私にはディーゼルエンジン あなたには?…安東弘樹連載コラム
先日、自分のクルマで、千葉市から大分県まで行ってまいりました。
仕事もあったのですが、前後のスケジュールに余裕があった為、これはチャンスと思い、念願のクルマでの九州出張と相成ったのです。
そして今回のテーマは、自分のクルマは九州まで無給油で辿り着けるか、ということにしました。およそ1200キロの行程で、計算してみると、ギリギリ給油なしで到達できるはずですが、途中で渋滞や不測の事態に見舞われれば、無理かもしれず、ある意味チャレンジでした。
ですから、できるだけ燃費に良い走り方をしようと思いましたが、実際に走り始めると、楽しさが勝ってしまい、結局、いつもと変わらない運転となってしまいました(笑)。
13時までのレギュラー番組の生放送を終え、千葉市のラジオ局を出発し、首都高速道路経由で、まずは東名高速道路に入ります。あいかわらず、東名高速、新東名高速道路は、以前もコラムに書きましたが、追い越し車線に、制限速度を遥かに下回る、極めて遅いクルマが陣取っていたり、逆にそれにイラついて煽った挙句、走行車線から抜いていくクルマがあったりと、カオス状態でスムーズに走ることはできません。
それでも渋滞などはなく、その後は、順調に伊勢湾道路、新名神高速、山陽自動車道等を経由し、22時頃には広島に着いていました。その間、休憩は2回で、一回はトイレ休憩のみで二回目は食事もとり、3回目の休憩が広島です。
広島でトイレに行き、軽いストレッチ運動をして出発。とにかく私はクルマを降りた瞬間から「あー早く運転したい!」と思うので、休んでからクルマに乗り込む瞬間が大好きです。「また運転できる!」という喜びに包まれるのです。
夜の関門橋を渡り、九州に入って、目的地である大分県別府市に着いたのは午前3時頃でした。総走行距離1178キロ、およそ14時間弱の行程でした。そして何と、その距離をディーゼルエンジンの私のクルマは、完全無給油で走り切ったのです。
それどころか、燃料残量警告灯は点いていたものの、トリップコンピューターは残りの航続距離を、103キロと表示していました。燃料タンク容量は66Lと、さほど大きいものではないので、平均燃費が19.2Km/Lという好燃費のおかげでの完全走破です。恐るべし、ディーゼルエンジンです。
ちなみに、到着してクルマを降りるとき、以前、東京から宮崎まで走った時と同じ気持ち「あー、まだクルマから出たくない」という気持ちになったことが自分でも笑えました。そして以前と大きく違うのが、給油の為に途中サービスエリアなどで停まらなくて良かった、ということです。
宮崎まで行ったのは20年ほど前のことなので、ハッキリとは覚えていないのですが、確か“給油の為だけに”2回は止まらなければならなかったと思います。自分が空腹でもなく、トイレにも行きたくないのに、クルマを停めなければならないことに、もどかしさを感じた記憶があります。
以前のクルマは、ガソリンエンジンのスポーツカーでしたので、燃費があまり良くなかった為、今回との差が如実にでました。燃費が良いということは、すなわち、二酸化炭素の排出が少ない、ということですので、以前より遥かに今回の方が“エコ”に九州に到達したことになります。
しかし、今回の大分行きを周囲の方に話すと、まず、ほとんど、ノンストップで大分までクルマを一人で運転して行ったことに驚かれ、その次に、私が担当しているある番組のスタッフが、まるで私が話したいことを話す、きっかけ(業界風に言うと、キューを出す)をくれる様に、こう訊いてきました。
「え、それ、何回くらい給油するんですか?」私は、ここぞとばかり、ちょっと溜めて…「一回も給油しませんでした!」とまさに“ドヤ顔”で答えます。すると、私の希望通りの反応が返ってきました。「えー!そんなこと、あり得ます?!」そして、さらに予想通りの言葉が!「え、いわゆる、ハイブリッドカーか何かですか?!」
そして私、「いえ、残念ながら、今、売っているハイブリッドカーで、高速道路を使って九州まで無給油で行けるクルマはありませんよ。」すると、「え?じゃあどうやって行ったんですか?」とさらに訊かれたので、また溜めて…「ディーゼルエンジンなんです。私のクルマ。だから可能だったんです!」と答えると、まさにそこにいたスタッフ全員が、ポカンとして、「え、ディーゼルって燃費が良いんですか?」と驚きの声を上げました。
恐らくヨーロッパでは常識でしょうが、日本においては、まだこの反応が一般的なのだと思います。だからこそ、インパクトが与えられるので、おそらく、今日話したスタッフの脳裏にはディーゼルエンジンのポテンシャルが刻まれたのではないでしょうか。
もちろん、私はディーゼルだけが素晴らしいと言いたいのではありません。ただ、現状、私の様に長距離を走るドライバーにとっては、これ以上、二酸化炭素の排出が少ない動力減が存在しないのです。
日本に住む多くの方は、私の様に、クルマを毎日、長距離走ることがない為、“何となく”ハイブリッドやEVが環境に良いと思っているのだと思います。
EVで九州まで行くとなったら、高速道路が苦手なEVですから、恐らく5回、クルマによっては10回位の充電が必要で、その電気をつくる為の二酸化炭素まで考えると、その効率は、ディーゼルに敵うものではありません。なにしろ時間がかかって仕方がありません。
しかしディーゼルエンジンにも欠点があり、ガソリンエンジンより多いとされる窒素酸化物や排気微粒子などは人体に影響があると言われていますので、近年までディーゼル全盛だったヨーロッパでは、今、むしろディーゼルエンジンから離れていく傾向にあります。ディーゼルエンジンのクルマがヨーロッパでは多すぎたのが原因でした。
この様に、今は、それぞれのドライバーが自分の運転傾向に最も合った、効率的な動力源のクルマを選ぶことが大切なのだと思います。皆さんのクルマはご自分の使い方に合っていますか?
安東 弘樹
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