【トヨタ ノア/ヴォクシー 新型試乗】“顔”以外の最大の特徴は「扱いやすさ」…内田俊一
フルモデルチェンジしたトヨタの新型『ノア』と新型『ヴォクシー』に短時間ながら試乗することが出来た。その仕上がりは誰が乗っても扱いやすく、さらに違和感のない完成度だった。
最大の特徴は「扱いやすさ」
今回乗ることが出来たのは「ノア S-Z」の7人乗り・FFでハイブリッド、そして「ヴォクシー S-G E-Four」、「ヴォクシー S-Z」FFのガソリン車だ。
いずれの車両にも共通しているのは、ドライビングポジションが乗用車に近づいたことによる運転姿勢の取りやすさだ。また、視界がとても良いので初見で乗っても安心して走らせることが出来る。更に、スイッチ類が必要な個所にわかりやすくレイアウトされているので、これも扱いやすさとともに安心感につながっている。様々な運転技量の人が乗るクルマだからこそ、こういうったこだわりは大切なのである。
今回新たに採用された3rdシートの跳ね上げロックや、テールゲートを途中で止められる機能などの“からくり”は、ユーザー目線で設定されており、力はほとんどいらず、女性でも扱いやすい。ただし、3rdシートをもとの位置に戻す際は、最後にバックレストを起こす必要があり、その姿勢は少々体に負担がかかるもの。起こしやすいように紐か何かがバックレストについているとありがたく感じた。
ノア/ヴォク初の運転支援機能も
今回の安全運転支援システムのひとつ、プロアクティブドライビングアシストが新搭載された。その機能のひとつに、前車に追いついた際や、コーナーにオーバースピード気味に侵入しそうな場合には減速させるものがある。この作動は極めてスムーズで回生ブレーキが介入した程度の減速度と思ってもらえればいい。同乗者は急激な減速感などがないためドキッとすることはないだろう。
また前車発進遅れ告知もあり、今回は信号も検知するようになった。信号のある交差点で先頭に停止したときに、赤から青になっても、発進しなかった場合にはメーター内表示と音声で知らせてくれる。また、ウインカーと連動し、赤信号で矢印が出た場合も告知してくれる便利なもの。ちょっとやりすぎという気がしないでもないが、あって損はないだろう。
最も乗りやすく、スムーズだったのは「E-Four」
さて、実際に走らせてみると、最も乗りやすく、スムーズだったのはE-Fourだった。もちろん四駆による安定性の高さもあるが、およそ50kgの重量の効果か、最もしなやかな乗り心地だった。一方でガソリンのヴォクシーS-Zは、バッテリーを床下に抱えていない影響か、ハイブリッドと比較をするとボディ剛性が若干低く、また、ロードノイズも顕著だ。路面からのざらついた感触が伝わって来やすいのもガソリン車の気になる点である。また、ロードノイズでいえば、2ndシートが最も静かで、かつ、乗り心地も良く、やはり特等席はこのシートであることが伺えた。
今回ガソリン車に採用されたダイレクトシフト-CVTは昔のCVTのような歯がゆさやラバーバンドフィーリングは一切感じさせないのは特筆すべき点である。ただし、フル乗車が多い方はこの2リットルエンジンでは非力に感じるかもしれないので、ハイブリッドの方がお勧めだ。
総じて新型ノア/ヴォクシーは、このクラスのミニバンにとって最も重要な、安心して運転し、使い勝手も遥かに向上している点で、大いに評価できる。ただし、フロントデザインに関してはノア/ヴォクシーともに威圧感がある。ファミリーカーとしては、せめてもう少し優しい顔つきに出来ないものだろうか。そこだけが惜しく感じている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
内田俊一(うちだしゅんいち)|日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。
最大の特徴は「扱いやすさ」
今回乗ることが出来たのは「ノア S-Z」の7人乗り・FFでハイブリッド、そして「ヴォクシー S-G E-Four」、「ヴォクシー S-Z」FFのガソリン車だ。
いずれの車両にも共通しているのは、ドライビングポジションが乗用車に近づいたことによる運転姿勢の取りやすさだ。また、視界がとても良いので初見で乗っても安心して走らせることが出来る。更に、スイッチ類が必要な個所にわかりやすくレイアウトされているので、これも扱いやすさとともに安心感につながっている。様々な運転技量の人が乗るクルマだからこそ、こういうったこだわりは大切なのである。
今回新たに採用された3rdシートの跳ね上げロックや、テールゲートを途中で止められる機能などの“からくり”は、ユーザー目線で設定されており、力はほとんどいらず、女性でも扱いやすい。ただし、3rdシートをもとの位置に戻す際は、最後にバックレストを起こす必要があり、その姿勢は少々体に負担がかかるもの。起こしやすいように紐か何かがバックレストについているとありがたく感じた。
ノア/ヴォク初の運転支援機能も
今回の安全運転支援システムのひとつ、プロアクティブドライビングアシストが新搭載された。その機能のひとつに、前車に追いついた際や、コーナーにオーバースピード気味に侵入しそうな場合には減速させるものがある。この作動は極めてスムーズで回生ブレーキが介入した程度の減速度と思ってもらえればいい。同乗者は急激な減速感などがないためドキッとすることはないだろう。
また前車発進遅れ告知もあり、今回は信号も検知するようになった。信号のある交差点で先頭に停止したときに、赤から青になっても、発進しなかった場合にはメーター内表示と音声で知らせてくれる。また、ウインカーと連動し、赤信号で矢印が出た場合も告知してくれる便利なもの。ちょっとやりすぎという気がしないでもないが、あって損はないだろう。
最も乗りやすく、スムーズだったのは「E-Four」
さて、実際に走らせてみると、最も乗りやすく、スムーズだったのはE-Fourだった。もちろん四駆による安定性の高さもあるが、およそ50kgの重量の効果か、最もしなやかな乗り心地だった。一方でガソリンのヴォクシーS-Zは、バッテリーを床下に抱えていない影響か、ハイブリッドと比較をするとボディ剛性が若干低く、また、ロードノイズも顕著だ。路面からのざらついた感触が伝わって来やすいのもガソリン車の気になる点である。また、ロードノイズでいえば、2ndシートが最も静かで、かつ、乗り心地も良く、やはり特等席はこのシートであることが伺えた。
今回ガソリン車に採用されたダイレクトシフト-CVTは昔のCVTのような歯がゆさやラバーバンドフィーリングは一切感じさせないのは特筆すべき点である。ただし、フル乗車が多い方はこの2リットルエンジンでは非力に感じるかもしれないので、ハイブリッドの方がお勧めだ。
総じて新型ノア/ヴォクシーは、このクラスのミニバンにとって最も重要な、安心して運転し、使い勝手も遥かに向上している点で、大いに評価できる。ただし、フロントデザインに関してはノア/ヴォクシーともに威圧感がある。ファミリーカーとしては、せめてもう少し優しい顔つきに出来ないものだろうか。そこだけが惜しく感じている。
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