【日産 フェアレディZ 新型試乗】ピーキーと思いきや快適な走りに拍子抜け?…九島辰也
話題ばかり先行していた新型『フェアレディZ』だが、ようやくそのステアリングを握る機会を得た。テストコースというクローズドエリアではあるが、発売前にその仕上がりを試せるのは嬉しい限りである。フェアレディZはまさに憧れのクルマで、「S30」から原体験として触れているからだ。新型はデザインからしてそんな齢五十路以上のマインドをくすぐる。
試乗したのは18インチを履いた9速ATと19インチの6速MT。それを北海道陸別にある日産のテストコースで走らせた。
コースは外周となる高速路とワインディングが続くカントリーロードからなる。後者には低ミュー路があり、そこでの挙動を掴むことができるようになっている。が、当日は朝からの雨で結構なウェットコンディション。人気のテスト車両ということもあり、慎重に扱わなくてはならない比重が大きいのは確か。速度制限も設定されていたのでその領域でどうだったかの話を進めよう。
ピーキーなイメージだったけど拍子抜け?
最初に乗ったAT車はとても乗りやすい印象からスタートした。けっして長いホイールベースでも広いトレッドでもないのだが、キャビンは終始安定していてドライバーの身体を揺さぶる動きは少ない。新型は2シーターではあるがGTカー的要素が強いのだと思われた。高速路でも、カントリーロードでもステアリングやアクセル、ブレーキ操作に対し、クイックすぎないレスポンスで操るといった感覚だ。
これには少し拍子抜けした。走り出す前はもっとピーキーなイメージだったので、それなりのテクニックが必要だと勝手に思い込んでいたからだ。その辺のことは立ち話だったが、匠として名を馳せた日産のテストドライバー加藤博義氏が、やりすぎないようにかなり引き戻したと口にしていた。そうだとしたら、やはり結果としてGTカーのベクトルへ進んだと考えられる。確かにイマドキはスポーツカーとて快適さは強く要求される。
とはいえ、ドライブモードをスポーツにすると隠れていたキャラが顔を覗かせる。シフトアップのタイミングは遅れ、エンジンを上まで回すようになる。音も大きくなりドライバーをその気にさせる。いい感じだ。ちなみに、シフトレバーが小さいのはパドル操作に集中させるためだそうだ。そのパドルはカチカチと気持ちよく動かせるセッティングになっている。
MTが堂々とラインナップされるのはたまらない
次に乗った6速MTの19インチは、それをさらにスポーティに振った仕上がりになっていた。乗り味に硬さが加わり、クルマの挙動はよりセンシティブにかつ掴みやすくなっている。雨の低ミュー路ではオーバーステア方向に動き出した。が、そこからでもコントロールできるのはさすが。新型のバランスの良さが滲み出る。
操作系の印象はクラッチは軽く、シフトは軽快に動かせる。シフトゲートに少しクセがあるが、難なく扱える。ただ、それほどショートストロークでもない。なので、手首でこねるような動きではなく、肩を支点として肘ごと前後させる感じだ。
それはともかく、こんな時代においてMTが堂々とラインナップされるのはクルマ好きにはたまらない。個人的には常に一台MT車を持ち続けているが、やはりこの操作無くしてクルマの醍醐味はないと思う。その意味じゃ開発リーダーに感謝したい。
6MT+18インチなんてチョイスはどうだろう
それじゃ6MT+19インチの「バージョンST」がおすすめかといえばそうでもない。19インチタイヤのグリップ力の高さをあえて避け、6MT+18インチなんてチョイスはどうだろう。実際に乗っていないのでなんとも言い難いが、想像する範囲では運転してより楽しそうだ。いずれにせよ、次回の公道試乗が待ち遠しい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
試乗したのは18インチを履いた9速ATと19インチの6速MT。それを北海道陸別にある日産のテストコースで走らせた。
コースは外周となる高速路とワインディングが続くカントリーロードからなる。後者には低ミュー路があり、そこでの挙動を掴むことができるようになっている。が、当日は朝からの雨で結構なウェットコンディション。人気のテスト車両ということもあり、慎重に扱わなくてはならない比重が大きいのは確か。速度制限も設定されていたのでその領域でどうだったかの話を進めよう。
ピーキーなイメージだったけど拍子抜け?
最初に乗ったAT車はとても乗りやすい印象からスタートした。けっして長いホイールベースでも広いトレッドでもないのだが、キャビンは終始安定していてドライバーの身体を揺さぶる動きは少ない。新型は2シーターではあるがGTカー的要素が強いのだと思われた。高速路でも、カントリーロードでもステアリングやアクセル、ブレーキ操作に対し、クイックすぎないレスポンスで操るといった感覚だ。
これには少し拍子抜けした。走り出す前はもっとピーキーなイメージだったので、それなりのテクニックが必要だと勝手に思い込んでいたからだ。その辺のことは立ち話だったが、匠として名を馳せた日産のテストドライバー加藤博義氏が、やりすぎないようにかなり引き戻したと口にしていた。そうだとしたら、やはり結果としてGTカーのベクトルへ進んだと考えられる。確かにイマドキはスポーツカーとて快適さは強く要求される。
とはいえ、ドライブモードをスポーツにすると隠れていたキャラが顔を覗かせる。シフトアップのタイミングは遅れ、エンジンを上まで回すようになる。音も大きくなりドライバーをその気にさせる。いい感じだ。ちなみに、シフトレバーが小さいのはパドル操作に集中させるためだそうだ。そのパドルはカチカチと気持ちよく動かせるセッティングになっている。
MTが堂々とラインナップされるのはたまらない
次に乗った6速MTの19インチは、それをさらにスポーティに振った仕上がりになっていた。乗り味に硬さが加わり、クルマの挙動はよりセンシティブにかつ掴みやすくなっている。雨の低ミュー路ではオーバーステア方向に動き出した。が、そこからでもコントロールできるのはさすが。新型のバランスの良さが滲み出る。
操作系の印象はクラッチは軽く、シフトは軽快に動かせる。シフトゲートに少しクセがあるが、難なく扱える。ただ、それほどショートストロークでもない。なので、手首でこねるような動きではなく、肩を支点として肘ごと前後させる感じだ。
それはともかく、こんな時代においてMTが堂々とラインナップされるのはクルマ好きにはたまらない。個人的には常に一台MT車を持ち続けているが、やはりこの操作無くしてクルマの醍醐味はないと思う。その意味じゃ開発リーダーに感謝したい。
6MT+18インチなんてチョイスはどうだろう
それじゃ6MT+19インチの「バージョンST」がおすすめかといえばそうでもない。19インチタイヤのグリップ力の高さをあえて避け、6MT+18インチなんてチョイスはどうだろう。実際に乗っていないのでなんとも言い難いが、想像する範囲では運転してより楽しそうだ。いずれにせよ、次回の公道試乗が待ち遠しい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-
-
-
楽しく学べる「防災ファミリーフェス」を茨城県の全トヨタディーラーが運営する「茨城ワクドキクラブ」が開催
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-
MORIZO on the Road