【三菱 アウトランダーPHEV 新型試乗】EVが主流!? いえいえHVこそメインストリームです…桂伸一
新時代の三菱マスクがスタイリングとマッチしてようやく定着した感がある新型『アウトランダー PHEV』。ルノー日産と三菱のアライアンスによって誕生したアウトランダーPHEVは、まずはプロトタイプの試乗だが、ほぼ量産型と言っていい緻密な制御の仕上がりに思わず前のめりになった。
テストコースはレスポンスではお馴染みの「袖ヶ浦フォレストレースウェイ」。勝手知ったるこのコースをアウトランダーPHEVがどう駆け抜けるか!?
◆「もうひと伸び」に応えたバッテリー容量とパワー
アウトランダーPHEVは世界に先駆けて家庭電源でも充電可能なプラグインハイブリッドとして、通常はEVで、高速や長距離はEVとエンジンを効率良く可動させるHEV=ハイブリッドとして使え、時代にもっとも適しているパワーユニットだと断言できる。そのPHEVユニットは「ツインモーター4WD」として世界に先駆けた。
新型はモーターのパワー/トルクを、フロント用は60kW/137Nmから85kW/255Nmに、リア用は70kW/137Nmから一気に100kW/195Nmと大幅に引き上げ。バッテリー容量も13.8kWh/300Vから20kWh/350Vに大容量化。バッテリー容量の拡大はもちろんEVでの航続距離に大きく影響する。
筆者はEV走行約50kmのPHEVを普段の足にするが、その50kmが「もうひと伸びしてくれると嬉しい」と思う航続距離を、新型アウトランダーはEVの通常モードで83kmまで延ばす。これはもう通常の仕事量を余裕でこなす距離だ。因みに燃料タンクを従来の45リットルから56リットルにした事も含め、総航続距離は1000kmを越える!!
◆この味まさに「背の高いランエボ」
アクセルに軽く足をのせる。ドンと飛び出さない制御はEVを造り続けて来た三菱らしい安心安定制御。音もなくスルスルと2トンの巨漢をスタートさせる。アクセルを踏み込む量と速さに応じて、ドライバーの思いを忠実に動きに反映。心地良く、どころか速度制限の無い袖ヶ浦ゆえ、ペダルを床まで踏み込んだときのモーターと2.4リットルエンジンが発電機から動力側に加勢することで得られるパフォーマンス、瞬間ダッシュと同時にどこまでも伸びのある加速フィールは、大排気量エンジンのような余裕に満ち溢れている。
同時に背の高いSUVの室内に居る事を忘れさせる要因は、目前に迫るコーナーに向けて減速と同時にステアリングを操作した瞬間からのボディの動きにある。お家芸ともいえる4輪の駆動を個々に制御できる「S-AWC(スーパーオールホイールコントロール)」をより緻密で高い精度でコントロールするが、新型は姿勢変化に大きく意味を持つ「AYC(アクティブヨーコントロール)」を従来の前輪のみならず、後輪でも制御。
コーナー進入からステアリングの切り角に忠実に曲がるが、進入速度が高く、高い旋回速度で曲がろうとすると、大きくロールして狙ったラインから外にはらむ…と言うシーンで、そこまでの状況が無かったかのように後輪のブレーキベクタリング制御で、探る間もなくノーズは舵角通りインを向く。
この味まさに「背の高いランエボ」。ハンドリングと安定性、モータートルクによる動力性能とパリダカのノウハウを持つ走破性の高さは、アウトランダーPHEVが世界のライバルたちをリードする!! という例えが大袈裟でない事は、公道に放たれた時に誰もが実感できるだろう。
◆「どうしたの?」と言うほど質感が高いインテリア
先代アウトランダーが先陣を切った、ステアリング裏の左右のパドルによる回生ブレーキの強弱と、空走つまりコースティングを可能にするその動力系のコントロールも、マニュアル操作する愉しさを思い出させてくれる。
加速したらコースティング。走行方法で燃費と電費を自在に延ばす事が可能になる。EVが主流に!? いえいえまだまだHEV&PHEV=ハイブリッドこそメインストリームです。
最後に、最大の驚きを紹介。それはインテリアを眺めれば一目瞭然である。ソレまでの三菱車を知る者からすると、どうしたの? と言う程にデザインも質感も精度も高い、嬉しい変化。アライアンス効果に間違いないが、いい意味でのシナジー効果である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
桂 伸一|モータージャーナリスト/レーシングドライバー AJAJ会員
1959年東京生まれ。1982年より自動車雑誌編集部でレポーター活動開始。同時に幼少期からの憧れだったレーシングドライバー活動も編集部時代に開始。以後二足のわらじ。乗って、走れて、書くをマニアックではなく一般ユーザー目線でわかりやすくレポートする事を信条とする。レースではFF車、GT-R、ランサーEVOでシリーズタイトルを戦った後、世界の自動車メーカーの開発の聖地とされるドイツ・ニュルブルクリンクにアストンマーティン・ワークスから参戦した事がハイライト。2013年はアストン100周年を記念して世界初の水素/ガソリンハイブリッド車で参戦、クラス優勝。現行バンテージのデビュー戦でお呼びがかかるも、ライセンスの更新ミスで出場を断念。そういう”オチ”も得意とする。
テストコースはレスポンスではお馴染みの「袖ヶ浦フォレストレースウェイ」。勝手知ったるこのコースをアウトランダーPHEVがどう駆け抜けるか!?
