【トヨタ カローラクロス 新型試乗】思い切って別の名前をつけてもよかったのに…岩貞るみこ

  • トヨタ カローラクロス
カローラのイメージを想像していたのに、ぜんぜん違う
『カローラ』という名前がついているから、カローラのイメージを想像していたのに、ぜんぜん違う。えっと、カローラのイメージというのはですね、実直で地味で、老舗過ぎて地味で、名前は有名だけど地味で、ふつうすぎて地味。

この『カローラクロス』、全長は、カローラとほぼ同じだし(カローラ4495mm、カローラクロス4490mm)、全高は当然、高くなるけれど(カローラ1435mm、カローラクロス1620mm)、全幅が、1825mmってどういうことなのだ。カローラは、1745mmに抑えられているし、同じ遊び活用をターゲットにしている『カローラフィールダー』にいたっては、5ナンバーを死守して1695mmにしているというのに。カローラクロスが1825mmって……1825mm!

1800mmを超えると、横幅感覚のハードルが急に上がる。車庫入れはどきどきするし、駐車場でのドアの開け閉めは、めちゃくちゃ気を使うし、洗車機は胃がめくれそうだし。

とはいえ、フィールダーよりもさらに遠出を促すコンセプトということで、車内はゆったり、荷物はどっさり積むことを考えると、この横幅は仕方ないのかもしれない。実際、高速道路を走らせても空間の豊かさは落ち着く。車内にほかの人がいても、適度な距離感が保たれるのはストレスが少なくて済むのである。

そうそう、このくらいでちょうどいいのよ
あまりにもあちこちで見かけすぎて地味だけど、カローラの素性のよさは、出しゃばらず、縁の下でいい仕事をしてくれること。よって、ふつうに乗れてふつうに走れて、なんとなく心地よくなってしまう。カローラクロスもそのよさは、十分に受け継いでいる。

車庫入れはともかく、走り始めると気を使わない。ほんとうに楽。スムーズで、自然体で、ほんの少し、遊び心を感じられる。今回はガソリン車だったので、加速するときはCVTならではのエンジン音の盛り上がりを感じたけれど、それもまたよろし。

そつなくまとめられていて、そうそう、このくらいでちょうどいいのよ、これで思い切り、自然のなかに走りに行きたいのよ、なんなら、今流行のソロキャンプなんてしちゃいたいのよと、好奇心が思い切りくすぐられてしまう。本当に、全方位、欠点なし。

ただ、カローラという名前がね。ちょっとね。これだけのクルマなんだから、思い切って別の名前をつけてしまえばよかったのにと、思わずにいられないのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。最新刊は「世界でいちばん優しいロボット」(講談社)。

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