世界基準のコンパクトカー誕生! 新型「ヤリス」のこだわりポイントを紹介
- [左]Z(2WD/CVT) [中央]HYBRID G(2WD) [右]HYBRID Z(E-Four)<いずれもオプション装着車>
「ファーストカーになりうるコンパクトカー」と豊田章男社長が全世界に発信したその真意は、当然、一編集部員としては図り知れるものでない。しかし、取材会やチーフエンジニアへのインタビュー、ジャーナリストに話を聞いているうちに、改めて世界で『ヤリス』というブランドを確固たるものとし、さらに、ヤリスを運転するすべてのドライバーに、新たな価値観を与えることができるクルマなのではないかという気持ちが強くなってくる。
実際に試乗したファーストインプレッションは、コンパクトカーであることを忘れるほど、ほどよいドライビングポジションがすぐに見つかり、前方の見通しもよく、初めて乗るにも関わらず、走る、曲がる、止まるともに、思った通りに運転することができる、ということだった。
また、ガソリン車は軽快感を、ハイブリッド車は出だしのスムーズ感や安定感を感じ、それぞれのメリットを活かすセッティングが興味深かった。
サーキットという限られた状況の中での試乗であったため、市街地や高速道路でどのような走りをしてくれるのか、非常に期待感が膨んだ、そんな試乗した際の印象であった。
そんな新型ヤリスについて紹介していこう。
新型ヤリスは、トヨタ自動車がカンパニー制を取り入れたことで設立された「トヨタ・コンパクト・カー・カンパニー(TCカンパニー)」にとって、初の新型車となる。
そのメリットは絶大だ。
コンパクトカーを専門で企画、設計することが可能となったTCカンパニーにとって、意思決定が素早くなり、最新の機能を高級車に気兼ねなく取り入れることができるようになったという。
開発のコンセプトの中で、「小ささへのこだわり」が重要なポイントの一つとなっている。
ヴィッツに比べてもよりコンパクトに見える新型ヤリスだが、
利便性を損なわずいかにコンパクトに見せるか
コンパクトカーならではの軽快なハンドリング
コンパクトカーを超える上質な乗り心地
など、コンパクトカーを超えるコンパクトカーとしてすべてを刷新し、思いのままに、走る楽しさをより感じられるような車両の開発が進められている。
エクステリアとしては、全長は5mm短くなっているが室内長は40mm長くし、ホイールベースを40mm長くすることでオーバーハングを短くしている。
全幅は同じサイズだが、フロント面はグリルを大きく取り、立体感のあるサイドのデザインで、存在感のあるフロントマスクとなっているが、このフロントのデザインは何度もやり直し、非常に苦労した点だという。
全高は30mm下げており、さらにリアのハッチもなだらかに下がりスポーティな印象なのだが、室内高や荷室は現行ヴィッツと同様のサイズ感となっている。
- 新開発コンパクトカー向けTNGAプラットフォーム(GA-B)を採用
コンパクトカー初採用のTNGA(トヨタ・ニュー・グローバール・アーキテクチャー)と環状構造のフレーム、高張力鋼板の使用部位を増やすなど、軽量化と高剛性化を進めている。これにより、車体の捻れが30%低減され、同じグレードのハイブリッド車での比較では、現行ヴィッツよりも50㎏もの軽量化を実現している。
さらに、サスペンション摩擦を大幅低減した足回りや、ステアリング取り付け部の剛性、電動パワーステアリングの出力などの向上が図られている。
パワーユニットは、直列3気筒1.5Lのエンジンに、ダイレクトシフトCVTか6速マニュアルのガソリン車と、ハイブリッド車が用意されている。それぞれ4WDも設定されている。(ガソリン車の4WDは発売時期が少し後となっている。)
新開発された1.5Lの「ダイナミックフォースエンジン」は、小型軽量で最大燃焼効率が40%以上となるなどトルクの向上や、実用域での燃費向上も実現している。
新世代のハイブリットシステムは、システム出力、モーター出力、バッテリー出力をそれぞれ見直し、最適化することで、動力性能を15%以上向上させることが可能となっている。
燃費性能はXグレードで36.0km/L(WLTCモード)、EVでの走行速度は70km/h→130km/hを実現している。
同じ2WDのZグレードで比較するとガソリン車は、ハイブリッド車に比べMT車(1,000㎏)で90㎏、CVT車(1,020㎏)で70㎏も軽く、その軽さからくる軽快感をより感じることができる。
ハイブリッド車は、システム出力の、モーター出力、バッテリー出力をそれぞれ見直し、15%以上の動力性能の向上を実現している。
