新年度 …TBS安東弘樹アナウンサー連載コラム
桜が満開を迎えつつある、この季節、間もなく新年度が始まります。
私にとって今回の新年度は特別なものになります。27年間の会社員生活に別れを告げ、初めてフリーランスという立場で迎える新年度となるからです。27年前の新社会人になった時と、まるで同じ心境です。
私は学生時代から、実質的に家族を養ってきましたので、普通の人より少し早めに社会人になったつもりでしたが、やはり学生という立場ではなくなり、正式に会社に入った時には、期待と不安で胸が一杯になったものでした。27年前の、その時の気持ちはハッキリと覚えていますので、今の心境が、その時と酷似しているのが良く分かります。
とにかく、これまで経験した事が無い世界に入る喜びと不安。しかも今回の私の状況は、学生から社会人になった時と違い、自分の意志で新しい世界に踏み出す事になるので、将来、後悔するのではないか、という不安が無い訳ではありません。退社まで一か月を切った辺りから、武者震いなのか、恐怖なのか分からない震えがくる時があります。でも、もう後戻りは出来ません。家族と共に前を向いて頑張っていきたいと思います。
そして、新年度と言えば、モータースポーツも各競技で新しいシーズンを迎えます。WRC、インディーカーシリーズ等、既に始まっているモータースポーツカテゴリーもありますが、F1や、日本のレースシリーズも、これから、いよいよ始動です。プロ野球が始まる時、球春到来などと表現されますが、さながら車春到来、もしくは輪春到来、といったところでしょうか?
この原稿を書いているのはF1の開幕戦、オーストラリアGPの予選終了直後で、ルイス・ハミルトン選手が、通算73回目、オーストラリアGPでは5年連続、7回目のポールポジションを獲得しました。
今年も圧倒的にメルセデスが速そうですが、これから1年間の戦いがいよいよ始まります。ハードディスクの容量を気にしなければならないシーズンが始まる、という事でもあります(笑)。そして私にとっては、モータースポーツを日本で人気スポーツにする為の戦いが始まる新年度になる、と思っています。
TBSはキー局の中で唯一、モータースポーツの中継や番組が、BSやCSも含めて、一切無い局でしたので、これまではモータースポーツ関係の仕事をしたくても、全く機会が無い状況でした。ですから、その分、これからは積極的に参加して、出来るだけ、その魅力を伝えていける様に尽力していきたいと思っています。
日本では今、モータースポーツファンというのが、“殆どいない”という訳ではないのですが、少数の好きな人と多くの全く興味が無い人に分かれてしまっていて、例えばサッカーの様に、普段、Jリーグはそんなに観ないけどW杯だけは観る、とか、カーリングはルールは良く知らないけどオリンピックでは応援する、といった“にわかファン”という人すら存在しない、という状況です。
バブル期は、他のレースは特に観ないけどF1だけは観る、という人が多かったと記憶していますが、今や、所謂、クルマ好き、や一部のマニアだけがF1を含めた様々なモータースポーツを観るが、それ以外の人は、文字通り「全く観ない」という状況だと言って良いのではないでしょうか…。
これまで、何度かその理由についても言及してきましたが、これからは分析だけしているのではなく、いよいよ行動に移さなければならないと考えています。その為にも、これからフリーランスのアナウンサーとしての活動を出来るだけ頑張って、より多くの方に私自身を認知して頂ける様になり、クルマの魅力やモータースポーツの楽しさを伝えていきたいと思っています。
そこで私が考えているのが、取っ掛かりとして、騒音(クルマ好きにとっては快感でも、興味の無い人にはエンジン車の排気音は騒音としか感じられない)や排気ガスが出ないフォーミュラEを、東京や名古屋、大阪といった大都市圏で開催し、多くの人に、目の前で繰り広げられるフォーミュラーカーのレースを観てもらう。というものです。
レース観戦の経験が無い人がサーキットに行って初めてレースを観た時、まず驚くのが、マシンが発する、その音だと思います。
以前は、その音に痺れてモータースポーツにハマっていく人も多かったのですが、今はそういう時代ではありません。実際に私の次男は初めてスーパーGTを観に行った時、その音に恐怖を感じてしまい、「二度とレースには行きたくない」と言い、実際にその後、何であれ絶対にレース観戦に行ってくれません…。
大人でも恐怖は感じなくとも環境に対する意識も変わってきたこの時代、爆音や排気ガスの臭いなどは、環境負荷のイメージとなり、嫌悪されるのは仕方がありません。
ですから、まずは、静かで排気ガスの臭いが無いのに、時速200キロで走るマシン同士のバトルの臨場感を肌で受けとってもらい、目から鱗を落としてもらって“レース”の醍醐味を楽しんで頂きたいのです。そして、レースに対する嫌悪感を無くしてから、現状では、EVより速い、内燃機関のエンジンによる、レースにも興味を持ってもらう、という順番が、最も効率的だと思っています。
モータースポーツの普及の為にも、早くフォーミュラEを日本で開催し、出来ればパーマネントでシリーズのカレンダーに入り、毎年、日本にやってくる様になれば、必ずやフォーミュラEファン、更にはモータースポーツファンが次第に増えていくと確信しています。
その時は、全力で宣伝等の後押しをさせて頂きたいと思っています。
唯、そう私が思っていても、宣伝をさせて頂けるような存在になっていないと意味がありませんので、そこは自分へ課す宿題のつもりで、今後、精進していく所存です。
実は私、そもそも“アナウンサー”という仕事が好きなのか、そうでないのか。向いているのか、いないのか。これまで散々、迷ってきました。
しかし、これまでアナウンサーとしての「目標」というのが特に無かった私は、今後は、まず生活していけるようになるのが大前提ですが(笑)クルマの楽しさや、モータースポーツの普及、という大きな目標を得て、いよいよ迷わず、仕事に突き進んでいきたいと思っています。
皆様、新年度以降は“TBSアナウンサー”ではなくなる、安東弘樹を、何卒、宜しくお願い申し上げます!
[ガズ―編集部]
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