【三菱 アウトランダー PHEV 新型試乗】車格だけでなく、楽しみ方の幅も広がった…島崎七生人
最上級感プンプンの新型アウトランダー
対向車も狭い裏道もないサーキットと違い、一般公道で乗って新型『アウトランダー』は、まず「意外と大きなクルマだな」と思った。そのことをCPSチーム・荻野綾子さんに伝えると「先代に較べ幅も大きくなり、実は私も最初はどうかな?と思った」との返答。
ところがすかさず逆説話法で「でも実際には大きさは気にならない。むしろドライブモードや4駆の制御が入っていて、安心感が得られ、どなたでも運転しやすい」とも。これだけSUVが定着し、確かに平日も内外の大型SUVを颯爽と乗りこなす女性ドライバーの姿もよく見かけるようになった。そういう時代だから、新型『アウトランダー』のボディサイズもまったく問題なしということなのだろう。
ちなみに前から見ると、ちょっとしたクルマの2台分はあろうかと思える天地方向の厚みだが、このドッシリとしたフロントマスクは、購入者のほぼ100%がお気に入りのポイントに挙げているという。
とにかく最上級感プンプンの実車は、インテリアも同様に上質だ。コーティングが薄く風合いのいいレザーシートを始め、スイッチ類の操作タッチに至るまで、これまでとは段違いの上質感。完全にプレミアムカーの領域だ。ただしせっかくのサードシートは折り畳み/引き起こしの操作手順がマスターする前はやや難解で、シートの自重も重いため、今現状以上にサクッと操作が可能なアイデアが盛り込まれたらなおよさそうだ。
サイズに見合った、シッカリとした安心感、安定感
走りは、年度末ごとの水道工事などないサーキットと違い、一般公道では、とくに街中で意外にも気骨のある乗り味に思えた。おろしたてのクルマでサスペンションもタイヤもこれからなじみが出てくるせいなのか、時間をかけて走り込めばいいのかわからないが、試乗会場でクルマを受け取り、街中にサッと出た印象では、割とザワッとした部分があり、いっそ可変ダンパーやエアサスがあっても、このクルマにはちょうどいいくらいなのでは?と感じた。とはいえ、駆動系の緻密な制御もあり、全体としてはボディサイズに見合った、シッカリとした安心感、安定感が実感できる。
一方でパワーコントロールはごく自然で秀逸だ。PHEVシステムのエンジン、バッテリーの出力を調整するECUのパラメーターの適合・開発担当の杉本喬紀さんによれば「バッテリーとモーターの容量と出力がアップし、ドライバーがどのような状況でも意図した出力が出せるようにしたこと、エンジン音を目立たないようにしたこと」などがポイントだという。
走りの楽しみ方の幅も広げられた
「状況によりバッテリーからエンジンの発電に素早くさり気なく切り替える」といった点にも開発の注力が置かれた。その効果はもちろん実感することができ、走行中のエンジンの“入り方”はとにかくスムースでフェードイン、もしくは気付かないほどでいい。とはいえ、日常ユースで満充電からのスタートであれば、街中の距離なら当然ほぼEVで走れる。
杉本さんご自身の運転の仕方を伺ってみたところ、「高速道路ではチャージモードで電気を貯めておき、高速を降りたらEV走行に。それとブレーキを使わずパドルで“Bゼロ”を選び、コースティングを多用して航続距離を伸ばすようにしている」のだそう。その一方で新型では、ターマックモード、スポーツモードでの加速の立ち上がり方が高められており、ここぞという時に手応えが味わえる走りも楽しめるようになっている。
じっくりと向き合うと、新たな面がいくらでも発見できそうだが、新型『アウトランダー』は、車格感がクラスアップしただけでなく、走りの楽しみ方の幅も広げられたという訳だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
対向車も狭い裏道もないサーキットと違い、一般公道で乗って新型『アウトランダー』は、まず「意外と大きなクルマだな」と思った。そのことをCPSチーム・荻野綾子さんに伝えると「先代に較べ幅も大きくなり、実は私も最初はどうかな?と思った」との返答。
ところがすかさず逆説話法で「でも実際には大きさは気にならない。むしろドライブモードや4駆の制御が入っていて、安心感が得られ、どなたでも運転しやすい」とも。これだけSUVが定着し、確かに平日も内外の大型SUVを颯爽と乗りこなす女性ドライバーの姿もよく見かけるようになった。そういう時代だから、新型『アウトランダー』のボディサイズもまったく問題なしということなのだろう。
ちなみに前から見ると、ちょっとしたクルマの2台分はあろうかと思える天地方向の厚みだが、このドッシリとしたフロントマスクは、購入者のほぼ100%がお気に入りのポイントに挙げているという。
とにかく最上級感プンプンの実車は、インテリアも同様に上質だ。コーティングが薄く風合いのいいレザーシートを始め、スイッチ類の操作タッチに至るまで、これまでとは段違いの上質感。完全にプレミアムカーの領域だ。ただしせっかくのサードシートは折り畳み/引き起こしの操作手順がマスターする前はやや難解で、シートの自重も重いため、今現状以上にサクッと操作が可能なアイデアが盛り込まれたらなおよさそうだ。
サイズに見合った、シッカリとした安心感、安定感
走りは、年度末ごとの水道工事などないサーキットと違い、一般公道では、とくに街中で意外にも気骨のある乗り味に思えた。おろしたてのクルマでサスペンションもタイヤもこれからなじみが出てくるせいなのか、時間をかけて走り込めばいいのかわからないが、試乗会場でクルマを受け取り、街中にサッと出た印象では、割とザワッとした部分があり、いっそ可変ダンパーやエアサスがあっても、このクルマにはちょうどいいくらいなのでは?と感じた。とはいえ、駆動系の緻密な制御もあり、全体としてはボディサイズに見合った、シッカリとした安心感、安定感が実感できる。
一方でパワーコントロールはごく自然で秀逸だ。PHEVシステムのエンジン、バッテリーの出力を調整するECUのパラメーターの適合・開発担当の杉本喬紀さんによれば「バッテリーとモーターの容量と出力がアップし、ドライバーがどのような状況でも意図した出力が出せるようにしたこと、エンジン音を目立たないようにしたこと」などがポイントだという。
走りの楽しみ方の幅も広げられた
「状況によりバッテリーからエンジンの発電に素早くさり気なく切り替える」といった点にも開発の注力が置かれた。その効果はもちろん実感することができ、走行中のエンジンの“入り方”はとにかくスムースでフェードイン、もしくは気付かないほどでいい。とはいえ、日常ユースで満充電からのスタートであれば、街中の距離なら当然ほぼEVで走れる。
杉本さんご自身の運転の仕方を伺ってみたところ、「高速道路ではチャージモードで電気を貯めておき、高速を降りたらEV走行に。それとブレーキを使わずパドルで“Bゼロ”を選び、コースティングを多用して航続距離を伸ばすようにしている」のだそう。その一方で新型では、ターマックモード、スポーツモードでの加速の立ち上がり方が高められており、ここぞという時に手応えが味わえる走りも楽しめるようになっている。
じっくりと向き合うと、新たな面がいくらでも発見できそうだが、新型『アウトランダー』は、車格感がクラスアップしただけでなく、走りの楽しみ方の幅も広げられたという訳だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
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