レクサス NX 開発責任者に聞く(1/4)
Premium Urban Sports Gear
いま再び、「レクサスはトヨタがプロデュースするブランドである」ことをもっとアピールすべきではないか? これは筆者の個人的な意見である。
2005年、日本にレクサスが逆輸入されたときから、トヨタは国内でレクサスのブランドを確立することに取り組んできた。同時に、それはレクサスからトヨタ色を消していく作業と平行しておこなわれてきた。ブランド確立という目的からすれば、それは当然の戦略と筆者も考えていた。
しかし、その考えが少しずつ変わってきた。最近、ミャンマーやタイを頻繁に訪問する機会があり、現地の車関係者たちと話をする中で、「レクサスはトヨタがプロデュースしているブランドだから」彼ら東南アジアのユーザーはレクサスを高く評価していることに気がついたからだ。
たしかに欧州車に比べるとレクサスの歴史は浅い。しかし、東南アジアのユーザーはレクサスを単なるニューカマーのブランドとは思っていない。ご存知のように彼の地での日本車の人気は絶大で、とりわけトヨタのシェアは高い。ゆえに、彼らにとって憧れのブランドであるトヨタがその技術の粋を結集し、さらに自己否定ともいえる革新的な挑戦を繰り返して生み出されたブランドがレクサスであり、ゆえに高い信頼性と絶大な支持をレクサスに寄せているのである。つまり、ブランドの根底を支えているのはトヨタなのである。
さて、レクサスNXである。これまでRXがその開拓者として牽引してきたプレミアムクロスオーバーSUVの市場に、Cセグメントサイズの新規戦略モデルとして投入されるこの車を開発した加藤武明チーフエンジニアは昭和38生まれの50歳。筆者と同世代である。そして彼もまた、レクサスというブランドに対して筆者に近い想いがあるらしい。
我々が学生だった80年代前半、トヨタからはAE86や日本初のツインカムターボ搭載の3代目セリカ、4代目の流面形セリカ、カリーナED、さらには当時、女子大生が乗りたい車ナンバーワンの称号を欲しいままにしてきた初代ソアラなどが次々と発売された。当時の若者にとってトヨタはまぎれもなくカッコいい憧れのブランドだった。
だからだと思う、我々の世代にはトヨタ=大衆車メーカーというイメージはあまりない。むろん、エントリーカーもあったが借金してでも買いたくなるスポーツカーやオフロードカー、あるいは高級車がたくさんあった。加藤チーフエンジニアのインタビューからも十分にその思いが伝わってきた。そして今また、トヨタはいい車つくりにむかって走り始めた。
もちろん、それがベースにあるからこそ、逆にレクサスはレクサスでないといけない。トヨタ車であってはいけないという強いこだわりが生まれてくる。品質や安全性能などの面ではコーポレートとしてのトヨタの思想やDNAを受け継ぎ、そのうえでブランドとしてレクサスをしっかり作り込む。
新しく開発された「Premium Urban Sports Gear」レクサスNXは、トヨタが培ってきた高い技術力、信頼性をベースに、開発者の熱い想いとこだわり、新しいカテゴリーをこの車がリードしていくという決意、そしてそのための飽くなき挑戦が高いレベルで昇華・結実したクルマであった。
車とカスタマイズのこだわり
学生時代はライダーで、HONDAのCBR400などに乗ってました。車を初めて買ったのはトヨタ自動車に入社してからです。販売店研修先でお客様から下取りしたFRのカリーナ(MT車)を購入しましたが、1年でクラッチが切れなくなり、次にAE92のトレノを買いました。FRでなかったのは残念でしたが、出たばかりのモデルでしたしやっぱりMTにこだわりがあったのです。スーパーカー世代はリトラクタブルランプですしね。
すると映画『私をスキーに連れてって』がヒットして、本格的なRV四駆ブームが到来。その影響もあって、スポーティーな車から一気にそっちに飛んで、ハイラックスサーフ(MTでディーゼルターボ)を購入しました。実はちょっとミーハーな性格です(笑)。
それこそ、フロントにカンガルーバーをつけ、CIBIEのフォグランプとかデコレーションもガーッとやって、ずいぶんお金をかけてサーフをカスタマイズしました。ちょうど、その頃結婚しましたが、ただでさえ結婚資金が必要なときに、なけなしのお金を思い切ってカスタマイズに投入しました。すると、結婚後すぐにアメリカに赴任という辞令が出て、止むなくサーフを手放すことに。このときばかりは、もう頭の中が真っ白になり、涙、涙でした。ご機嫌にカスタマイズしたサーフは1年ちょっとしか乗っていませんでしたし、デコレーションは買い取り査定では一切考慮されなかったからです。
その後はアメリカで訪問客のアテンドをするために、セプターという名前のカムリワゴンやプレビア(エスティマ)、さらにアバロンの立ち上げを担当したからアバロン。と、僕の中では普通だったらあり得ない車に仕事上の理由もあって乗っていました。しかし、妻にとっては「ミニバンってなんて快適♪」ってことになるわけです。ですから、帰国してからも妻に押し切られるカタチでミニバン生活に突入しました。
でも、実はミニバンって、乗ってみるといろいろといじり甲斐があって、楽しいんです。ノアのスポーツグレードを少しローダウンして、お気に入りのホイールをはいて遠慮気味にデコレーションして乗っていました。
「ああ、こういう世界も面白いなあ」ってね。いっそのこと、ダッシュボードにふわふわのカーペットを置こうかなと思いましたが、「それだけは止めて」と妻に制止されました(笑)。
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