【ジープ グランドチェロキーL 新型試乗】オーソドックスでタイムレスな味わいがある…島崎七生人
他のSUVとは一線を画した毅然としたデザイン
『グランドチェロキー』に筆者が最初に試乗したのは1993年登場の初代。それもV8の5.2リットルエンジン搭載車で、フカッとソファのような座り心地のシートや豪快なパワーフィールなど、いかにもオーセンティックなアメリカ車らしい、おおらかなクルマだったと記憶している。
転じて2021年末に登場、日本市場にも導入が始まった数えて4世代目となる最新型は「サミットリザーブ」と「リミテッド」の2グレード構成で、今回の試乗車はベースグレードの「リミテッド」。「サミット…」とは3.6リットルのV6エンジンを搭載する点は共通で、エアサスペンションか否か、同じ3列シートで2列目がキャプテンシートの6名乗りか7名乗りかといったところが大きな違いだ。
初代『ワゴニア』に着想を得たという新型は、なるほど僅かに逆スラントしたフロントまわりのややクラシカルなデザインが、ここ最近の他社SUVと区別がつかないような多くのSUVとは一線を画して毅然としている。ボディサイズは全長×全幅×全高=5200×1980×1815mmと大柄で、“L”の所以たるホイールベースも3090mmと長い。が、奇をてらわないスッキリとシンプルなデザインのため、不当な威圧感はないばかりか、サイズに比してむしろ控えめな佇まいであるところに好感がもてる。
ルート66でなくてもフードが見える安心感
ちなみに運転席から見晴らせるフードは、いかにも昔ながらのクルマのフードの見え方で、そこがルート66でなくてもフードが見える安心感があるし、パーキングスピードでの取り回しでも車両感覚が掴みやすい。ただし交差点を小さく左折するような場面では、最初は長さを実感しないといえばウソになり、(まったく脈絡がないのだが)昔、初めて『BMW750iL』で西麻布の交差点を曲がった時のことをなぜか思い出した。
室内の快適性はさすがに高い。インパネやドアトリムの作り、仕上げは上々で、シートもしっかりと身体を支えてくれる。2列目の居住スペースは豊かなのは想像どおりで、シートスライドも有効。3列目はスペースはともかくシートが少し小振りで床から座面までの高さが低めなので、大人では緊急用といったほうがいい。ラゲッジスペースはシートアレンジ次第で、いかようにも使えそうだ。
タイムレスな感覚は今や貴重な存在なのかも
走りは悠然としたもの。8速ATと組み合わせられたV6エンジンは、2000rpmとかせいぜい3000rpm程度を使っていればこと足りる風だ。ごく個人的な印象では直進からのステアリング切り始めがやや敏感に感じたが、ズバ抜けて洗練されたイメージではないものの、オーソドックスな乗り味を実感しながら走らせていられ、そのタイムレスな感覚は今や貴重な存在なのかもしれない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
『グランドチェロキー』に筆者が最初に試乗したのは1993年登場の初代。それもV8の5.2リットルエンジン搭載車で、フカッとソファのような座り心地のシートや豪快なパワーフィールなど、いかにもオーセンティックなアメリカ車らしい、おおらかなクルマだったと記憶している。
転じて2021年末に登場、日本市場にも導入が始まった数えて4世代目となる最新型は「サミットリザーブ」と「リミテッド」の2グレード構成で、今回の試乗車はベースグレードの「リミテッド」。「サミット…」とは3.6リットルのV6エンジンを搭載する点は共通で、エアサスペンションか否か、同じ3列シートで2列目がキャプテンシートの6名乗りか7名乗りかといったところが大きな違いだ。
初代『ワゴニア』に着想を得たという新型は、なるほど僅かに逆スラントしたフロントまわりのややクラシカルなデザインが、ここ最近の他社SUVと区別がつかないような多くのSUVとは一線を画して毅然としている。ボディサイズは全長×全幅×全高=5200×1980×1815mmと大柄で、“L”の所以たるホイールベースも3090mmと長い。が、奇をてらわないスッキリとシンプルなデザインのため、不当な威圧感はないばかりか、サイズに比してむしろ控えめな佇まいであるところに好感がもてる。
ルート66でなくてもフードが見える安心感
ちなみに運転席から見晴らせるフードは、いかにも昔ながらのクルマのフードの見え方で、そこがルート66でなくてもフードが見える安心感があるし、パーキングスピードでの取り回しでも車両感覚が掴みやすい。ただし交差点を小さく左折するような場面では、最初は長さを実感しないといえばウソになり、(まったく脈絡がないのだが)昔、初めて『BMW750iL』で西麻布の交差点を曲がった時のことをなぜか思い出した。
室内の快適性はさすがに高い。インパネやドアトリムの作り、仕上げは上々で、シートもしっかりと身体を支えてくれる。2列目の居住スペースは豊かなのは想像どおりで、シートスライドも有効。3列目はスペースはともかくシートが少し小振りで床から座面までの高さが低めなので、大人では緊急用といったほうがいい。ラゲッジスペースはシートアレンジ次第で、いかようにも使えそうだ。
タイムレスな感覚は今や貴重な存在なのかも
走りは悠然としたもの。8速ATと組み合わせられたV6エンジンは、2000rpmとかせいぜい3000rpm程度を使っていればこと足りる風だ。ごく個人的な印象では直進からのステアリング切り始めがやや敏感に感じたが、ズバ抜けて洗練されたイメージではないものの、オーソドックスな乗り味を実感しながら走らせていられ、そのタイムレスな感覚は今や貴重な存在なのかもしれない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
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