マツダ CX-5 新型試乗 熟成度が増し、人車一体感に磨きがかかった2.2ディーゼル…斎藤聡
◆年次改良のポイントは「走行性能と利便性の向上」
『CX-5』が年次改良(年改)を受けた。今回の商品改良のポイントは、「走行性能と利便性の向上」。利便性は、センターディスプレイサイズを10.25インチに拡大するほか、すべてのグレードに車載通信機を標準設定。コネクティテットサービスの充実が図られている。
走行性能は、ディーゼルエンジンのパワーアップとアクセル操作に対する応答性を向上が図られた。もちろん気になるのはこの部分。いったいどんな具合に進化しているのか、CX-5の2.2リットルディーゼル=SKYACTIV-D 2.2 に試乗することができたので報告したい。
◆10馬力のパワーアップで伸びのいい加速が実感できる
SKYACTIV-D 2.2は2018年の年改で175ps/420Nmから190ps/450Nmにパワー&トルクアップしている。今回の年改でパワーをさらに10馬力アップし最高出力200ps/4000rpm、最大トルク450Nm/2000rpmとなった。
10馬力程度のパワーアップで違いが判るのか? と思われるかもしれないが、これが案外はっきりとわかる。しかも単に速いだけでなく気持ちよく加速してくれるようになった。
従来のエンジンも2500-3500回転付近のトルクが分厚いので、力強く迫力ある加速を見せてくれたが、今回の10馬力アップは、主に高回転の伸び。従来は4000回転を超えたあたりからエンジン吹き上がり(≒加速感)が鈍くなっていたが、年改後は5000回転まで気持ちよく吹き上がり、パワーの伸び上がっていく感覚が出た。
特にこれを強く感じるのが高速道路料金所からの加速。ATは自動的に可変速してくれるからさほど意識しない回転域だと思うが、この10馬力の違いで文字通り伸びのいい加速が実感できる。刺激というよりも心地よさに近い感覚。
さらに、この心地良さのチューニングは、エンジンの高回転域だけじゃなく、ぐっと身近に、発進のその瞬間もちゃんと施されている。
◆アクセルペダルのバネを重くし違和感ない走りを実現
試乗している最中は、あまりに出来がいいので燃料の噴射プログラムや、電子制御スロットルのチューニングなのだとばかり思っていたのだが、じつはアクセルペダルのバネを交換しただけなのだという。
あらかじめ言っておくと、残念だがアクセルペダルユニットは、新型エンジンの制御プログラムと連動した制御プログラムで、ペダルだけ交換しても反応してくれないので現ユーザーはこの恩恵にあずかれない。ともあれ、従来モデルと乗り比べてみると、年改前はそっと走り出そうとしても、アクセルの踏み始めのところが(大げさに言うと)ぎくしゃくしてスムーズに走り出せないのだ。ところが年改後は、アクセルを無造作に踏んでもするすると滑らかに走り出してくれる。
面白いのは、アクセルペダルのバネは軽くしたのではなく、逆に重くしているのだという。調べてみると、発進時のコントロール性がいいクルマのアクセルは、ほぼ例外なく今回マツダが採用したアクセルの重さに近いものだったという。本当に不思議なのだが、微低速領域のエンジン制御を変えましたよね! と思えるくらいなめらかでスムーズな発信ができるようになっている。小さな事と思われるかもしれないが、これが思い通り…つまりドライバーがストレスや違和感なくクルマを走らせることができる性能につながっているのだ。
細かいけれどとっても大切な性能をしっかり作り込んで、年改に反映しているマツダの姿勢にとても好感が持てる。そしてCX-5は、いよいよ熟成度が増して、人車一体感のある走りの楽しさに磨きがかかった。
それともう一つ。CX-5の年改だけ見ても性能の進化が大きい。これは喜ばしいことである反面、現オーナーのことを考えると気の毒なほど。NEWのすべてでなくてもいいから、アップデートメニューが用意されているとよいのではないかと思うがどうだろう?
