”胸を張れる”という価値。 [2代目アルファード/ヴェルファイア 中越裕三チーフエンジニア](2/2)
初代アルファードはなぜヒットしたかを考える。
- 「ドーダ」力をより進化させた2代目アルファード
- 想像以上のゆとりを実現したアルファードの室内
(写真は350G“Lパッケージ”7人乗り・2WD)
そして2004年の秋から、2代目アルファードとヴェルファイアの開発にチーフエンジニアとして携わることになりました。 初代アルファードが出るまで、そのジャンルでは他社のライバル車が人気でしたが、縦置きエンジンでFR、商用車の流れを汲んだクルマでした。 初代アルファードはFFで、プラットフォームから乗用車として作られ、登場とともに一気に市場を変えたのです。
さて、そんなクルマの2代目を担当することになった私は、初代アルファードのヒットの源はどこにあったのか、徹底的に考えました。 私の出した結論は、「ドーダ」の力でした。 かつて、やっとマイカーを手に入れたお父さんは、ぴかぴかのクルマを家族に見せて「ドーダすごいだろう」と誇ることができました。 ところが近年では、無理をして高級乗用車に乗り換えたとしても、そのブランド価値に興味のない子どもたちや、お年を召したご両親は、「わあ、すごい」と言ってくれなくなってきたのです。
そんななか、初代アルファードは、人々が忘れかけた「ドーダ心」を見事に刺激し、 かつてクルマに向けられていた憧れの気持ちを、目覚めさせたのではないか。 家族に「ドーダ」と胸を張れるという価値を提供したから、ミニバン市場を席巻できたのではないか。私はそう分析したのです。
- 「ドーダ」力をより進化させた2代目アルファード
- 想像以上のゆとりを実現したアルファードの室内
(写真は350G“Lパッケージ”7人乗り・2WD)
「ドーダ」の力を極める。
2代目アルファードとヴェルファイアの開発において、私は「ドーダ」の力を徹底的に極めたいと考えました。 ヒットしたクルマの2代目の開発は、得てしてうまくいかないことがあります。それは、初代の成功に引っ張られてしまい、思い切った変化ができなかった場合です。 ですから、2代目のアルファードの開発には「すべてにわたって進化させよう、そのためにできることはすべてやろう」という想いで取り組みました。 結果として、スタイリング、室内空間、走りや乗り心地、安全性能など、すべての点で初代の「ドーダレベル」を大幅に超えることができました。
新型アルファードが納車されたら、お父さんが何も語らなくても、お母さん子どもたち、 親戚や友人のみなさんは、まず威風堂々とした存在感に圧倒され、スタイルに感激し、 ドアを開ければ空間の広さで驚きの声を上げ、乗りこめばゆったりとしたシートに満足し、 走り始めれば静けさに感心し、室内間接照明でリッチな気分になり……。「わあ、すごい!」を連発してくれるはずです。 加えて操縦安定性や燃費も大幅に向上しています。環境やエコの面でも「ドーダ」と満足感を得られるクルマに仕上がりました。
ミニバンの新しい価値を発信する。
- ミニバンを変革し、高みを目指すヴェルファイア
私は、新型アルファードとヴェルファイアで、新しい価値を発信できたと考えています。 欧州メーカーの高級ミニバンでさえ、トラックをベースとするものがほとんど。乗用車として、これほど洗練されたプレステージ性を持ったミニバンは、世界広しといえど他に見あたらないからです。
たとえば、オットマンの装備された2列目のシート(エグゼクティブ・キャプテンシート)。 ファミリーのドライブで快適に使われるだけではなく、エグゼクティブなビジネスマンを送迎する社用車としても使われる可能性もあります。 そのように、新型アルファードとヴェルファイアは、新しい市場を開拓する可能性も秘めたクルマなのです。 みなさん、ぜひ、このクルマの発する新しい価値を感じてください。そして、オーナーとなって、ご家族に「ドーダ」と胸を張っていただきたいですね。
- ミニバンを変革し、高みを目指すヴェルファイア
( 文:三枝義浩 )
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