【試乗記】レクサスRZ450e“Fスポーツ パフォーマンス” プロトタイプ/RZ300e“バージョンL”
楽しみ方の幅が広がる
“Fスポーツ パフォーマンス”の第3弾
現在、日本仕様で販売されている“Fスポーツ パフォーマンス”は2UR-GSEを搭載する「IS500」と、2.4リッターターボと高出力モーターを組み合わせたハイブリッドAWDの「RX500h」の2モデルとなる。
その“Fスポーツ パフォーマンス”モデルの第3弾として白羽の矢が立ったのが、e-TNGAを用いた専用アーキテクチャーBEVのRZだ。とはいえ、パワートレインは基準車の「450e」と同じ。前軸に「bZ4X」や「ソルテラ」のFWDモデルに用いる最高出力204PSのモーターを配し、後軸の109PSのモーターと合わせることで独自のパワートレイン構成としたそれを引き継いでいる。
ボディーサイズが全然違う
お察しの読者の方もいらっしゃるだろうが、このモデルの元ネタは2023年の東京オートサロンに出展された「レクサスRZスポーツコンセプト」だ。が、会場でそれを見た室屋氏と航空エンジニアたちの間で、コンセプトで示されたエフェクトパーツをよりきっちりと効かせる術(すべ)があるのではないかと議論になり、形状の吟味を重ねたという。それが採用されたというわけだが、コンセプトと見比べてみるとルーフスポイラーの翼部の角度や翼端形状など、細かなところに明確な違いが見て取れる。
「RZ450e“Fスポーツ パフォーマンス”」の寸法はノーマルに比べると全長が55mm、全幅が70mm大きく、全高が10mm低くなっている。トレッドも前が50mm、後ろが40mm広がっており、タイヤサイズも幅広の21インチだ。明らかに異なるディメンションを土台に、走りのチューニングはレーシングドライバーの佐々木雅弘選手が担当した。コイルとダンパーの仕様を違えているが、ダンパーは電子制御可変式などは用いず、標準車と同じいわゆる「決め打ち」で設定している。
極太タイヤの効果は絶大
下山テストコースには3カ所ほど連続的に波状入力が加わる路面があり、サスの追従性があからさまに露呈する。ここでの幾度かの試乗経験のなかではRZ450e“Fスポーツ パフォーマンス”が最も大きなタイヤを履いたモデルだったかと思うが、覚悟したバネ下の暴れはおおむね気になるほどではなかった。自重による抑え込みか、はたまたダウンフォースのおかげかリア側の収まりもよく、ペースを上げて跳ね気味になりつつもドライバーには接地感がしっかり伝わっているから安心してアクセルを踏んでいける。フレーム側からヨレていく気配がみじんもないあたりは、さすがBEVといったところだろうか。
コーナリングのキャラクターはベースのRZ450eに比べればさすがにハイゲインで、操舵の手応えもガチッとたくましい。そのぶん、タイヤのねじれや潰れがみちっと手のひらに伝わるような粘度も高まっているように思える。結構なペースで走ってみても、スーパーカー級のサイズとなるリアタイヤは微動だにしないグリップ感を放っており、姿勢を崩すような状況は相当な高みにありそうだ。いくら重心が低いとはいえ、自重の重さや上屋の高さは常に意識すべきだろうが、音的な高揚感もなきまま全能的なハンドリングを味わうという新しさがBEVスポーツの醍醐味(だいごみ)ということになるのだろう。
約600km走れる「RZ300e」
が、これが乗ってみると上出来なBEVだった。懸念されるトルクステアの類いは徹底的に封じ込められており、操舵感は終始上質。そしてハンドリングも据わりのよさと軽やかさとのバランスがちょうどいい。限界域でもボディーコントロールデバイスの効きは滑らかだが、そんなところに至る必要がない人にとっても、レクサス+BEVの清涼なドライビングフィールを感じ取ってもらえるはずだ。
RZシリーズは今回、バッテリーのサーマルマネジメントを改善することで急速充電効率が高められたので経路充電でも利便性の向上が期待できる。300eは450eと同じ71.4kWhのバッテリーを搭載しながら、WLTCモードで599kmの航続距離をマークしているぶん、機動力も高い。BEVの進化は買う身には残酷だが、待つ身には興味深いものだとつくづく思う。
テスト車のデータ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4860×1965×1625mm
ホイールベース:2850mm
車重:--kg
駆動方式:4WD
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
フロントモーター最高出力:204PS(150kW)
フロントモーター最大トルク:266N・m(27.1kgf・m)
リアモーター最高出力:109PS(80kW)
リアモーター最大トルク:169N・m(17.2kgf・m)
システム最高出力:313PS(230kW)
タイヤ:(前)255/40R21/(後)295/35R21(ブリヂストン・アレンザ001)
一充電走行距離:--km
交流電力量消費率:--Wh/km
価格:1180万円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
消費電力量:--kWh
参考電力消費率:--km/kWh
レクサスRZ300e“バージョンL”
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4805×1895×1635mm
ホイールベース:2850mm
車重:1990kg
駆動方式:FWD
モーター:交流同期電動機
最高出力:204PS(150kW)
最大トルク:266N・m(27.1kgf・m)
タイヤ:(前)235/60R18 103H/(後)235/60R18 103H(ヨコハマ・アドバンV57)
一充電走行距離:599km(WLTCモード)
交流電力量消費率:120Wh/km(WLTCモード)
価格:820万円/テスト車=820万円
オプション装備:なし
テスト車の年式:2023年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
消費電力量:--kWh
参考電力消費率:--km/kWh
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