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★★☆
斎藤聡|モータージャーナリスト
特に自動車の運転に関する技術、操縦性に関する分析を得意とする。平たくいうと、クルマを運転することの面白さ、楽しさを多くの人に伝え、共有したいと考えている。そうした視点に立った試乗インプレッション等を雑誌及びWEB媒体に寄稿。クルマと路面との接点であるタイヤにも興味をもっており、タイヤに関する試乗レポートも得意。また、安全運転の啓蒙や普及の重要性を痛感し、各種セーフティドライビングスクールのインストラクターも行っている。
『CX-5』が年次改良(年改)を受けた。今回の商品改良のポイントは、「走行性能と利便性の向上」。利便性は、センターディスプレイサイズを10.25インチに拡大するほか、すべてのグレードに車載通信機を標準設定。コネクティテットサービスの充実が図られている。
走行性能は、ディーゼルエンジンのパワーアップとアクセル操作に対する応答性を向上が図られた。もちろん気になるのはこの部分。いったいどんな具合に進化しているのか、CX-5の2.2リットルディーゼル=SKYACTIV-D 2.2 に試乗することができたので報告したい。
◆10馬力のパワーアップで伸びのいい加速が実感できる
SKYACTIV-D 2.2は2018年の年改で175ps/420Nmから190ps/450Nmにパワー&トルクアップしている。今回の年改でパワーをさらに10馬力アップし最高出力200ps/4000rpm、最大トルク450Nm/2000rpmとなった。
10馬力程度のパワーアップで違いが判るのか? と思われるかもしれないが、これが案外はっきりとわかる。しかも単に速いだけでなく気持ちよく加速してくれるようになった。
従来のエンジンも2500-3500回転付近のトルクが分厚いので、力強く迫力ある加速を見せてくれたが、今回の10馬力アップは、主に高回転の伸び。従来は4000回転を超えたあたりからエンジン吹き上がり(≒加速感)が鈍くなっていたが、年改後は5000回転まで気持ちよく吹き上がり、パワーの伸び上がっていく感覚が出た。
特にこれを強く感じるのが高速道路料金所からの加速。ATは自動的に可変速してくれるからさほど意識しない回転域だと思うが、この10馬力の違いで文字通り伸びのいい加速が実感できる。刺激というよりも心地よさに近い感覚。
さらに、この心地良さのチューニングは、エンジンの高回転域だけじゃなく、ぐっと身近に、発進のその瞬間もちゃんと施されている。
◆アクセルペダルのバネを重くし違和感ない走りを実現
試乗している最中は、あまりに出来がいいので燃料の噴射プログラムや、電子制御スロットルのチューニングなのだとばかり思っていたのだが、じつはアクセルペダルのバネを交換しただけなのだという。
あらかじめ言っておくと、残念だがアクセルペダルユニットは、新型エンジンの制御プログラムと連動した制御プログラムで、ペダルだけ交換しても反応してくれないので現ユーザーはこの恩恵にあずかれない。ともあれ、従来モデルと乗り比べてみると、年改前はそっと走り出そうとしても、アクセルの踏み始めのところが(大げさに言うと)ぎくしゃくしてスムーズに走り出せないのだ。ところが年改後は、アクセルを無造作に踏んでもするすると滑らかに走り出してくれる。
面白いのは、アクセルペダルのバネは軽くしたのではなく、逆に重くしているのだという。調べてみると、発進時のコントロール性がいいクルマのアクセルは、ほぼ例外なく今回マツダが採用したアクセルの重さに近いものだったという。本当に不思議なのだが、微低速領域のエンジン制御を変えましたよね! と思えるくらいなめらかでスムーズな発信ができるようになっている。小さな事と思われるかもしれないが、これが思い通り…つまりドライバーがストレスや違和感なくクルマを走らせることができる性能につながっているのだ。
細かいけれどとっても大切な性能をしっかり作り込んで、年改に反映しているマツダの姿勢にとても好感が持てる。そしてCX-5は、いよいよ熟成度が増して、人車一体感のある走りの楽しさに磨きがかかった。
それともう一つ。CX-5の年改だけ見ても性能の進化が大きい。これは喜ばしいことである反面、現オーナーのことを考えると気の毒なほど。NEWのすべてでなくてもいいから、アップデートメニューが用意されているとよいのではないかと思うがどうだろう?
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