レクサスRC 開発責任者に聞く(3/4)
ワイド&ローはかっこいい
開発が始まったのは2011年の5月。最初からRCFとの共同開発でした。“Sexy”なデザインを具現化するために、車高が低くてワイドなクルマにしたかった。そのためにプラットフォームとサスペンションはGSベースになっています。同時に、キビキビ走るクルマにしたかったので、ホイルベースはなるべく短くしたい。そういう意味では一つ前のISのプラットフォームがちょうど良かったのですが、「ボディ剛性をしっかりしたい」というRCFからの要請を考慮して、プラットフォームの中央部にIS Cを持ってきています。ドア下にあるロッカーパネルがISの2倍くらい太いので、とても剛性の高いものになります。また、オーバーハングのこういうクルマだから全体のパッケージは短くしたい。だからリアは現行のISを持ってきています。
車高は積極的に下げ、現行のISより35ミリ低くなり、全幅はフェンダーを大きく張り出させました。とくにこだわったのはリアの張り出しです。プレスを深くすると割れてしまうのですが、その限界に挑戦し、従来よりも30ミリ広げているのが実は現行のISです。そしてRCではそこからさらに30ミリ深くしています。この実現にあたっては生産技術の人にとことんまで頑張っていただきました。おかげさまですごく“Sexy”なフォルムが実現しました。RCはどのアングル、距離から眺めていただいても、きっと美しいと感じていただけると自負していますが、とくにリアのナナメ横から眺めた流麗なスタイリングが個人的には一番気に入っています。
テールランプにもこだわりました。最近、シルクスクリーンタイプのクルマが増えていますが、RCではLEDを内蔵したインナーレンズ一つひとつの突起の形状を工夫することで、点灯時に宝石を散りばめたかのような煌めきを生み出しています。これも協力会社含め、みんなが頑張って実現したので、ぜひ見ていただきたいところの一つです。
また、ボディカラーでは今回、赤と青、オレンジの3色を新しく開発しました。例えば、新色の赤は高輝度のシルバーメタリックのベースの上に、透明で発色性の高い赤のカラークリアベースを塗装し、さらにその上にクリア塗装をする。すると、光がシルバーメタリックのベースまで透過し反射するので、高輝度の鮮やかさと深み感のある赤になります。ぜひ、太陽の下で見ていただくと、こだわりがご理解いただけると思います。
さらにスポーティさと上質感を融合させたインテリアなどもぜひ実車で確認いただきたいと思います。
ドライバーを情熱的にさせるAgileな走り
もちろん走りにも徹底的にこだわりました。まずはボディ剛性の強化に取り組み、これまでレクサスが積み上げてきた知見をすべて注ぎ込みました。
IS Cのプラットフォームの圧倒的な太さのロッカーパネルを骨格の柱として使い、アンダーボディの左右を連結する高剛性フロントロアブレースを採用。さらに、スポット溶接打点の追加に加え、スポット溶接より細かいピッチで溶接し、断面変形を抑制する「レーザースクリューウエルディング」と、パネルを面で結合し、剛性の向上と振動の減衰特性を高める「構造用接着剤」。そして、結合力を向上させた「高剛性ガラス接着剤」を採用しています。また、アルミニウムや高張力鋼板、ホットスタンプ材を効果的に使用することで軽量化も実現しました。
さらにF SPORTなどでは減衰力可変ダンバー(AVS)を標準装備。ナビから受信した車両前方のコーナー情報をもとに、前方コーナーで発生する横加速度を推定し、操舵タイミングに合わせてショックアブソーバーの減衰力を最適に制御し、優れた乗り心地と走行安定性を実現しています。このAVSはサーキット走行でもその効果を存分に発揮します。
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