ホンダ N-BOX 新型試乗 実は一番の「推し車」と言ったら驚くだろうか…中谷明彦
僕の「推し車」といえば、誰もがフェラーリやポルシェなどのスーパースポーツカーだと思うだろう。だが実はホンダの軽『N-BOX』が一番の推し車であり、中古車で2017年モデルを探していると聞いたら驚かれるだろうか。
◆「草履のサンダル」のような使い勝手のいい車
車は、「走る」「曲がる」「止まる」はもちろん、実用的で装備が良くて使い勝手がいいという条件を満たしてこそ、初めて道具として役に立つ。もちろんポルシェやフェラーリも好きだけれども、毎日の生活の中で足代わりとして本当に役に立つその「草履のサンダル」のような使い勝手のいい車といったらN-BOXなのだ。
N-BOXは、ターボ付きを選べば走りもいいし、装備も両側電動スライドドアやシートヒーターがついていたり(←ここ重要)そして圧倒的な後席の広さ、そうした様々な装備がとっても使い勝手が良くて大変気に入っている。
◆シビック開発予算と同等の予算をかけて開発
N-BOXは、2011年に『シビック』が売れなくてフィットも伸び悩んでいた頃、「起死回生の車」としてシビックにかける開発予算と同等の予算をかけて開発したといわれる軽自動車で、そういう意味では他の軽自動車メーカーには真似ができないほど開発予算と技術者の力が込められている。シャーシ、ボディーにしてもエンジンにしても走りにしても装備にしても、本当にコストが掛かっていてよく作りこまれているというのが分かる。
僕が気に入っている装備としては、まず「左右両側電動スライドドア」。これは運転席からもリモコンで操作ができる優れもので(グレードにもよるが)、それから「運転席の肘掛け」、これがあると隣の席との仕切りにもなるし、肘掛けを上げるとベンチシートになって左右の移動が楽になるし、実はこの肘掛けはとても役に立つ装備なのである。
それから、左のAピラーに付けられている小さなミラーの「ピタ駐ミラー」。トールサイズの軽自動車は自分のボディのすぐ横や左斜め前に見にくい死角があるのだが、そこをミラーの組み合わせで障害物を確認できる。カメラを使わずにミラーだけでできているところに感心し実用性の高さも感じられる。
また後席に移れば、4人掛けながら左右独立で前後にスライドして、しかも後席もちゃんとリクライニングする。おまけに後席にも肘掛けが付いていて、それぞれのシートの独立性が高い。両側電動スライドドアのウィンドウには「サンシェード」(もとはBMWの最上級セダン『7シリーズ』の後席に高級装備として採用されていた)が付いていて、これが目隠しにもなって車内で休んだり寝たり着替えたりすることもできる。
左右独立で前後スライドすることによって荷物の積載性もすごく良いし、シートの座面を跳ね上げて大きな荷物置き場が現れるという、ホンダが得意とするカラクリシート。例えば後ろ向きで駐車してリアゲートが開けられないような時に、後席の座面を持ち上げて横から荷物を出し入れできるように工夫がされている。
◆140km/hで巡航しても安定して走る動力性能
ノーマルの「NA」のターボ無しでも市街地だったら全く不満なく走れる。「ターボ付き」であれば高速道路に乗り入れても動力性能的に全く不足はない。僕が矢田部のテストコースで「ターボ付き」と「NA」と両方試したが、ターボ付きは140km/hで巡航しても音が静かでまだ余裕を感じられるほどだった。
軽自動車は140km/hでスピードリミッターが作動するのでメーター表示は「140」までしかないが、そのメーターが振り切れるぐらいのところを巡航しても安定して走ることができた。
他のメーカーでは、たとえスピードは同じく出たとしても、音がうるさいとかスムースさに欠け振動があるとか、車としての質感的にやはり軽自動車だなと思わせられところがあるのだが、N-BOXは普通車と同じような質感、もしくはそれ以上に静かで快適な走りなのだ。
ワインディングロードを走っても、重心が高いのにロールがとても少ない。実は、“初代”の「N-BOXカスタムターボ」の方がコーナーの走りは良かった。最新モデルは、足がソフトになり若干ボディの車体の動きが大きくなって、乗り心地自体は良くなっているものの、コーナーでの安定性は実は先代の古いタイプの方が好みである。
