~お客様の喜び、笑顔のために~「安心・快適・使い勝手No.1」 [ポルテ/スペイド 鈴木敏夫 主査](1/3)

1997年に『オープン!』をキャッチフレーズに、乗り降りがしやすいユニバーサルデザインのコンパクトカーとして発売されたラウムによって、トヨタは「スライド2BOX(スライドドアのコンパクトカー)」という新しいジャンルを開拓した。以降、トヨタはシエンタ(2003年)、ポルテ(2004年)を投入、この市場を牽引してきた。とくに、ポルテはラウムに続くユニバーサルデザイン第2弾として開発され、助手席側のドアに大型電動スライドドアを採用し、大開口を実現、さらにフロア高を300ミリまで下げたことにより、圧倒的な乗り降りのしやすさが子育てファミリーや子離れ夫婦層を中心に高く評価されている。そして、近年、この「スライド2BOX」のジャンルには、他メーカーが次々と新モデルを投入し、一躍、激戦区となっている。
そんな中、トヨタはポルテをフルモデルチェンジ。同時に、兄弟車・新型スペイドをリリース。ポルテは、トヨタ店・トヨペット店、スペイドは、カローラ店・ネッツ店から発売開始された。「スライド2BOX」の先駆者であるトヨタがその究極のモデル・決定版として開発したクルマとはどんなものなのか?その開発の舞台裏を取材すべく、開発責任者である鈴木敏夫主査を訪ねた。

トヨタのクルマづくりの新機軸の確立

鈴木 敏夫(すずき・としお)
鈴木 敏夫(すずき・としお)
1984年 慶応義塾大学理工学部大学院卒。同年、トヨタ自動車入社。エンジン開発部門において、主にS型エンジン(直列4気筒)の適合を担当。その後、初代プリウスの開発チームに参加し、エンジンとハイブリッド制御を担当。2000年1月に製品企画部門に異動し、プロボックス/サクシード、グローバル・エントリー・セダンの世界戦略車ベルタ(ヤリスセダン、ヴィオス)、さらにはシエンタ、パッソ、bBなどの開発を担当。そして、2009年1月に「究極のスライド2BOX」の開発を目指してスタートした新型ポルテ/スペイドの開発においては当初からその陣頭指揮をとってきた。

2004年の登場以来、優れた乗降性と居住性を魅力とするポルテは、子育てファミリー、そして子離れ夫婦の方々を中心に長きに渡り好評を頂いてきました。購入されたお客様の評価でも多くの方から乗降性や居住性について100点満点をいただくなど、極めて満足度・愛着度の高いクルマです。こんなクルマは他に例がありません。
しかし、一方で不満が全く無かった訳ではありません。車高が高く、全長が短いボディゆえに、走りについては得意とはいえませんでした。クチの悪い自動車評論家からは「(走るじゃなくて)動く物置車」と揶揄されたこともありました。さらには、「右側リヤにドアをつけてほしい」「乗り心地をもっと良くして」「燃費の向上を…」など様々な要望が寄せられていました。
今回の新型ポルテ/スペイドの開発にあたっては、これまで評価の高かったポルテの良さはそのままに(ものによってはさらに進化させ)、こうしたお客様からの要望を汲み取り改善していく。このクルマに込めた思い、目指したことは「安心・快適・使い勝手No.1」です。
新型ポルテ/スペイドの開発は、コンパクトハイブリッドカー「アクア」と並ぶ、トヨタの次世代コンパクトカーの最重要プロジェクトの一つとして進められました。アクアが“圧倒的な低燃費”なら、このクルマでは“使い勝手”という、トヨタのクルマづくりの新機軸を打ち出していく。これまでポルテのお客様から高く評価いただいていた優れた乗降性と居住性をさらに進化させ、もっと幅広いお客様から支持されるクルマに仕上げていく。既成概念にとらわれない究極のスライド2BOXを開発する。それが私たちに与えられた使命でもありました。
「安心・快適・使い勝手No.1」を徹底追求、子育てファミリーのみならず、老若男女様々な人の、あらゆる生活を、「知恵と工夫と技術」でサポートしていきたい!家族が、みんなが、日本が、「もっと明るく・楽しく・元気良く」なれるように!
これがプロジェクトをスタートさせたときの私からのメッセージです。そして、社内のあらゆる企画提案、審査会議、プロジェクトメンバーへの説明など、すべてのプレゼンの最後には、必ず、これを語りました。

鈴木 敏夫(すずき・としお)
鈴木 敏夫(すずき・としお)
1984年 慶応義塾大学理工学部大学院卒。同年、トヨタ自動車入社。エンジン開発部門において、主にS型エンジン(直列4気筒)の適合を担当。その後、初代プリウスの開発チームに参加し、エンジンとハイブリッド制御を担当。2000年1月に製品企画部門に異動し、プロボックス/サクシード、グローバル・エントリー・セダンの世界戦略車ベルタ(ヤリスセダン、ヴィオス)、さらにはシエンタ、パッソ、bBなどの開発を担当。そして、2009年1月に「究極のスライド2BOX」の開発を目指してスタートした新型ポルテ/スペイドの開発においては当初からその陣頭指揮をとってきた。
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