わずか10mm、されど10mmの余裕!既存オーナーも必見、トヨタ RAV4の「オフロードパッケージ」を試す
世界各国で発売され、日本でも多くのファンを持つトヨタ『RAV4』。ハイブリッド車の人気が高いように思えるが、2.0リットルのガソリンエンジンを積む「アドベンチャー」グレードは全体の20%を占めている。人気の秘密の一つは、世界で初めて「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を採用したことだ。
オフロードでも群を抜くトラクション性能を見せつけ、気持ちいい走りを楽しめる。その実力は折り紙付きだが、さらに魅力を高める特別仕様車が登場した。それが「アドベンチャー“オフロードパッケージ”」だ。
◆アウトドア好きにもたまらない?オフロードパッケージとは
エクステリアの変更点は、ブリッジ型ルーフレール(アルミ製の専用クロスバーは販売店装着オプション)とグレーメタリック塗装の専用スキッドプレート、そして18インチのファルケンブランドのオールテレインタイヤ(ワイルドピークA/Tトレイル01A=225/60 R18)と専用のマットブラック塗装を施した7.5Jのアルミホイールなどを装着していることである。が、オフロード派が注目したいのは、専用サスペンションの採用だろう。気になる最低地上高は10mm増え、210mmを確保した。
インテリアは、レッドステッチの合成皮革シートを採用し、インパネやドアトリムショルダーにもレッドのステッチを用いている。また、フロントのカップホルダーとセンターのオープントレイは、鮮やかなレッドとブラック仕上げとした。運転席と中央のオープントレイはブラック塗装だ。外観と同じように特別な存在感を放っている。ボディカラーは3色が用意され、スーパーホワイトIIは特別色だ。
アドベンチャーは4WDシステムに「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を採用している。これは後輪のカップリングを2つに増やすことにより、前後のトルク配分だけでなく後輪の左右へも独立してトルクを配分する最新の電子制御4WDシステムだ。ステアリング操作と路面状況に応じてエンジンの駆動力トルクを変化させ、前後輪にトルクを最適に配分する。それだけではなく、後輪のトルクを左右それぞれで独立制御するトルクベクタリング機構も盛り込んだ。
◆わずか10mm、されど10mmの余裕
4輪への接地荷重を最適化するだけでなくブレーキも協調制御するから、安定した走りを見せる。滑りやすい路面では前後輪のトルク配分を100:0から0:100まで自動的に可変させ、クルマを安定方向に導く。だが、特設コースの難易度はかなり高かった。試乗した日は雨だったこともあり、滑りやすい路面がさらに滑りやすくなっている。しかも鉄で組んだラダーの上を走るのだから、4WDといえどもトラクションがかかりにくい。
第1ステージは傾斜した路面と深くえぐれたモーグルを模したコースである。グリップレベルの高いオールテレインタイヤを履いているから、雨じゃなければノーマルモードでも走りきることができそうだ。が、乗用車ベースのSUVでトライすると苦戦することは間違いない。案の定、ノーマルモードでは接地フィールに頼りなさを感じた。タイヤの実力の高さに助けられた格好だ。
次はダイヤルスイッチを右に回し、ロック&ダートモードにする。前後左右にそれぞれ電子制御多板クラッチを採用していることの効果は絶大だ。片輪が浮いて空転してしまうようなモーグルステージに乗り入れ、タイヤが空転してもアクセルをジワッと踏み込んでいくだけであっけないほど簡単に走りきることができた。ストロークをたっぷりと取った専用サスペンションの仕上がりがいいことに加え、最低地上高を10mm拡大したことが効いている。わずか10mm、されど10mmの余裕なのだ。ラフロードでは絶大な安心感があった。
次のステージは登坂路だ。かなりの勾配で、運転席からは先が見えない。見えるのは空だけである。坂の途中で止まり、そこから再発進を試みたが、油断するとタイヤが空転し、ずり落ちてしまう。だが、ヒルスタートアシストコントロールが再発進を上手にサポートし、平坦路のように滑らかに前に進んでいった。頂点を超え、そこから先は急勾配の下り坂だ。ここではダウンヒルアシストコントロールが威力を発揮し、危なげなく低速で下まで降りることができた。
◆既存「アドベンチャー」オーナーにも朗報
サスペンションもタイヤもいいから、ビギナーでも安心してハードなラフロードの走りを楽しめるだろう。販売価格は346万円だ。これだけポテンシャルが高まっているなら高くはない。すでにアドベンチャーのオーナーになっている人は、歯ぎしりして悔しがるはずだ。
だが、朗報が届いた。このサスペンションキットやオールテレインタイヤなどは、販売店で後付けできると知らされたのである。特別仕様車の純正装備を後付けで提供するのは、トヨタにとって初の試みだそうだ。アウトドア派やオフロードマニアにとっては、魅力的なSUVが登場した。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
