【VW ゴルフ TDI 新型試乗】ディーゼルでも極めて「普通のゴルフ」であること…島崎七生人

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VW『ゴルフ』では“1”の世代から、日本市場でもディーゼル・モデルが設定された。最初は1977年のことで、85年の“2”になると「GTI」に準じたルックスの「GTD」(1588ccターボ)に進化。どちらもMT仕様(1は4速、2は5速)で、“通”な愛好家からの支持を集めた。

翻って最新の“8”に登場したTDIモデルには、“7”に搭載されたユニットをさらに進化させたEA288evoが搭載される。VWが何よりもアピールするのは環境性能をより底上げしたクリーンなエンジンということで、SCRシステムを直列に2系統化することや、低圧EGRラジエータの効率を25%向上させるなどで従来に較べNOxの排出量を最大で80%削減。

性能(+2kgm)、燃費(+1.1km/リットル=WLTC)も向上させ、レスポンス、ドライバビリティも高めたとしている。

実車は、いってみれば極めて“普通”の『ゴルフ』……そんな印象だ。エンジンを始動した瞬間に車外のクルマの近くにいれば、カラカラカラと軽いエンジン音がすることでディーゼルとわかる。が、室内にいる限り音、振動はまったく気にならず、ガソリン車はもちろん、今どきのハイブリッド車などと較べてもッヒケをとらない静粛性、快適性が実感できる。

走り出しても同様だ。低速で十分なトルクの恩恵に預かれるのは当然として、7速DSGが刻むステップの小気味よさと相まって、およろすべての走行領域、パターンで意のままの走りが楽しめる。ちなみに2リットルターボということで、ガソリンエンジンの1.5リットルターボとはパワーは同等、トルクはスペック上11.2kgmも上回っていて、そこが乗りやすさの秘訣になっている。

同様にガソリン車に対し+100kgの車重も、しっとりとした乗り味にいい方向で作用していて、乗り較べたところ、18インチタイヤの「TDI R-Line」でも非常に快適といえる乗り心地になっている。山道ではスッと切れ込むガソリン車に対し、スーッとなめらかなタッチとなるのが特徴だが、それは乗用車として適正な“間合い”だと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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