Just My Lifeという選択肢 [ラクティス 三浦清克チーフエンジニア](1/2)

「New Small Smart MPV」を開発コンセプトに「コンパクトでありながらゆとりの室内空間」「広い荷室」「運転のしやすさ」「使いやすさ」といったこれまでのラクティスの特長をさらに進化させ、お客様のあらゆる生活シーンで、最大限に楽しく快適に使いこなせる次世代のファミリーカー・新型ラクティス。
徹底してお客様視点に立った開発により、生活やライフスタイルに密着した"Just My Life"を提案。日本における「コンパクトカー」を再定義している。
その開発責任者である三浦清克チーフエンジニアをトヨタテクニカルセンターに訪ねた。

運転して楽しいクルマ

三浦清克
三浦清克
1955年愛知県生まれ。
1980年トヨタ自動車工業入社。
シャシー設計部にてセリカ、スープラ、ソアラなどのサスペンションの設計を約10年担当した後、商用車の製品企画セクションに異動。
ハイエース、グランビア、ハイエースレジアス、初代アルファードなどの開発を担当。その後、チーフエンジニアとしてハイエース(現行モデル)、2代目イストなどの開発を手がけてきた。

自分が理科系の人間だなと気づいたのは小学生の時。一つ上の姉の教科書を借りて読むくらい理科や算数が好きでした。機械をいじるのも大好き。一方で国語は大の苦手で、いまでもよく漢字を間違えたり、英語が不自由で苦労しています(笑)。

これは人間の本能だと思っていますが、僕は昔から"移動すること"が大好きです。移動手段にはクルマをはじめ、電車やタンカー、ジェット機などいろいろありますが、自分の身近にあって、自分自身が操作できて楽しい乗り物、そしてエンジニアとしても身近に感じられるモノとして、クルマが好きでした。だから、「将来はクルマを作る仕事がしたい」と考えていました。

僕のクルマ作りの基本的な考え方は「運転して楽しい」ことです。豪華とかリラックスできるとかいうことよりも、自分で運転して楽しいクルマ。スムーズに、自分の思い通りに操作できて、しかも使い勝手がよくて、役に立つ、便利なクルマです。そういう意味では、今回チーフエンジニアとして企画段階から開発を担当した新型ラクティスは僕が作りたかったクルマであり、自分自身をターゲットユーザーとして、ユーザーの視点から「僕が欲しい機能・装備・使い勝手」にこだわって開発しました。

三浦清克
三浦清克
1955年愛知県生まれ。
1980年トヨタ自動車工業入社。
シャシー設計部にてセリカ、スープラ、ソアラなどのサスペンションの設計を約10年担当した後、商用車の製品企画セクションに異動。
ハイエース、グランビア、ハイエースレジアス、初代アルファードなどの開発を担当。その後、チーフエンジニアとしてハイエース(現行モデル)、2代目イストなどの開発を手がけてきた。

お客様の視点に立った開発

チーフエンジニアとして開発を担当するのは今回の新型ラクティスは3つめになります。それまでは商用車の製品企画セクションで約15年間、ハイエースやグランビア、ハイエースレジアス、初代アルファードなどの開発を担当してきました。

もともときびきびと走る楽しいクルマを作りたいと思っていたので、シャシー設計から製品企画セクションに異動する際は、正直なところ「商用車かあ」という気持ちがありました。しかし、やってみると商用車の開発はSUVも含めて、企画の自由度が高く、若手にもどんどん仕事を任せてもらえる。時代の変化に合わせてどんどん新しいクルマを開発することができました。

それに比べると乗用車の開発は自由度が少なく、原価低減などのプレッシャーも高い。また突飛なクルマをポンポンと開発する訳にもいかないので、ややもすると企画する楽しさよりも開発のマイルストーンを一つ一つ着実に越えていくことが求められるようなイメージが強いと思います。しかし、それは開発者の気持ちの持ち方次第で変えることも可能です。クルマを実際に買って、使う人の立場に立って考えれば、いくらでも企画の余地や自由度があります。

"気が利いてる!""買ってよかった"

クルマに限らず、家電製品など身の回りのものを見渡してみると「これを開発した人はなぜ、こんな設計やデザインをしたのだろう?」と思うことはありませんか? 使ってみると使い勝手が悪かったり、見栄えが悪かったりする。エンジニアや設計者の性分なのかもしれませんが、僕はそういうのがすごく気になります。ついつい「こうしたほうが使いやすいのに」とか「僕ならこうするのになあ」と考えてしまいます。

だから、自分が開発するモノについては、お客様からそんなふうに思われたくない。「このデザインはよく考えられているなあ」とか「この設計は気が利いているなあ」と思っていただきたい。それが僕のチーフエンジニアとしてのポリシーです。買った人が使えば使うほど、好きになってくれる。「このクルマを買ってよかった。正解だった!」と思っていただける。そんなクルマを作りたいと思っています。

MORIZO on the Road