【MINI クーパーSE 新型試乗】「ミニらしさ」と「ミニらしくなさ」…島崎七生人
ガソリン車と較べると、実はEVの『クーパーSE』は全長が15mm短く、全幅が10mm広く、全高が5mm高く、ホイールベースが30mm長い。クーパーSEにはフェンダーアーチモールがなく、前後フェンダー自体がふくよかなのも見て取れる。
が、聞かされて驚いたのは、フロントスクリーンがガソリン車とは別モノでより寝かされているということ! フラップ式のドアハンドルと共に空力のためだそうだが、そういえばエンジンフードの切り取り方もR50以来のクラムシェル型ではなく見切り線は普通になり、これまでのクラシックミニを思わせたAピラーの延長線的なラインもなくなった。
とにかくエクステリアデザインは、先代までのムードから一転、究極的といえるスリークさに生まれ変わった。
インテリアもディテール過多だったこれまでとは一変。リサイクルポリエステルを布地風に見せて使ったインパネなど実にシンプル。サムスン製という240mm径のセンターディスプレイは否応なしに目が行く。さらにその下の楕円状のパネル部分には、中央に捻る方式の始動スイッチ、その右にトグルスイッチ化したシフトセレクターが……。
と、ここで「おっ!?」と気づく方は生粋のミニマニアというべき。全体はモダンに仕上げながらも、中央がキーシリンダーだった楕円状のスイッチパネルとシンプルな丸型メーターの組み合わせは、「モーリスミニマイナー」、「オースチンセブン」などと呼ばれた1959年のBMC当時の最初のミニ、ADO15の佇まいをさり気なく再現した、実はタイムレスなデザインでもある。
ちなみにペダル類はガソリン車とは別物で、アクセルペダルは吊り下げ式だ。
居住性はEVのパッケージングであっても、低いポジションのミニらしさは保たれている。シートサイズにも不満はなくなった。スポッと身体を収めれば、大人が何とか座っていられる後席スペースも同様だ。フロントスクリーンとAピラーが寝かされたことで、信号待ちの先頭に停って真上の信号機を見上げて見やすくなった点だけは、ミニらしくなくなった(!?)というべきか。
短時間の試乗につき、走行モードや各種機能をすべて確認することは不可能だったが、ミニと電動パワートレインとの親和性はまったく問題なしだ。強めにアクセルを踏み込むと“ギュイーン!”と、擬似エンジン音ではないEVらしさを強調した音の演出が立ち上がるが、これはこれで楽しめる。もちろん力強い加速は味わえ、アクセルレスポンスもよくパワー感はごくスムースなので運転はしやすい。
1640kgの車重に対して足回りは引き締められ、場合によりピッチングモーションは実感するものの、基本的な乗り味はしっかりとしたもので上質感もある。ミニらしくやや重めの操舵感としたステアリングのアシストも安心感がある。スペック表によれば一充電走行距離(WLTCモード)は446kmとのこと。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
が、聞かされて驚いたのは、フロントスクリーンがガソリン車とは別モノでより寝かされているということ! フラップ式のドアハンドルと共に空力のためだそうだが、そういえばエンジンフードの切り取り方もR50以来のクラムシェル型ではなく見切り線は普通になり、これまでのクラシックミニを思わせたAピラーの延長線的なラインもなくなった。
とにかくエクステリアデザインは、先代までのムードから一転、究極的といえるスリークさに生まれ変わった。
インテリアもディテール過多だったこれまでとは一変。リサイクルポリエステルを布地風に見せて使ったインパネなど実にシンプル。サムスン製という240mm径のセンターディスプレイは否応なしに目が行く。さらにその下の楕円状のパネル部分には、中央に捻る方式の始動スイッチ、その右にトグルスイッチ化したシフトセレクターが……。
と、ここで「おっ!?」と気づく方は生粋のミニマニアというべき。全体はモダンに仕上げながらも、中央がキーシリンダーだった楕円状のスイッチパネルとシンプルな丸型メーターの組み合わせは、「モーリスミニマイナー」、「オースチンセブン」などと呼ばれた1959年のBMC当時の最初のミニ、ADO15の佇まいをさり気なく再現した、実はタイムレスなデザインでもある。
ちなみにペダル類はガソリン車とは別物で、アクセルペダルは吊り下げ式だ。
居住性はEVのパッケージングであっても、低いポジションのミニらしさは保たれている。シートサイズにも不満はなくなった。スポッと身体を収めれば、大人が何とか座っていられる後席スペースも同様だ。フロントスクリーンとAピラーが寝かされたことで、信号待ちの先頭に停って真上の信号機を見上げて見やすくなった点だけは、ミニらしくなくなった(!?)というべきか。
短時間の試乗につき、走行モードや各種機能をすべて確認することは不可能だったが、ミニと電動パワートレインとの親和性はまったく問題なしだ。強めにアクセルを踏み込むと“ギュイーン!”と、擬似エンジン音ではないEVらしさを強調した音の演出が立ち上がるが、これはこれで楽しめる。もちろん力強い加速は味わえ、アクセルレスポンスもよくパワー感はごくスムースなので運転はしやすい。
1640kgの車重に対して足回りは引き締められ、場合によりピッチングモーションは実感するものの、基本的な乗り味はしっかりとしたもので上質感もある。ミニらしくやや重めの操舵感としたステアリングのアシストも安心感がある。スペック表によれば一充電走行距離(WLTCモード)は446kmとのこと。
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1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
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