そして最重要装備の「シートヒーター」が備わったのが2017年モデルから。それが「2017年モデルのカスタムターボ」を探している理由だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
中谷明彦|レース&テストドライバー/自動車関連コンサルタント
大学在学中よりレーサー/モータージャーナリストとして活動。1988年全日本F3選手権覇者となるなど国内外で活躍。1997年よりドライビング理論研究会「中谷塾」を開設、2009年より東京大学と自動車新技術の共同研究に取組む。自動車関連の開発、イベント運営など様々な分野でのコンサルタントも行っている。
◆「草履のサンダル」のような使い勝手のいい車
車は、「走る」「曲がる」「止まる」はもちろん、実用的で装備が良くて使い勝手がいいという条件を満たしてこそ、初めて道具として役に立つ。もちろんポルシェやフェラーリも好きだけれども、毎日の生活の中で足代わりとして本当に役に立つその「草履のサンダル」のような使い勝手のいい車といったらN-BOXなのだ。
N-BOXは、ターボ付きを選べば走りもいいし、装備も両側電動スライドドアやシートヒーターがついていたり(←ここ重要)そして圧倒的な後席の広さ、そうした様々な装備がとっても使い勝手が良くて大変気に入っている。
◆シビック開発予算と同等の予算をかけて開発
N-BOXは、2011年に『シビック』が売れなくてフィットも伸び悩んでいた頃、「起死回生の車」としてシビックにかける開発予算と同等の予算をかけて開発したといわれる軽自動車で、そういう意味では他の軽自動車メーカーには真似ができないほど開発予算と技術者の力が込められている。シャーシ、ボディーにしてもエンジンにしても走りにしても装備にしても、本当にコストが掛かっていてよく作りこまれているというのが分かる。
僕が気に入っている装備としては、まず「左右両側電動スライドドア」。これは運転席からもリモコンで操作ができる優れもので(グレードにもよるが)、それから「運転席の肘掛け」、これがあると隣の席との仕切りにもなるし、肘掛けを上げるとベンチシートになって左右の移動が楽になるし、実はこの肘掛けはとても役に立つ装備なのである。
それから、左のAピラーに付けられている小さなミラーの「ピタ駐ミラー」。トールサイズの軽自動車は自分のボディのすぐ横や左斜め前に見にくい死角があるのだが、そこをミラーの組み合わせで障害物を確認できる。カメラを使わずにミラーだけでできているところに感心し実用性の高さも感じられる。
また後席に移れば、4人掛けながら左右独立で前後にスライドして、しかも後席もちゃんとリクライニングする。おまけに後席にも肘掛けが付いていて、それぞれのシートの独立性が高い。両側電動スライドドアのウィンドウには「サンシェード」(もとはBMWの最上級セダン『7シリーズ』の後席に高級装備として採用されていた)が付いていて、これが目隠しにもなって車内で休んだり寝たり着替えたりすることもできる。
左右独立で前後スライドすることによって荷物の積載性もすごく良いし、シートの座面を跳ね上げて大きな荷物置き場が現れるという、ホンダが得意とするカラクリシート。例えば後ろ向きで駐車してリアゲートが開けられないような時に、後席の座面を持ち上げて横から荷物を出し入れできるように工夫がされている。
◆140km/hで巡航しても安定して走る動力性能
ノーマルの「NA」のターボ無しでも市街地だったら全く不満なく走れる。「ターボ付き」であれば高速道路に乗り入れても動力性能的に全く不足はない。僕が矢田部のテストコースで「ターボ付き」と「NA」と両方試したが、ターボ付きは140km/hで巡航しても音が静かでまだ余裕を感じられるほどだった。
軽自動車は140km/hでスピードリミッターが作動するのでメーター表示は「140」までしかないが、そのメーターが振り切れるぐらいのところを巡航しても安定して走ることができた。
他のメーカーでは、たとえスピードは同じく出たとしても、音がうるさいとかスムースさに欠け振動があるとか、車としての質感的にやはり軽自動車だなと思わせられところがあるのだが、N-BOXは普通車と同じような質感、もしくはそれ以上に静かで快適な走りなのだ。
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