを駆使しながら、手応えも十分なスポーツ走行が楽しめる。
レザー表皮のバケットシートなど、室内の“しつらえ”が上質なのも特徴。ベース車のチンク(フィアット『500』)はカジュアルなコンパクトカーだが、スペックのチューンだけでなく、大きく高められた走りの質が味わえる点が、アバルト『595』シリーズの魅力だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
アバルト『595』に付いているエンブレムの“スコーピオン”を、チンクに蚊がとまっているくらいに考えたら大間違い。その実態は、当然のことながらまったく別のクルマに仕立てられている……からだ。
アバルト『595』といえば、往年の高性能車『595 SS』をオマージュした『595/595C esseesse』の限定車が9月に販売開始されたところ。アクラポビッチ社製の排気システムを搭載、今回は595CのMT車の用意もあるようだから、いつも以上に走らせることにこだわりをもつマニアから注目を集めているに違いない。
そんな『595』は、2017年に(2016年の『500』のマイナーチェンジを受けて)現行モデルへと移行したのはご存知のとおり。この時にラインアップ全車を“595”に統一、現在のカタログモデルは、1.4リットルの4気筒DOHC 16バルブインタークーラー付きターボをベースに、3段階のスペック違いで展開している。
今回ここにご紹介するのは『595Cツーリズモ』と『595コンペティツィオーネ』の2台。
◆『595Cツーリズモ』と『595コンペティツィオーネ』の違い
まず『595Cツーリズモ』は、目下のラインアップの中核モデルで、ノーマルルーフのほかに、シリーズでは唯一の“C”、すなわち電動開閉式ソフトトップ車の設定があり、試乗車はこのモデル。搭載エンジンは1.4リットルのDOHC 16バルブで、ギャレット製ターボチャージャーにより165ps/21.4kgm(SPORTスイッチ使用時23.5kgm)の性能を発揮。ミッションはATモード付き5速シーケンシャルとなっている。
一方の『595コンペティツィオーネ』はエンジンのベースは共通ながら、180ps/23.5kgm(SPORTスイッチ使用時25.5 kgm )にスペックが高められ、高性能排気システムの“レコードモンツァ”を採用、ブレンボ製4ポッドフロントブレーキなどが装着される。
2台に改めて試乗した印象は、総じて“速く、気持ちよく、心がときめかされるクルマだ”ということ。とくに実感するのは、2007年の新生アバルト復活直後に登場した“500”だった初期型がとにかくスパルタンだったのに対し、最新モデルは遥かにコンフォートだということ。
◆スペックのチューンだけではない走りの質
といっても前後にコニのダンパーが組み込まれたコンペティツィオーネは足が締まった“ハーダーサス”で、今回の試乗車のように5速MTでハイパワーを存分に引き出しながら走らせると、レベルの高いスポーツ走行が楽しめる。
他方でツーリズモは、リヤのみに装着されたコニのダンパーがクルマをしっかりと安定させながら、ワインディングで切り込んでいくと、コンペティツィオーネよりは穏やかなステアリングレスポンスを示す。
だがSPORTスイッチを切り替えればコンペティツィオーネの標準と同数値にトルクが増強され(マキシマムトルクの発生回転は250回転高い)、パドルシフトを駆使しながら、手応えも十分なスポーツ走行が楽しめる。
レザー表皮のバケットシートなど、室内の“しつらえ”が上質なのも特徴。ベース車のチンク(フィアット『500』)はカジュアルなコンパクトカーだが、スペックのチューンだけでなく、大きく高められた走りの質が味わえる点が、アバルト『595』シリーズの魅力だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
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