◆「もうひと伸び」に応えたバッテリー容量とパワー
アウトランダーPHEVは世界に先駆けて家庭電源でも充電可能なプラグインハイブリッドとして、通常はEVで、高速や長距離はEVとエンジンを効率良く可動させるHEV=ハイブリッドとして使え、時代にもっとも適しているパワーユニットだと断言できる。そのPHEVユニットは「ツインモーター4WD」として世界に先駆けた。
新型はモーターのパワー/トルクを、フロント用は60kW/137Nmから85kW/255Nmに、リア用は70kW/137Nmから一気に100kW/195Nmと大幅に引き上げ。バッテリー容量も13.8kWh/300Vから20kWh/350Vに大容量化。バッテリー容量の拡大はもちろんEVでの航続距離に大きく影響する。
筆者はEV走行約50kmのPHEVを普段の足にするが、その50kmが「もうひと伸びしてくれると嬉しい」と思う航続距離を、新型アウトランダーはEVの通常モードで83kmまで延ばす。これはもう通常の仕事量を余裕でこなす距離だ。因みに燃料タンクを従来の45リットルから56リットルにした事も含め、総航続距離は1000kmを越える!!
◆この味まさに「背の高いランエボ」
アクセルに軽く足をのせる。ドンと飛び出さない制御はEVを造り続けて来た三菱らしい安心安定制御。音もなくスルスルと2トンの巨漢をスタートさせる。アクセルを踏み込む量と速さに応じて、ドライバーの思いを忠実に動きに反映。心地良く、どころか速度制限の無い袖ヶ浦ゆえ、ペダルを床まで踏み込んだときのモーターと2.4リットルエンジンが発電機から動力側に加勢することで得られるパフォーマンス、瞬間ダッシュと同時にどこまでも伸びのある加速フィールは、大排気量エンジンのような余裕に満ち溢れている。
同時に背の高いSUVの室内に居る事を忘れさせる要因は、目前に迫るコーナーに向けて減速と同時にステアリングを操作した瞬間からのボディの動きにある。お家芸ともいえる4輪の駆動を個々に制御できる「S-AWC(スーパーオールホイールコントロール)」をより緻密で高い精度でコントロールするが、新型は姿勢変化に大きく意味を持つ「AYC(アクティブヨーコントロール)」を従来の前輪のみならず、後輪でも制御。
コーナー進入からステアリングの切り角に忠実に曲がるが、進入速度が高く、高い旋回速度で曲がろうとすると、大きくロールして狙ったラインから外にはらむ…と言うシーンで、そこまでの状況が無かったかのように後輪のブレーキベクタリング制御で、探る間もなくノーズは舵角通りインを向く。
この味まさに「背の高いランエボ」。ハンドリングと安定性、モータートルクによる動力性能とパリダカのノウハウを持つ走破性の高さは、アウトランダーPHEVが世界のライバルたちをリードする!! という例えが大袈裟でない事は、公道に放たれた時に誰もが実感できるだろう。
◆「どうしたの?」と言うほど質感が高いインテリア
先代アウトランダーが先陣を切った、ステアリング裏の左右のパドルによる回生ブレーキの強弱と、空走つまりコースティングを可能にするその動力系のコントロールも、マニュアル操作する愉しさを思い出させてくれる。
加速したらコースティング。走行方法で燃費と電費を自在に延ばす事が可能になる。EVが主流に!? いえいえまだまだHEV&PHEV=ハイブリッドこそメインストリームです。
最後に、最大の驚きを紹介。それはインテリアを眺めれば一目瞭然である。ソレまでの三菱車を知る者からすると、どうしたの? と言う程にデザインも質感も精度も高い、嬉しい変化。アライアンス効果に間違いないが、いい意味でのシナジー効果である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
桂 伸一|モータージャーナリスト/レーシングドライバー AJAJ会員
1959年東京生まれ。1982年より自動車雑誌編集部でレポーター活動開始。同時に幼少期からの憧れだったレーシングドライバー活動も編集部時代に開始。以後二足のわらじ。乗って、走れて、書くをマニアックではなく一般ユーザー目線でわかりやすくレポートする事を信条とする。レースではFF車、GT-R、ランサーEVOでシリーズタイトルを戦った後、世界の自動車メーカーの開発の聖地とされるドイツ・ニュルブルクリンクにアストンマーティン・ワークスから参戦した事がハイライト。2013年はアストン100周年を記念して世界初の水素/ガソリンハイブリッド車で参戦、クラス優勝。現行バンテージのデビュー戦でお呼びがかかるも、ライセンスの更新ミスで出場を断念。そういう”オチ”も得意とする。
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