【フィアット ドブロ 新型試乗】「ノア/ヴォク」感覚で扱える、道具感が楽しい一台…島崎七生人
兄弟車3車中、もっともプレーンなフロントマスクの『ドブロ』。数日間、このクルマと過ごしたところ、マエストログレー(オプション設定色)の地味目なボディ色ということもあり、いかにもフィアットらしい道具感がいいんじゃない……そう思えた。
ジブン時間を、楽しみこなそう。そんなコピーで始まるメーカーのホームページにある『ドブロ』の製品カタログは8.9MB。しかも全ページに渡り紺の地色が敷かれているため、(インクの消費を考えると)とても家庭用プリンターで全ページ印字……とはいかない。が、同じく7.3MBのアクセサリーカタログは、これまでの日本仕様のフィアット車にはない充実した品揃えで、ベッドキット、サンシェードといったいかにもドブロらしいアイテムも揃うので要チェック、ではある。
◆「ノア/ヴォク」感覚でラクに扱える
実車は、シトロエン『ベルランゴ』、プジョー『リフター』と兄弟車の試乗を経験してきたため、もうボディサイズへの抵抗感、圧迫感は消えた。カメラ類が備わっていた試乗車は、国産の『ノア/ヴォクシー』程度の感覚で、スーパーの駐車場や手狭な路地でも扱える。しかも運転席は適度に着座位置が高く、見晴らしがいいため、実はとても取り回しがしやすく、運転はラク。
走らせると1.5リットルBlue HDiディーゼルターボがフレキシブルなエンジン特性でとても扱いやすい。このディーゼルエンジンは、がなるようなところがなく、音も振動も気に障らないボリューム、周波数のため、むしろ心地いいくらいだ。8速ATのマナーも洗練されているので、これも扱いやすさの要因。
ブレーキは荷重を想定してか、ペダルのストロークからイメージするより制動の立ち上がりが早いため、踏みつけるのではなくブレーキペダルに足を“乗せる”感覚でそっと操作するとスムースに扱える。ただ停止直前の最後のコントロールでパッドを軋ませずに止めるための力加減が微妙なのは、右ハンドルのフィアットやアルファロメオでよくあるパターンか?
とはいえ今回、乗員2名+我が家の柴犬1匹(体重15kg)が同乗している程度では、制動力自体はまったく不満はないのはいうまでもない。
◆洗練されたカングーに対し、道具感が健在なドブロ
乗り味は、ほぼほぼ兄弟車3車に共通するイメージだ。試乗車のタイヤはミシュラン・プライマシー4の205/60 R16を装着。同社らしいタイヤが丸くスムースにころがる感覚と、サイドウォールの丸さを使った巧みなショックの吸収もあり、乗り味は街中も高速も快適だった。
兄弟車3車の乗り味の微妙な差をあえてオノマトペで表現すると、このフィアット・ドブロはサパッ、プジョー・リフターはシュッ、そしてシトロエン・ベルランゴはシトッといったところか。
運転席まわりや乗り味など、今やかなり乗用車に寄せてきた最新のルノー『カングー』に対し、旧来のスノッブな道具感が健在なのはこの3兄弟の中で、とくにドブロ、そんな気がする。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
ジブン時間を、楽しみこなそう。そんなコピーで始まるメーカーのホームページにある『ドブロ』の製品カタログは8.9MB。しかも全ページに渡り紺の地色が敷かれているため、(インクの消費を考えると)とても家庭用プリンターで全ページ印字……とはいかない。が、同じく7.3MBのアクセサリーカタログは、これまでの日本仕様のフィアット車にはない充実した品揃えで、ベッドキット、サンシェードといったいかにもドブロらしいアイテムも揃うので要チェック、ではある。
◆「ノア/ヴォク」感覚でラクに扱える
実車は、シトロエン『ベルランゴ』、プジョー『リフター』と兄弟車の試乗を経験してきたため、もうボディサイズへの抵抗感、圧迫感は消えた。カメラ類が備わっていた試乗車は、国産の『ノア/ヴォクシー』程度の感覚で、スーパーの駐車場や手狭な路地でも扱える。しかも運転席は適度に着座位置が高く、見晴らしがいいため、実はとても取り回しがしやすく、運転はラク。
走らせると1.5リットルBlue HDiディーゼルターボがフレキシブルなエンジン特性でとても扱いやすい。このディーゼルエンジンは、がなるようなところがなく、音も振動も気に障らないボリューム、周波数のため、むしろ心地いいくらいだ。8速ATのマナーも洗練されているので、これも扱いやすさの要因。
ブレーキは荷重を想定してか、ペダルのストロークからイメージするより制動の立ち上がりが早いため、踏みつけるのではなくブレーキペダルに足を“乗せる”感覚でそっと操作するとスムースに扱える。ただ停止直前の最後のコントロールでパッドを軋ませずに止めるための力加減が微妙なのは、右ハンドルのフィアットやアルファロメオでよくあるパターンか?
とはいえ今回、乗員2名+我が家の柴犬1匹(体重15kg)が同乗している程度では、制動力自体はまったく不満はないのはいうまでもない。
◆洗練されたカングーに対し、道具感が健在なドブロ
乗り味は、ほぼほぼ兄弟車3車に共通するイメージだ。試乗車のタイヤはミシュラン・プライマシー4の205/60 R16を装着。同社らしいタイヤが丸くスムースにころがる感覚と、サイドウォールの丸さを使った巧みなショックの吸収もあり、乗り味は街中も高速も快適だった。
兄弟車3車の乗り味の微妙な差をあえてオノマトペで表現すると、このフィアット・ドブロはサパッ、プジョー・リフターはシュッ、そしてシトロエン・ベルランゴはシトッといったところか。
運転席まわりや乗り味など、今やかなり乗用車に寄せてきた最新のルノー『カングー』に対し、旧来のスノッブな道具感が健在なのはこの3兄弟の中で、とくにドブロ、そんな気がする。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
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