【トヨタ プリウスPHEV 新型試乗】存在感は2000GTにも負けない!? 上質感は別世界…島崎七生人

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自宅のトイレの中でもカタログを眺めていたくなる久々の新型車!? コモディティ化の声もあったという中、開発陣はあくまで“愛車”であることにこだわったという新型『プリウス』。そんな“熱量”は、PHEVを走らせているとヒシヒシと伝わってきた。

思えばプリウスは初代から先代までは理性で乗るクルマだったが、新型は見事に感性に響くクルマに生まれ変わった。HEVに対して1ランク上のモーター出力とバッテリー容量をもつPHEVパワートレインによる走りは0-100km/h加速データー6.7秒のポテンシャルというが、とにかく余裕がありスムースでパワーマネージメントも実に洗練されたもの。

通常はAUTOモードでクルマに任せておけばよく、強い加速が必要な場面でもエンジン回転が無闇に上がらず、モーターによりイメージどおりにスピードを乗せる。

◆車内の静粛性の高さ、上質感は別世界
エンジン自体にバランサーシャフトが組み込まれるため音、振動が抑えられ、インパネ側に施されたという塗布型制振材が雑味に感じる高周波の音を遮断していることもあり、耳をくすぐる程度のごく低いエンジンの鼓動が遠くにする……といった程度。神経に触るメカニカルノイズが非常に少なく、車内の静粛性の高さ、上質感は別世界といった感じだ。

乗り味もゆったりとしている。聞けばPHEVでは後席下に約130kgの駆動用バッテリーを置くなどしたレイアウトを採るために、ボディ後半のプラットフォームは専用に起こされたものだそう。このためHEVに対して車両重量は全体で+150kgながら、リヤのスタビライザー、ロール剛性などの見直しがかけられ、身軽な挙動のHEVに較べ、PHEVはほぼすべての場面で穏やかで安定感の高い走りっぷりが味わえる。

◆颯爽としたスタイルはとにかく惹きつけられる
インテリアも余分な加飾が控えられ、シンプルかつクリーンで居心地がいい。『bZ4X』流のメーターの視認性に不都合は感じない。センターコンソール部の前後に倒して操作する走行モード切り換えのスイッチは、横幅のサイズが1.5倍程度大きいとありがたいが、何よりも水平に設置されたシフトレバーは迷わず操作ができ、やはりシフトレバーはこうあるべきだと思わせられるものだ。

それと何といってもスポーツカーさながらの低いフォルム、スタンスの颯爽としたスタイルはとにかく惹きつけられる。試乗中、街中で偶然にも白の『トヨタ2000GT』が目の前を横切るのを目撃、前後して(試乗会だったので同じ試乗枠で)同業のどなたかが駆るプリウスを見かけたが、新型プリウスの存在感はいささかも遜色がなかった。

PHEVではリヤコンビランプのアウターレンズがグレースモーク(HEVは赤)になるなど、外観上の差異はごく僅かだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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