【ポルシェ カイエン 海外試乗】ポルシェらしく正常進化!個性あふれる3モデル、走りの違いは…九島辰也
◆注目はインテリア、正常進化をとげたポルシェ『カイエン』
ポルシェ『カイエン』がマイナーチェンジを受けた。2017年に3世代目がスタートしてからそれだけ時間が経ったことになる。とはいえ、世界中で売れているモデルだけに大きく手を入れることはない。あくまでも正常進化といえる範囲でのモディファイだ。
よって、エクステリアデザインに関しては並べてみないと違いはわからない。“間違い探し”のような感覚となる。唯一目立つのはヘッドライトユニットで、これは『タイカン』に準じる。マトリクスLED機能を設け、前走車や対向車が眩しくならないような機能を持つ。
大きな進化はインテリアだろう。ダッシュボードとセンターコンソールが意匠変更された。というか、最新のインターフェイスを使えるようになった。メータークラスターのデジタル化、センターモニター、それとオプションだが助手席にもモニターが備わる。助手席に座ると動画再生できるが、安全上の観点から運転席の角度からは見えなくなっている。
モデルは、V6ターボエンジンのスタンダード、V6+モーターの「Eハイブリッド」、V8ツインターボ「S」の3モデルが日本で発売される。もっともパワフルな「ターボGT」は排ガス規制をクリアできず導入されない。
◆個性あふれる3モデル、走りの違いは
ということで、これら3つのモデルをテストドライブした。場所はオーストリアのザルツブルク。その郊外にあるスキーリゾートを起点に山道を走り回った。
総合的に好印象だったのはV6のスタンダードモデルだ。エンジンパワー、ハンドリング、乗り心地の面で高次元に仕上がっている。ドライブモードを“スポーツ+”にすればレーシーなサウンドと共にパワフルな走りが楽しめた。8000回転まで刻まれるユニットは高回転型で、リニアな加速に胸の高揚が高まる。その時のハンドリングもグッド。重すぎないパワステが気持ち良く操舵する。多少クイックなセッティングもこのクルマには合っている。
これに比べるとEハイブリッドは軽快さが欠ける。バッテリーによる重量増加がそこを消してしまうようだ。ワインディングでは腰下の重さが気になる。が、高速域の安定性は高く、どっしりした感を得る。高速道路での移動は疲れなさそうだ。それに今回はEVモードも約90kmに増えたことで、使い勝手が上がっているのは確か。となると、都内では一日走っても電気だけでまかなえることになりそうだ。
ではV8ツインターボのカイエンSはというと、パワフルさに一点の曇りはない。474psは伊達じゃなく、アクセルの踏みしろに比例しドーンと加速する。まぁ、そこは想像通りだがエキゾーストノートは思わず口元が揺るような激しさだ。かつて音と無縁だったポルシェがここまで排気音を作り込めるようになったのに感動する。
◆SUVであってもポルシェらしいスポーツカーマインド
といったのが3つのモデルの概要だが、今回の試乗車はどれもエアサス装着で22インチの大径ホイールを履いていた。国際試乗会とあってポルシェ側が張り切って自慢のオプションで走りを磨き込んでいたのだ。よってどれもスポーツテイストは強かったが、22インチでこれだけの快適な乗り心地を担保しているのは立派。段差のこなしに緩みはなかったし、キャビンは常時フラットに保たれた。この辺はドイツメーカーならではワザを感じる。
いずれにせよ新型カイエンは不満なく進化した。世界的な人気モデルだけに従来型から新型への乗り換えは多いだろう。SUVであってもポルシェらしいスポーツカーマインドは健在である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
ポルシェ『カイエン』がマイナーチェンジを受けた。2017年に3世代目がスタートしてからそれだけ時間が経ったことになる。とはいえ、世界中で売れているモデルだけに大きく手を入れることはない。あくまでも正常進化といえる範囲でのモディファイだ。
よって、エクステリアデザインに関しては並べてみないと違いはわからない。“間違い探し”のような感覚となる。唯一目立つのはヘッドライトユニットで、これは『タイカン』に準じる。マトリクスLED機能を設け、前走車や対向車が眩しくならないような機能を持つ。
大きな進化はインテリアだろう。ダッシュボードとセンターコンソールが意匠変更された。というか、最新のインターフェイスを使えるようになった。メータークラスターのデジタル化、センターモニター、それとオプションだが助手席にもモニターが備わる。助手席に座ると動画再生できるが、安全上の観点から運転席の角度からは見えなくなっている。
モデルは、V6ターボエンジンのスタンダード、V6+モーターの「Eハイブリッド」、V8ツインターボ「S」の3モデルが日本で発売される。もっともパワフルな「ターボGT」は排ガス規制をクリアできず導入されない。
◆個性あふれる3モデル、走りの違いは
ということで、これら3つのモデルをテストドライブした。場所はオーストリアのザルツブルク。その郊外にあるスキーリゾートを起点に山道を走り回った。
総合的に好印象だったのはV6のスタンダードモデルだ。エンジンパワー、ハンドリング、乗り心地の面で高次元に仕上がっている。ドライブモードを“スポーツ+”にすればレーシーなサウンドと共にパワフルな走りが楽しめた。8000回転まで刻まれるユニットは高回転型で、リニアな加速に胸の高揚が高まる。その時のハンドリングもグッド。重すぎないパワステが気持ち良く操舵する。多少クイックなセッティングもこのクルマには合っている。
これに比べるとEハイブリッドは軽快さが欠ける。バッテリーによる重量増加がそこを消してしまうようだ。ワインディングでは腰下の重さが気になる。が、高速域の安定性は高く、どっしりした感を得る。高速道路での移動は疲れなさそうだ。それに今回はEVモードも約90kmに増えたことで、使い勝手が上がっているのは確か。となると、都内では一日走っても電気だけでまかなえることになりそうだ。
ではV8ツインターボのカイエンSはというと、パワフルさに一点の曇りはない。474psは伊達じゃなく、アクセルの踏みしろに比例しドーンと加速する。まぁ、そこは想像通りだがエキゾーストノートは思わず口元が揺るような激しさだ。かつて音と無縁だったポルシェがここまで排気音を作り込めるようになったのに感動する。
◆SUVであってもポルシェらしいスポーツカーマインド
といったのが3つのモデルの概要だが、今回の試乗車はどれもエアサス装着で22インチの大径ホイールを履いていた。国際試乗会とあってポルシェ側が張り切って自慢のオプションで走りを磨き込んでいたのだ。よってどれもスポーツテイストは強かったが、22インチでこれだけの快適な乗り心地を担保しているのは立派。段差のこなしに緩みはなかったし、キャビンは常時フラットに保たれた。この辺はドイツメーカーならではワザを感じる。
いずれにせよ新型カイエンは不満なく進化した。世界的な人気モデルだけに従来型から新型への乗り換えは多いだろう。SUVであってもポルシェらしいスポーツカーマインドは健在である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
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