レクサスRC F 注目の装備

サーキット走行でのパフォーマンスを優先して開発されたRC Fには、多くの専用装備が用意される。高出力のV8エンジンや意のままのハンドリングを実現する電子制御など、走りの楽しさを演出する先進テクノロジーが惜しげもなく盛り込まれている。

新開発5リットルV8自然吸気エンジン

RC Fは、最近では珍しくなった大排気量の自然吸気エンジンを搭載する。ベースとなったのはIS Fのものだが、シリンダーブロック以外はほとんどが新設計となった。

可動部品の軽量化などにより高回転化、高出力化が図られている。最高回転数は6800r.p.m.から7300r.p.m.に上昇し、圧縮比も11.8から12.3に高められた。それによって最高出力は54PS向上して477PSとなった。

巡航速度時に作動するアトキンソンサイクルを採用してポンピングロス低減と熱効率の増大を図り、燃費性能も優れたものになった。デュアルインジェクションシステムの噴射圧を18Mpaに高めたことも、高出力と低燃費を高いレベルで両立させることに貢献している。

TVD

FR車としては世界初採用となったのが、TVD(Torque Vectoring Differential)だ。左右の後輪の駆動力を電子制御することによって、理想的な車両挙動を実現するシステムである。

ターンイン時にはステアリング操作に合わせて旋回方向にヨーモーメントを発生させ、旋回時には適切な車両姿勢をコントロールする。コーナーを立ち上がるときには、高いトラクションを与えて素早く直線加速に移るのを支援する。運転スキルにかかわらず、RC Fのポテンシャルを引き出せるようにするための機能である。

TVDには制御モードが3種類用意されており、システムの介入度合いの高い順にSLALOM、STANDARD、CIRCUITとなっている。

ABS、TRC、TRCを統合制御するVDIMも、TVDと連動して車両性能を高める。ドライブモードセレクトのモードに連動してNORMALモードとSPORTモードが設定されるほか、最低限のスピン回避機能のみを働かせるEXPERTモードが新設された。

高剛性ボディ

IS Cの強固なロッカーパネルを利用したRCのシャシーは高い剛性を持っているが、RC Fではさらに強化している。アンダーボディの左右を連結するフロントロアブレースを採用し、リヤサスペンションの取り付け部にもブレースを追加した。リヤパーテーションブレースも取り付けたため、後席の可倒システムは装備されない。

さらに、レーザースクリューウェルディングの全面採用やボディ接着剤の使用により、IS比で剛性50%アップを実現。ステアリングレスポンスやロールフィールの向上を図った。

アクティブリヤウィング

RC FはLFA譲りのエアロダイナミクスの考え方を取り入れており、高速走行時に車体の上下を流れる空気を利用した操縦性の向上を図っている。車体底部にはエアロダイナミックアンダーカバーを用いてフラット構造を実現し、エアロスタビライジングフィンを配置することで安定性を高めている。

フードの上とフェンダーサイドにはエアアウトレットが設けられており、エンジンコンパートメント内の空気を排出させて車体後方へスムーズに流す。前後のフェンダーライナーは、タイヤによる気流の乱れを外側に誘導する役割を持つ。

リヤエンドにはアクティブリヤウィングが装備され、ダウンフォースを強化する。80km/hで動作し、40km/h未満に速度が落ちると自動格納される。手動での操作も可能だ。

ハイバックスポーツシート

ISから採用された表皮一体発泡成形のシートはRCすべてに装備されるが、RC Fには専用のハイバックスポーツシートが採用されている。アスリートが着るボディスーツをモチーフにデザインされたもので、ヘッドレストが一体となったデザインである。

有機的なフォルムはいかにもホールドがよさそうで、安定した体圧分布でショルダー、ランバー、ヒップの各部位をサポートする。丁寧に施されたステッチは造形上の要求に応えただけでなく、骨格や筋肉の流れに沿ったパターンになっている。3次元的に変化する体のラインと一体になり、優れたホールド性を発揮する。