【日産 サクラ 新型試乗】「スポーツモード」はそもそも必要なのか?…九島辰也
ついに日産が軽自動車のEVを発売した。これまで軽自動車は660ccのガソリンエンジンを高効率で活用しているため電動化はあまりうまみがないと聞いていた。が、日産がそこに挑んだことで新たな潮流が起きるかもしれない。
ベースは『デイズ』と共通で、そこに『リーフ』で培ってきたノウハウが注入された。これで日産にサクラ、リーフ、『アリア』というラインアップが構築された。と同時に、サクラはデイズや『ルークス』といった軽自動車カテゴリーのフラッグシップモデルとなる。パフォーマンスと価格の面でトップクラスとなるからだ。
サクラの走りは軽自動車の枠を超えている
そんなサクラの走りは、確かに軽自動車の枠を超えている。最高出力こそ法規定に則って47kWにとどまるが、最大トルクは195Nmとなり、デイズターボの100Nm比で約2倍となる。なので、出だしのアクセルの踏み込みに対するクルマの動きだしは力強く、これまでの軽自動車の印象を変える。これなら既存のユーザーがネガティブポイントに挙げていた信号スタートや合流加速に不満はないだろう。これだけ瞬発性があればゆとりを持ってドライブできる。
さらに言えば、ドライブモードが用意されているので、それを「スポーツ」にすれば過激な加速ができる。しかもEペダルステップと呼ばれるワンペダルと合わせれば、よりスポーティな走りで楽しめるのだ。まぁ、クルマとしてはそういうキャラではないので、そこは控えめにした方がいいが。
ボディ剛性が高い理由
それでも、ボディ剛性が高いため運動性能は思った以上にいい。堅牢なボディとしっかり追従するリアサスペンションで、気持ちよくコーナーを駆る。EVにありがちなバネ下の重ったるさはほぼ感じなく、乗り心地もいいのは驚きだ。
そのリアサスペンションは3リンク式を採用している。通常ならトーションビーム式であるが、それだとバッテリーの搭載位置と干渉してしまうためこちらの方法が採られた。デイズの4WD車にも採用される形式だ。
ちなみに、ボディ剛性が高いのはバッテリーとフレームをうまく結合させているから。バッテリーパックをそのままフレームの補強に使う。この辺もリーフからのノウハウがフィードバックされたポイントだ。
なんて感じなので、走っているとだんだんスピード域が上がっていく。高速道路での走行もストレスなく加減速ができ、高速コーナーもそれなりに走る。安定したキャビンは軽自動車枠とは思えない仕上がりだ。
全方位的に完成度が高いゆえに
ただ、気になる点がなかったわけではない。速度域が上がっていくとタイヤがパフォーマンスについていけてないのが露呈する。開発者に聞くと、ガソリン車と同じタイヤが装着されているので無理もないだろう。トルクが約2倍のクルマに履かれることは想定されていない。
それとドライブモードの切り替えスイッチが見づらい場所にあるのも気になった。ダッシュパネル右下なので目線を落とさないと切り替えられない。というか、降りる頃にはそもそも切替スイッチは必要なのかという疑問を持った。スタンダードモードの走りはよく、これでかなりスポーティさを感じる。
開発者としては市場導入後発生するであろう声を事前に消したいのはわかるが、車格からしてスタンダードとエコモードがあれば十分な気がしなくもない。それだけ全方位的に完成度が高い仕上がりということだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
ベースは『デイズ』と共通で、そこに『リーフ』で培ってきたノウハウが注入された。これで日産にサクラ、リーフ、『アリア』というラインアップが構築された。と同時に、サクラはデイズや『ルークス』といった軽自動車カテゴリーのフラッグシップモデルとなる。パフォーマンスと価格の面でトップクラスとなるからだ。
サクラの走りは軽自動車の枠を超えている
そんなサクラの走りは、確かに軽自動車の枠を超えている。最高出力こそ法規定に則って47kWにとどまるが、最大トルクは195Nmとなり、デイズターボの100Nm比で約2倍となる。なので、出だしのアクセルの踏み込みに対するクルマの動きだしは力強く、これまでの軽自動車の印象を変える。これなら既存のユーザーがネガティブポイントに挙げていた信号スタートや合流加速に不満はないだろう。これだけ瞬発性があればゆとりを持ってドライブできる。
さらに言えば、ドライブモードが用意されているので、それを「スポーツ」にすれば過激な加速ができる。しかもEペダルステップと呼ばれるワンペダルと合わせれば、よりスポーティな走りで楽しめるのだ。まぁ、クルマとしてはそういうキャラではないので、そこは控えめにした方がいいが。
ボディ剛性が高い理由
それでも、ボディ剛性が高いため運動性能は思った以上にいい。堅牢なボディとしっかり追従するリアサスペンションで、気持ちよくコーナーを駆る。EVにありがちなバネ下の重ったるさはほぼ感じなく、乗り心地もいいのは驚きだ。
そのリアサスペンションは3リンク式を採用している。通常ならトーションビーム式であるが、それだとバッテリーの搭載位置と干渉してしまうためこちらの方法が採られた。デイズの4WD車にも採用される形式だ。
ちなみに、ボディ剛性が高いのはバッテリーとフレームをうまく結合させているから。バッテリーパックをそのままフレームの補強に使う。この辺もリーフからのノウハウがフィードバックされたポイントだ。
なんて感じなので、走っているとだんだんスピード域が上がっていく。高速道路での走行もストレスなく加減速ができ、高速コーナーもそれなりに走る。安定したキャビンは軽自動車枠とは思えない仕上がりだ。
全方位的に完成度が高いゆえに
ただ、気になる点がなかったわけではない。速度域が上がっていくとタイヤがパフォーマンスについていけてないのが露呈する。開発者に聞くと、ガソリン車と同じタイヤが装着されているので無理もないだろう。トルクが約2倍のクルマに履かれることは想定されていない。
それとドライブモードの切り替えスイッチが見づらい場所にあるのも気になった。ダッシュパネル右下なので目線を落とさないと切り替えられない。というか、降りる頃にはそもそも切替スイッチは必要なのかという疑問を持った。スタンダードモードの走りはよく、これでかなりスポーティさを感じる。
開発者としては市場導入後発生するであろう声を事前に消したいのはわかるが、車格からしてスタンダードとエコモードがあれば十分な気がしなくもない。それだけ全方位的に完成度が高い仕上がりということだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
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