片岡英明|モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
オフロードでも群を抜くトラクション性能を見せつけ、気持ちいい走りを楽しめる。その実力は折り紙付きだが、さらに魅力を高める特別仕様車が登場した。それが「アドベンチャー“オフロードパッケージ”」だ。
◆アウトドア好きにもたまらない?オフロードパッケージとは
エクステリアの変更点は、ブリッジ型ルーフレール(アルミ製の専用クロスバーは販売店装着オプション)とグレーメタリック塗装の専用スキッドプレート、そして18インチのファルケンブランドのオールテレインタイヤ(ワイルドピークA/Tトレイル01A=225/60 R18)と専用のマットブラック塗装を施した7.5Jのアルミホイールなどを装着していることである。が、オフロード派が注目したいのは、専用サスペンションの採用だろう。気になる最低地上高は10mm増え、210mmを確保した。
インテリアは、レッドステッチの合成皮革シートを採用し、インパネやドアトリムショルダーにもレッドのステッチを用いている。また、フロントのカップホルダーとセンターのオープントレイは、鮮やかなレッドとブラック仕上げとした。運転席と中央のオープントレイはブラック塗装だ。外観と同じように特別な存在感を放っている。ボディカラーは3色が用意され、スーパーホワイトIIは特別色だ。
アドベンチャーは4WDシステムに「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を採用している。これは後輪のカップリングを2つに増やすことにより、前後のトルク配分だけでなく後輪の左右へも独立してトルクを配分する最新の電子制御4WDシステムだ。ステアリング操作と路面状況に応じてエンジンの駆動力トルクを変化させ、前後輪にトルクを最適に配分する。それだけではなく、後輪のトルクを左右それぞれで独立制御するトルクベクタリング機構も盛り込んだ。
◆わずか10mm、されど10mmの余裕
4輪への接地荷重を最適化するだけでなくブレーキも協調制御するから、安定した走りを見せる。滑りやすい路面では前後輪のトルク配分を100:0から0:100まで自動的に可変させ、クルマを安定方向に導く。だが、特設コースの難易度はかなり高かった。試乗した日は雨だったこともあり、滑りやすい路面がさらに滑りやすくなっている。しかも鉄で組んだラダーの上を走るのだから、4WDといえどもトラクションがかかりにくい。
第1ステージは傾斜した路面と深くえぐれたモーグルを模したコースである。グリップレベルの高いオールテレインタイヤを履いているから、雨じゃなければノーマルモードでも走りきることができそうだ。が、乗用車ベースのSUVでトライすると苦戦することは間違いない。案の定、ノーマルモードでは接地フィールに頼りなさを感じた。タイヤの実力の高さに助けられた格好だ。
次はダイヤルスイッチを右に回し、ロック&ダートモードにする。前後左右にそれぞれ電子制御多板クラッチを採用していることの効果は絶大だ。片輪が浮いて空転してしまうようなモーグルステージに乗り入れ、タイヤが空転してもアクセルをジワッと踏み込んでいくだけであっけないほど簡単に走りきることができた。ストロークをたっぷりと取った専用サスペンションの仕上がりがいいことに加え、最低地上高を10mm拡大したことが効いている。わずか10mm、されど10mmの余裕なのだ。ラフロードでは絶大な安心感があった。
次のステージは登坂路だ。かなりの勾配で、運転席からは先が見えない。見えるのは空だけである。坂の途中で止まり、そこから再発進を試みたが、油断するとタイヤが空転し、ずり落ちてしまう。だが、ヒルスタートアシストコントロールが再発進を上手にサポートし、平坦路のように滑らかに前に進んでいった。頂点を超え、そこから先は急勾配の下り坂だ。ここではダウンヒルアシストコントロールが威力を発揮し、危なげなく低速で下まで降りることができた。
◆既存「アドベンチャー」オーナーにも朗報
サスペンションもタイヤもいいから、ビギナーでも安心してハードなラフロードの走りを楽しめるだろう。販売価格は346万円だ。これだけポテンシャルが高まっているなら高くはない。すでにアドベンチャーのオーナーになっている人は、歯ぎしりして悔しがるはずだ。
だが、朗報が届いた。このサスペンションキットやオールテレインタイヤなどは、販売店で後付けできると知らされたのである。特別仕様車の純正装備を後付けで提供するのは、トヨタにとって初の試みだそうだ。アウトドア派やオフロードマニアにとっては、魅力的なSUVが登場した。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
片岡英明|モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
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