ハリアー 開発責任者に聞く(1/4)
LION but NEW~高級・進化・新規
- 有元真人(ありもと・まこと)
1960 年岡山県生まれ。大学院の工学研究科金属加工学専攻を修了後、1984年トヨタ自動車入社。電子技術部でA/Tや4WDのECUの設計、オー ディオの設計などを担当。その後、技術管理部、FC技術部などを経て、製品企画本部に異動。タコマ、サーフ、ランドクルーザープラド、レクサスGX、 RAV4、ヴァンガードなどの開発を歴任。トヨタにおけるSUVの第一人者のひとりである。
緊張感溢れるサウンドが流れる中、ライオンのマスクにタキシード姿の紳士が颯爽とクルマから降り立つ。「WILD but FORMAL」のキャッチコピーとともにオンエアされたTVCFはいまでも多くの人の記憶に残っているに違いない。1997年、スポーツユーティリティと高級乗用車を融合したラグジュアリーSUVという独創的なカテゴリーを創出し、クロスオーバーの新市場を開拓した初代ハリアー。海外ではレクサスRXとして発売され、北米を中心に成功をおさめ、後に世界中のメーカーから追随モデルが発売され、SUV市場拡大の牽引車となった。
また、そのプレステージ性をさらに進化させ、2003年にデビューした2代目ハリアーには世界初を含む数多くの新技術や先進装備が搭載され、「先進」「革新」そして 「高級」というブランドイメージを確立した。そして2009年にレクサスRXが3代目にフルモデルチェンジされ、トヨタブランドでは後継としてヴァンガードが発売されたが、国内のユーザーや販売店からの熱烈な要望と人気を背景に、2代目ハリアーの生産は継続された(2012年生産中止)。
そして、10年の年月を経て、2013年秋、待望の3代目ハリアーが国内専用車としてフルモデルチェンジされて再登場することになった。開発責任者は以前ランドクルーザープラドのチーフエンジニアとしてこのコーナーでインタビューした有元真人チーフエンジニアである。大成功した後のクルマのモデルチェンジはとくに大変である。当時、「自分はチーフエンジニアに最も向いていないタイプ」と断言していた同氏がどんな苦労を経て、どんなクルマをつくり上げたのかすごく興味があった。そして、話を聞く中で、3代目ハリアーには有元チーフエンジニアならではのこだわり(詳しくは「ベーシストのこだわり」参照)が随所に詰め込まれてることがわかった。
ちょっと手を伸ばせば届く高級車。モテ車。
昨今、国内市場では若者のクルマ離れがしばしば問題になっています。これまで「若者にトヨタ車は売れない」と言われてきました。しかし、03年から11年までの2代目ハリアーの購買年齢層の27%を20代が占めています。これは他メーカーのクルマも含めて突出して高い数値です。ハリアーだけは実は若者に売れていたのです。
その理由は簡単です。ハリアーがモテグルマだからです。若いのに高級で素敵なクルマに乗っている彼氏に魅力を感じる彼女の存在が、若い独身男性をハリアー購入に駆り立てます。ハリアーは助手席に乗る彼女もいいクルマと感じる高級車なのです。
20代の男性がハリアーを購入しに来店したけれど、その時は予算が合わずに断念。しかし、一生懸命貯金して、1年後に再び来店して購入いただいた。これはある販売店で聞いた実話です。涙ぐましい話ですが、そこまでしても欲しいモテグルマ、ハリアーを象徴するエピソードだと思います。
ここで重要なのは「高嶺の花」じゃなくて「ちょっと手を伸ばせば届く」高級車であることです。若者が1年間必死で貯金すれば購入できる価格であること。なおかつ、誰が見ても、誰が乗っても、「高級ないいクルマだ」と感じる分かりやすい高級感があること。つまり「高級」でかつ「お買い得」であること。これこそがハリアーがモテグルマであるゆえんであり、「先進」「革新」とともにこれまでのハリアーが築いてきたブランド価値です。これは3代目ハリアーでも引き継いでいくべき重要な価値です。
また、若者に売れているクルマという特徴に加え、ハリアーにはもう一つ、顕著な傾向があります。それはクルマに対するこだわりが強いお客様が多いということです。これも昨今、お客様のクルマへのこだわりが少なくなったと嘆く声が多い国内市場とは逆の傾向になっています。
ハリアーのお客様にヒアリングすると、男女を問わず、みなさん「私はなぜこのクルマを買ったのか?」という明確で積極的な理由をお持ちで、それをとうとうと熱く語るお客様が多い。他のクルマの場合、「なんとなくこれならいいかなと思った」とか「このクルマなら家族が許してくれるから」とか消極的な理由のお客様が多いのに対して、やたらと自分のクルマに対する思い入れやうんちくを語るのがハリアーのお客様なんです。また、フロントグリルを変えたり、ローダウンして大きいタイヤを履かせたりとカスタマイズされるお客様もきわめて多い。
そういうこだわりの強いお客様に選ばれるクルマ。それがハリアーです。いいかえれば、ハリアーはクルマにこだわる人や若者にトヨタが提案する、わくわくドキドキする「わくドキ」のクルマなんです。
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-
-
-
楽しく学べる「防災ファミリーフェス」を茨城県の全トヨタディーラーが運営する「茨城ワクドキクラブ」が開催
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-