GAZOO.comが目指すもの [豊田 章男](2/2)
GAZOOをユーザー参加型の自動車ポータルサイトに変える
‐‐‐今回、大きなリニューアルに至った理由、またその目的とは何でしょうか。
GAZOOはインターネットが急速に普及する中で、着実にその役割を果たして来ましたが、一方で、ここ数年間にインターネットは、大きく変貌してきたように思われます。
例えば、ブログや、ソーシャルネットワーキングサービスに代表されるように、ユーザー自身が情報を発信し、それ自体がマーケティングメディアとして大きく機能し始めています。
また、ユビキタス情報ネットワークという言葉に代表されるように、携帯電話はもちろん、当社のG-BOOKのように車の中までインターネットが浸透しつつあります。
このような変化に対応すべく、ガズーを、誰もが参加でき、情報を発信できる、ユビキタス時代にふさわしい、自動車ポータルサイトへと大きく変貌させるため、企画、開発をゼロからやり直し、全てのページを一新しました。
GーBLOGで、新時代のポータルサイトと車のあり方を提案したい
‐‐‐リニューアルの最大の特徴は具体的に何でしょうか?
まず、随所にユーザー自身が情報発信できる機能を織り込みました。特に、12月から始まる「G-BLOG」と呼ばれる地図ブログサービスでは、ユーザー自身が、Webサイトの地図上に携帯などからスポット情報を照会するブログを公開でき、それが、カーナビの地図上にも公開されるというものです。まさに、新時代のポータルサイトと車のあり方を予感させるものだと思います。 インターネットのブログが、街と村を、カーナビを媒体にして有機的に結ぶというようなことも可能になってくるわけです。実際、GAZOO.comでは、これを用いて村落の活性化を支援する、「Gazoo muraプロジェクト」というような企画を実施する予定です。 これ以外にも、ポータルサイトとしてふさわしい、多彩な新機能、新サービスをご用意しました。詳しいことはホームページでごらんください。
GAZOOは、これからもベンチャーであり続ける
‐‐‐GAZOOについて、苦労話があったらお聞かせ下さい。
なんと言っても、最初がたいへんでした。なにしろ、当初は、変なことを考えている人達がいるという具合に社内でも白い目で見られていましたから・・予算が無いんです。そもそも、当時は、インターネットのサイトを開発、運営する部署などなかったですから、いずれにしても、全部自分達で開発しなければならなかった。金がないから、PCも部品から自分達で組みつけました。
いよいよ、サーバーをたくさん置く場所がいるということになって・・もちろん、今でこそ、立派なデーターセンターがありますけど・・当時は場所も金も無いと悩んでいたら、数少ない理解者の一人だった内川常務(現在の関東自動車、内川会長)が、「俺の部屋を使え・・」と言ってくれた。一週間もしないうちに、役員室が、サーバーセンターになってしまい、「本当にやりやがった!」と常務は唖然としていましたけれど嬉しそうでしたね。今では懐かしく思えますが、みんな必死でした。トヨタ自動車は、もともとベンチャーで始まりましたが、GAZOOは、いつまでもベンチャーであり続けたいですね。
クルマ好きの集まる、すばらしい場づくりを続けていきたい
‐‐‐最後に、今後のGAZOOについて思うところを述べてください。
GAZOOが、今回、大リニューアルを迎えることができるのは、今まで支えてくれた会員の皆様のおかげです。そんなメンバーたちが、もっと楽しく、有意義に集え、情報を交換できる、そういう場を提供したいと考えています。そのような場が、今後の自動車、及び自動車産業の更なる発展につながれば幸いです。車社会や自動車産業全体の健全な発展なくして、トヨタの発展はあり得ません。そういう意味で、メーカーやブランドの枠を超えて、ユーザーが集える場としてのGAZOO.comの役割は重要でしょう。会員の皆様の声をどんどん取り入れて、すばらしい場づくりを続けて行きたいと思います。
【Profile】豊田 章男(とよだ あきお)
1984年トヨタ自動車入社。生産調査部、国内営業など経て、1998年にカーライフの総合情報サイト「GAZOO.com」を立ち上げ、渡米。GMとの合弁会社NUMMIの副社長に在任中も、Gazoo事業部(現e-TOYOTA部)を兼務し、トヨタのインターネット戦略全般を指揮。2000年に取締役就任、アジア本部長、中国本部長などを経て、2005年に取締役副社長に就任。現在は、情報事業、調達、商品企画、品質保証、e-TOYOTA部を担当。
※2009年6月に代表取締役社長に就任。
( 文:三枝義浩 )
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