2020年WRCが日本に再びやってくる!…安東弘樹連載コラム

いや、実感が湧いてきました!

去る11月7日~10日、来年ついに、10年ぶりに開催される“WRCラリージャパン”のプレイベントとなる、『セントラルラリー愛知岐阜2019』が、愛知県の岡崎市、長久手市などで、行われました。

以前、このコラムでも書かせていただきましたが、私は、“WRCラリージャパン招致応援団員”をさせていただいておりますので、本当に来年のラリージャパン開催は感無量です。私個人としては、開催に向け、たいしたことはできなかったのですが、折に触れ、モータースポーツに興味の無い方々に、公道で競うラリーの魅力について、伝えてきたつもりではあります。

何しろ、日本では、モータースポーツは完全にマイナースポーツであり、その中でも、まだ“F1”は、名前を聞いただけで「自動車レース」をイメージできる方が多いでしょうが、“WRC”と聞いても、日本国民の70%位は「自動車の競技」であることすらイメージできなでしょう。

実際に、今、私が担当しているすべてのレギュラー番組(7本)のスタッフに「WRCって知ってますか?」と片っぱしから訊いてみた所、「ラリー」と答えられた人は、60人程の中で、わずか2人でした。少なくとも私の周りのテレビ・ラジオ業界の中での知名度は“皆無”と言って良いかもしれません。日本メーカー、TOYOTAのチームが参戦しているのに、とても残念です。

それだけに、来年のラリージャパンを、どれだけ盛り上げられるかに、日本国内におけるWRCの知名度アップの運命がかかっている気がします。そんな中で行われたセントラルラリーですので、一体、どれくらいの関心を集められるか、個人的にも非常に気になっていました。

私が携わったのは、9日は、岡崎市の公園で行われたSS(スペシャルステージ)の実況や、今回のセントラルラリー、特別ゲストの、2003年WRCチャンピオン、ペター・ソルベルグさん。1996年~1999年の4年連続チャンピオン、トミ・マキネンさんのトークショーの司会。

10日には、長久手市の公園で行われた、同じくお二人のトークショーの司会や、セントラルラリー全体の、セレモニアルフィニッシュの司会など、2日間に渡って、楽しく参加させていただきました。今回の来場者数は、4万人を超え、予想以上のお客さまに来ていただいたことが、とても嬉しかったです。

しかも、実際に、会場で様々な方と触れ合い、お話をうかがった所、ラリーを初めてご覧になる方も多く、そのほとんどの方が、興奮気味に「凄い迫力です!」「想像していたより楽しくて驚いた!」など、かなりポジティブな言葉を口にされていたので、嬉しいというより安心しました。モータースポーツに興味の無い方が、実際に公道を走るラリーカーを観て、どの様に感じるか、とても気になっていたからです。

今回のコースは、来年のラリージャパンで想定しているコースにかなり近いもので、日本では、これまで難しいと言われてきた、市街地のSSも含まれており、実は、反対意見も皆無では無かったと聞きました。やはり、騒音や事故のリスクなども無いとは言えないため、ネガティブな意見が出るのも理解できます。

しかし、開催後には、ポジティブな意見が大勢を占めたそうで、主催者は、手応えを掴んだと言っていました。何より来場していたお客さまの笑顔がそれを証明していたのではないでしょうか。

ただ、私自身が参加してみて、まだまだ、運営面で足りない所も無いとは言えず、課題も見えてきました。SSによっては、モニターやスピーカーの設備が無いため、現在のラリーの状況が全く分からないことも多く、何より運営スタッフの人数が足りず、案内や情報の周知が十分でない場面も多かったようです。

今回、参戦したマシンの中で、トップカテゴリーのWRカーは、勝田貴元選手の「トヨタ・ヤリスWRC」の1台だけで、様々なSSで圧巻の走りを見せ、見事に総合優勝に輝きました!しかし、来年の本番は、そのレベルのスピードのマシンが数多く走り、しかも、全車本気での戦いになる状況で、今回のコースでの安全確保は万全なのかなど、未知の部分も多々あります。

もし、来年の本番で、怪我人が出てしまったら、日本の場合、その次の年に開催できるか分かりません。自己責任意識が根付いている、諸外国と違い、日本では、責任が主催者に問われる傾向があるので、継続開催のためには、まさに万全な準備が必要でしょう。

今回のセントラルラリーは、総合的には成功だったと言えると思います。多くの方にラリーを間近で観てもらい、迫力や魅力を知っていただいたことは確かです。でも、まだまだ、ごく一部の人に、魅力を届けられただけで、日本全体にラリーというものを知ってもらえた訳ではありません。

東海地方の新聞では、1面で報じられたセントラルラリーの話題も、全国紙では、スポーツ面で小さい記事が載っただけで、WRCの名前を、多くの方は聞いたことも無い状況に変わりはないのです。ですから、来年11月のラリージャパンの開催まで、私は様々なメディアを通して、何とか、この世界で人気の選手権のことを知ってもらうために、力を尽くそうと思っています。

これまでも、自分が担当しているラジオのレギュラー番組二つでは、しつこいほど、WRCやラリージャパンについて伝えてきましたが、これからは、テレビでも何とか多くの人に伝えられたらと思っています。

実は今、ある全国ネットの夜の番組で、紹介できる機会があるかもしれないので、鋭意交渉中です。市販車に近いクルマや、“一見”市販車に見えるモンスターマシンが、住宅街や公園、市街地を疾走するラリーのことを一度、知っていただけたら、必ずや興味を持ってもらえるという自信はあります。

今年は、ラグビーW杯で盛り上がりましたし、来年は東京オリンピックという大イベントが控えています。でも、それが終わったら、日本全体が祭りのあとの様に、恐らくちょっと寂しくなるでしょう。だからこそ、そこで、世界では大人気のモータースポーツ、しかも日本メーカーTOYOTAが頑張っているWRCの出番だと思っています。

欲を言えば、日本人ドライバーが、選手権争いをしてくれているとありがたいのですが、今は、若い勝田貴元選手の活躍に期待しましょう!現状、最もWRC勝利に近いドライバーと言って良いと思いますので、来年のラリージャパンでの歓喜の瞬間も、夢物語ではないと信じています。

ラグビーW杯や、東京オリンピックの様に盛り上げるために、この場を借りてTOYOTAさんにお願いです。来年のラリージャパンまでの1年間、テレビCMなどを使っての、怒涛のプロモーションを展開してください!

日本人にクルマの魅力を再認識してもらえる最大のチャンスです!何しろ、来年発売される「ヤリス」が走るわけですから!カッコいいイメージを、視聴者、カスタマー予備軍に大いにアピールしませんか?WRCラリージャパンで「ヤリス」が勝利する姿を見せることができたら、爆発的に売れるのではないでしょうか?私だって優勝した姿を観たら、MTモデルの「ヤリス」を買ってしまうかもしれません!

多くのジャーナリストが、2019年は、初頭から、日本人ドライバーや日本メーカーが数多くのモータースポーツシーンで勝利を重ねているのに、ほとんど話題にもならないのは、あまりにプロモーションが少ないため、ということを主張しています。

私も全くの同感で、多額の予算を使って、苦労を重ね勝利しても、それを国内で知ってもらわなければ、報われないというものです。日本市場は縮小していくでしょうが、人口が1億人を割るにはもう少し時間がかかります。プロモーション次第では、まだまだ、一花咲かせられるのではないでしょうか!

私も個人的に頑張りますが、是非TOYOTAさん、お願いします!ラリージャパンの成功も、それにかかってますよ!

安東 弘樹

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