さらに、改良型の1.0Lエンジンに新開発のスモールCVTを組み合わせた仕様も用意され、パワー感は劣るが、さらなる軽量化で、キビキビとした取り回しのいい走りができるようになっている。
ドライビングポジションにこだわっているのも、新型ヤリスの特長だ。
ヒップポイントが低く、コーナリング中に体がずれにくいホールド感のあるシートが採用されている。
また、スポーツ感のある小径のステアリングが、上下のみならず前後にも調整可能で、コンパクトカーではありながらも、運転する人に応じたドライビングポジションが取りやすくなっている。
フラットなダッシュボードや細くなったAピラー、ドアミラーと運転席の距離が少し長くなったことなど、運転席からの見通しのよさにもこだわり、運転が楽になるような設計がなされている。
ここまで、個別に各機能や技術を紹介してきたが、新型ヤリスにおいて特筆すべきところは、特にドライビングにこだわった開発コンセプトと、そのパッケージとしての性能の高さである。
ワールドワイドでのヤリスブランドの強化に向けて、日本でクルマの購入検討時に重視される「居住性の広さ」や「積載性能の高さ」などよりも、走りの“感性”を大切にし、走っていて楽しい、誰が運転しても思いのままに運転できるように開発が進められている。
次世代の予防安全パッケージが標準装備され、
・プリクラッシュセーフティ
・レーントレーシングアシスト
・レーダークルーズコントロール
・オートマチックハイビーム
・ロードサインアシスト
などの、最新のトヨタセーフティセンスが標準装備(X“Bパッケージ”を除く)され、特に日中の自転車や夜間の歩行者へのプリクラッシュセーフティの機能はコンパクトカー初の採用となっている。
その他、オプション設定にて、踏み間違え衝突回避機能や後退時の接近車両との衝突回避の機能など、高級車と同様の安全装備を付加することも可能となっている。
注目のサポート機能がトヨタ初採用となっている。それが高度駐車支援システム、その名も「トヨタ チームメイト」だ。
駐車したいスペースを自動で認識し、ステアリング、ブレーキ、アクセル操作も自動で行ってくれる(シフト操作は手動)優れもので、カメラやソナーによって、接触回避の支援も行ってくれる。
さらに、世界初となる駐車位置を記憶する機能が搭載され、駐車区画の線がないところや自宅のガレージなどでも、素早く正確に駐車を支援してくれる。
駐車が苦手という方は、ぜひとも一度この機能を体験いただきたい。
もちろん、最近のトヨタの新型車と同様、車載通信機も全グレードに標準で搭載され、有料とはなるがオペレーターサービスや駐車した位置を教えてくれるマイカーサーチなども利用することが可能だ。
また、全車にディスプレイオーディオも標準搭載され、普段利用しているスマートフォンのアプリを、ディスプレイに表示し利用することができる(対応アプリのみ)。
ディスプレイオーディオと車載通信機によるコネクティッドサービスについての詳細は、トヨタのホームページにて確認してほしい。
まだまだご紹介したい機能もあるのだが、最後に一つご紹介しておくと、乗り降りする際に外に向けてシートが回転し、乗り降りをしやすくしてくれるターンチルトシートをオプションで選ぶことができる。
これは、足腰の弱い方がクルマの降乗をしやすくなったり、スカートや和装の女性などにもうれしい機能だ。
この機能の採用にあたっては、担当者からの提案に対し、すぐに採用が決定したなど、利用者にとってうれしい機能は積極的に取り入れていく開発体制があったことは、ぜひとも紹介しておきたい。
カローラスポーツの登場以降、トヨタが目指す走りへの強いこだわりは、今回の新型ヤリスにもしっかりと受け継がれている。
また、それは開発部門のみならず、販売部門、広報部門なども同じ思いのもと、一体となり世界でヤリスブランドを確立するための車両開発が進められている。
それは、先日日本中を熱くしてくれたラグビーワールドカップでの日本代表の“ONE TEAM”を連想させてくれるほどの想いが、いろいろな方の話を聞くと感じられるのだ。
世界基準の走りを得た新型ヤリス、難しいことは抜きにして一度は体験いただきたい。
価格*1は下記のとおり。
ガソリン:139万5000円~212万4,000円(税込み)
HYBRID:199万8000円~249万3000円(税込み)
車いす収納装置付車:156万9000円~192万1000円(税抜)
*1 北海道、沖縄のみ価格が異なる。価格にはリサイクル料金は含まれない
ヤリス 車両情報はこちら: https://toyota.jp/yaris/
フォトギャラリー
山崎リク [ガズー編集部]
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