日産 キックス 新型試乗 e-POWERの力強い走りとパッケージングが魅力…諸星陽一

  • 日産 キックス
日産から登場した久々の新型車である『キックス』。2017年に2代目『リーフ』が出て以来なので、約3年ぶりといった具合だ。試乗車そのものはもう少し前から用意されていたのだが、なかなかきっかけがなく10月も終わろうかという時期にやっと試乗することになった。

初代キックスは三菱『パジェロミニ』のOEM版であったが、今回登場した2代目はまったく異なるモデル。全幅1760mmの3ナンバーサイズボディに、1.2リットルエンジンを発電機に使ったシリーズハイブリッド方式「e-POWER」のパワーユニットが採用される。


◆好感が持てる乗り心地と、気持ちいい加速

モーターの最高出力は129馬力、最大トルクは260Nmで『ノートe-POWER』と『セレナe-POWER』の中間程度の数値。車重を考慮すれば当然のものだろう。e-POWERユニットのエンジンはあくまでも発電機としてしか動作せず、動力はすべてモーターが絞り出す。走り出しからモーター駆動の力強さを感じることができるフィーリングで、グイグイ加速していく。モータードライブの特徴である加速感が変わらないところもじつに気持ちのいいものだ。

車高が高いこともあり、ボディの見切りはよく狭い道でも運転はしやすそうだ(試乗コースは比較的広い道ばかりであった)。乗り心地もゆったり感があり好感が持てる。段差の大きなギャップを乗り越えても、しっかりとダンピングしてクルマの上下動をきれいに吸収してくれる。ハンドリングはシャープと言えるほどのものではないが正確なもので、ねらった動きを実現してくれる。コンパクトなSUVとしての運動性能は十分に備えているといっていいだろう。

e-POWERモデルの特徴とえいば、ワンペダルドライブだ。キックスの場合は標準の走行モードではクリープ状態のある走行モード、S(スマート)もしくはエコモードを選ぶことでワンペダル走行が可能となる。渋滞の中を走る場合などは、ワンペダルドライブの恩恵はかなり受けられる。もっともプロパイロットを作動させてしまえば、ワンペダルドライブすら必要がないのだ。プロパイロットの性能は高く、正確な追従走行が可能だ。


◆リヤシート、ラゲッジルームも必要十分な広さ

リヤシートの居住性も高く、M型スーツケース4つが搭載できるというラゲッジルームも十分広い。ラゲッジルーム奥行きは90cmを確保しているという。欲を言えば、もう少し奥行きがあったほうが使い勝手はいいだろう。

唯一気になったのが、バッテリーが充電されていない際に充電のためにエンジンが回りはじめたとき。走行中のエンジン音などはよく抑えられていて気にならないのだが、停止中にエンジンが始動するとどうしてもその音が気になる。e-POWERも3台目になったのだから、もう少し音を抑えられるといいと感じた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
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