【VW ポロ 新型試乗】大衆車ながら実はマニアックなクルマなのか?…九島辰也
今やそれなりに存在感を持つようになった『ポロ』
クルマのサイズは年々大きくなっている。主な要因は衝突対策。特に側面衝突に対する規制は毎年に近いタイミングで規制が厳しくなっている。なので、必然的にドアは膨らみ全幅は広がるという図式。よく「昔のクルマは小さくて扱いやすい」と耳にするが、それだけ規制が緩かったのを意味している。まぁ、いざその時となれば安全性は高いに越したことはないが。
そんな要件で『ゴルフ』は大きくなり、かつてのそこを埋めるように『ポロ』がラインナップを構成する。1975年の初代はちっちゃくてかわいいクルマも、今やそれなりに存在感を持つようになった。高い人気はずっと継続され、現行型ポロは6世代目。そしてつい先日そのマイナーチェンジ版に試乗した。
マイチェンのポイントは、ヘッドライト周りとバンパーのデザイン変更、ミラーサイクル化した高効率エンジン、それと『パサート』などに積まれる最新の運転支援システムが搭載されたこと。カスタマーサイドからすれば嬉しい進化となる。外観の印象は男性的でイケメンといった雰囲気。なので可愛らしさからは遠のいた。
グレードは下から「TSIアクティブベーシック」、「TSIアクティブ」、「TSIスタイル」、「TSI Rライン」となり、それぞれに装備の異なるパッケージが用意される。VWならではの広くマーケットに応えるためのラインナップだ。
走りを楽しめる1.0リットル・コンパクト
では走った印象だが、試乗車はTSIスタイルだった。エンジンは全グレード共通の1.0リットル直3ターボで、7速DSGと組み合わされる。ご存じの方も多いと思うが、高回転まで気持ちよく回るコンパクトユニットだ。ポロのコンパクトボディをより軽快に感じさせる仕上がりと言っていいだろう。
よって走り出しから小排気量とは思えないくらい機敏さを感じた。彼らならではの適度にクイックな気持ちのいいパワステの設定で、ドライバーはステアリングを意のままに操れる。若干切り戻しの反力の強さが気になったが許容範囲であることに違いはない。ただ、ステアリンググリップは新型ゴルフに比べて若干太い気がする。そこをもう少し細くすればより繊細なタッチが楽しめるであろう。
7速DSGはかなり優秀で、オートマモードでもアクセル操作に対していい感じにシフトアップしてくれる。アクセルの踏み方をセンサーが感知し、スポーティな走りを欲しているのを理解すればシフトタイミングが遅れエンジンは上まで回転する。まぁ、今や極めてフツーの作業ではあるが、タイミングが実にいいことを強調したい。それじゃパドルシフトは必要ないかと言えばそうではない。コーナー入り口ではブリッピングしながらシフトダウンする。反応は早く、かなり楽しく走れるのは確かだ。操作に対しもう少しカチカチと動いてくれれば満点を付けたい。
そんな走りをしながら乗り心地がいいのも美点。16インチのタイヤは乗り心地を担保しながらそれなりのスタビリティを見せてくれた。コーナリングの粘り感はかなり強い。リアはトレーリングアーム式だが、これまでの概念を超えている。場面によってはしっとりしたところも見せた。
大衆車でありながらマニアックなクルマ?
ちなみに、TSIアクティブは15インチ、TSI Rラインは専用スポーツサス+17インチという設定。その意味からすると購入を思案する方はTSIスタイルをデフォルトに乗り比べてみると、自分の好みがわかるかもしれない。思うにロードノイズまで鑑みると、17インチよりも16インチに総合的なメリットはありそうだ。
いずれにせよ、ミニやマツダ『ロードスター』のように、ポロは身近で走りを楽しめるクルマであることは明白。そう考えると、こいつは大衆車でありながらマニアックなクルマなのかもしれない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
クルマのサイズは年々大きくなっている。主な要因は衝突対策。特に側面衝突に対する規制は毎年に近いタイミングで規制が厳しくなっている。なので、必然的にドアは膨らみ全幅は広がるという図式。よく「昔のクルマは小さくて扱いやすい」と耳にするが、それだけ規制が緩かったのを意味している。まぁ、いざその時となれば安全性は高いに越したことはないが。
そんな要件で『ゴルフ』は大きくなり、かつてのそこを埋めるように『ポロ』がラインナップを構成する。1975年の初代はちっちゃくてかわいいクルマも、今やそれなりに存在感を持つようになった。高い人気はずっと継続され、現行型ポロは6世代目。そしてつい先日そのマイナーチェンジ版に試乗した。
マイチェンのポイントは、ヘッドライト周りとバンパーのデザイン変更、ミラーサイクル化した高効率エンジン、それと『パサート』などに積まれる最新の運転支援システムが搭載されたこと。カスタマーサイドからすれば嬉しい進化となる。外観の印象は男性的でイケメンといった雰囲気。なので可愛らしさからは遠のいた。
グレードは下から「TSIアクティブベーシック」、「TSIアクティブ」、「TSIスタイル」、「TSI Rライン」となり、それぞれに装備の異なるパッケージが用意される。VWならではの広くマーケットに応えるためのラインナップだ。
走りを楽しめる1.0リットル・コンパクト
では走った印象だが、試乗車はTSIスタイルだった。エンジンは全グレード共通の1.0リットル直3ターボで、7速DSGと組み合わされる。ご存じの方も多いと思うが、高回転まで気持ちよく回るコンパクトユニットだ。ポロのコンパクトボディをより軽快に感じさせる仕上がりと言っていいだろう。
よって走り出しから小排気量とは思えないくらい機敏さを感じた。彼らならではの適度にクイックな気持ちのいいパワステの設定で、ドライバーはステアリングを意のままに操れる。若干切り戻しの反力の強さが気になったが許容範囲であることに違いはない。ただ、ステアリンググリップは新型ゴルフに比べて若干太い気がする。そこをもう少し細くすればより繊細なタッチが楽しめるであろう。
7速DSGはかなり優秀で、オートマモードでもアクセル操作に対していい感じにシフトアップしてくれる。アクセルの踏み方をセンサーが感知し、スポーティな走りを欲しているのを理解すればシフトタイミングが遅れエンジンは上まで回転する。まぁ、今や極めてフツーの作業ではあるが、タイミングが実にいいことを強調したい。それじゃパドルシフトは必要ないかと言えばそうではない。コーナー入り口ではブリッピングしながらシフトダウンする。反応は早く、かなり楽しく走れるのは確かだ。操作に対しもう少しカチカチと動いてくれれば満点を付けたい。
そんな走りをしながら乗り心地がいいのも美点。16インチのタイヤは乗り心地を担保しながらそれなりのスタビリティを見せてくれた。コーナリングの粘り感はかなり強い。リアはトレーリングアーム式だが、これまでの概念を超えている。場面によってはしっとりしたところも見せた。
大衆車でありながらマニアックなクルマ?
ちなみに、TSIアクティブは15インチ、TSI Rラインは専用スポーツサス+17インチという設定。その意味からすると購入を思案する方はTSIスタイルをデフォルトに乗り比べてみると、自分の好みがわかるかもしれない。思うにロードノイズまで鑑みると、17インチよりも16インチに総合的なメリットはありそうだ。
いずれにせよ、ミニやマツダ『ロードスター』のように、ポロは身近で走りを楽しめるクルマであることは明白。そう考えると、こいつは大衆車でありながらマニアックなクルマなのかもしれない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
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