ロールスロイス ゴースト 新型試乗 “クルマにすべてをお任せください”という哲学…九島辰也
今回ステアリングを握ったのは2009年にデビューした『ゴースト』の2世代目。従来型は2003年にグッドウッドに生産工場を移動してから誕生した新世代モデルで、『ファントム』の弟分的ポジションとなる。
とはいえ、ショーファードリブン(運転手付き)色の強いファントムとは違いドライバーズカー的要素が強い。その証拠にゴーストの派生モデルには2ドアクーペの『レイス』とオープントップの『ドーン』がラインナップされる。ベースはゴーストと言うことだ。
◆優雅なサルーンが豹変 脳も予測しない目の覚めるような加速
新型の特徴はアルミニウム製スペースフレームを持つこと。ファントム、『カリナン』、そしてこのクルマと最新技術が受け継がれた。つまり、基本骨格からすべて新設計となる。
日光で行われた試乗会では、“スピリット・オブ・エクスタシー”のオーナメントとドアに内蔵される傘以外すべて変わったとアナウンスされた。
エンジンは伝統の排気量6.75リットルV12で、最高出力571ps、最大トルク850Nmを発揮する。4ドアサルーンとしては十分過ぎるのは言わずもがな。というか、ロールス・ロイスともなると他と比べるのもおこがましい気がする。数字だけ聞けばかなりのパフォーマンスを発揮するのは想像できる。
事実、試乗の後半、高速道路でそれまでより少しばかり強くアクセルを踏み込んでみた。すると目の覚めるような加速が始まり、周りの景色を置き去りにする。身体はシートに押し付けられ、目がついていくのもやっとといった感覚だ。きっと脳がそこまでの加速を予期していなかったのであろう。優雅なサルーンが豹変した瞬間だ。
◆乗り心地はGPSとカメラを使って事前にエアサスを調整
このエンジンの滑らかな吹け上がりもそうだが、個人的に強く興味を持ったのは乗り心地である。それは急加速とは違いとても自然に身体に馴染んでくる。理由はGPSとカメラを使って事前にエアサスが調整されるところにある。ある時は柔らかく、ある時は引き締め、最適な乗り味を乗員に提供する仕組みだ。
つまり、高速道路ではソフト路線をキープするが、ワインディングでは最適化を図りキャビンをフラットに保つ。常に柔らかいとリアシートのパッセンジャーは車酔いしてしまうだろう。ロール・ロイスが長い間形容される「マジック・カーペット・ライド(魔法の絨毯のような乗り心地)」は健在ということだ。
それを機械的に説明すると、フロントサスペンションに独特な技術を投入している。それはフロントサスペンション取り付け上部に別のダンパーを装着したこと。アッパー・ウィッシュボーン・ダンパーと呼ばれるのがそれで、通常のサスペンションのアッパーマウント上にさらにもう一段サスペンションを付けたのだ。これはフロントタイヤの隙間からも見られるので興味ある方はショールームで確かめるといいだろう。
◆クルマにすべてをお任せください
最後に何がロールス・ロイスらしいかといえば、それをすべてクルマが勝手に行うこと。他のモデルにある"ドライブモード"らしきものは一切なく、クルマにすべてお任せという図式だ。これこそ彼らの哲学そのまま。現代においてその考えは徹底している。
というのが今回のファーストインプレッションとなる。これまで以上にドライバーズカーに振っているのがポイントだ。ただ、それでも普通に考えるドライバーズカーでないことは確か。まぁ、それがロールス・ロイス流なのだろう。いずれにせよ、浮世離れしているクルマであることは間違いない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社 刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社 刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。
とはいえ、ショーファードリブン(運転手付き)色の強いファントムとは違いドライバーズカー的要素が強い。その証拠にゴーストの派生モデルには2ドアクーペの『レイス』とオープントップの『ドーン』がラインナップされる。ベースはゴーストと言うことだ。
◆優雅なサルーンが豹変 脳も予測しない目の覚めるような加速
新型の特徴はアルミニウム製スペースフレームを持つこと。ファントム、『カリナン』、そしてこのクルマと最新技術が受け継がれた。つまり、基本骨格からすべて新設計となる。
日光で行われた試乗会では、“スピリット・オブ・エクスタシー”のオーナメントとドアに内蔵される傘以外すべて変わったとアナウンスされた。
エンジンは伝統の排気量6.75リットルV12で、最高出力571ps、最大トルク850Nmを発揮する。4ドアサルーンとしては十分過ぎるのは言わずもがな。というか、ロールス・ロイスともなると他と比べるのもおこがましい気がする。数字だけ聞けばかなりのパフォーマンスを発揮するのは想像できる。
事実、試乗の後半、高速道路でそれまでより少しばかり強くアクセルを踏み込んでみた。すると目の覚めるような加速が始まり、周りの景色を置き去りにする。身体はシートに押し付けられ、目がついていくのもやっとといった感覚だ。きっと脳がそこまでの加速を予期していなかったのであろう。優雅なサルーンが豹変した瞬間だ。
◆乗り心地はGPSとカメラを使って事前にエアサスを調整
このエンジンの滑らかな吹け上がりもそうだが、個人的に強く興味を持ったのは乗り心地である。それは急加速とは違いとても自然に身体に馴染んでくる。理由はGPSとカメラを使って事前にエアサスが調整されるところにある。ある時は柔らかく、ある時は引き締め、最適な乗り味を乗員に提供する仕組みだ。
つまり、高速道路ではソフト路線をキープするが、ワインディングでは最適化を図りキャビンをフラットに保つ。常に柔らかいとリアシートのパッセンジャーは車酔いしてしまうだろう。ロール・ロイスが長い間形容される「マジック・カーペット・ライド(魔法の絨毯のような乗り心地)」は健在ということだ。
それを機械的に説明すると、フロントサスペンションに独特な技術を投入している。それはフロントサスペンション取り付け上部に別のダンパーを装着したこと。アッパー・ウィッシュボーン・ダンパーと呼ばれるのがそれで、通常のサスペンションのアッパーマウント上にさらにもう一段サスペンションを付けたのだ。これはフロントタイヤの隙間からも見られるので興味ある方はショールームで確かめるといいだろう。
◆クルマにすべてをお任せください
最後に何がロールス・ロイスらしいかといえば、それをすべてクルマが勝手に行うこと。他のモデルにある"ドライブモード"らしきものは一切なく、クルマにすべてお任せという図式だ。これこそ彼らの哲学そのまま。現代においてその考えは徹底している。
というのが今回のファーストインプレッションとなる。これまで以上にドライバーズカーに振っているのがポイントだ。ただ、それでも普通に考えるドライバーズカーでないことは確か。まぁ、それがロールス・ロイス流なのだろう。いずれにせよ、浮世離れしているクルマであることは間違いない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
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