改正自動車税とETC…安東弘樹連載コラム

私を含めてクルマを所有している人にとって、憂鬱な時期になりましたね…。そう、自動車税の納付です。ちょうど、この原稿を書いている、今日、通知が届きました。

通知が来た皆さんは気付いたと思いますが、税額が大きく変わっていませんか?そう2019年10月1日の税制改正により自動車税額が大幅に変わったからです。

私の場合、去年との差に正直、驚きました。自動車取得税の話は省いて自動車税だけの話にさせていただききますが、クルマを買い替えたことも含めて私、個人では去年と比べて今年、納付する自動車税額は半分以下になりました。

2台分、合わせて去年は10万円強!今年は4万6000円です。

これは1台を排気量が違うクルマに買い替えた(3800 cc→1800 cc)ことも大きいのですが、もう1台の、去年と同じクルマ(排気量 2000cc)の税額が39,500円→10,000円に下がったことが、かなり効いています。この車への税額は4分の1になったということになります。

実際に私が乗っている2000 ccの日本で言う「クリーンディーゼル」のクルマは非常に燃費が良く、成果に対して真っ当な評価を貰ったような、ちょっと嬉しい気持ちになりました。

以前は排気量が同じだと燃費が極めて悪いクルマとも同じ税額でしたので、何となく府に落ちない気分で税金を納付していたのが正直なところでしたが、今回は、納得した上で納付に行けそうです。

しかし相変わらず、1台を大切に長く乗っている方(新車登録からガソリン車で13年超ディーゼル車で11年)にとっての重課税は継続するようで、そこは更なる改善を求めたいと個人的には思います。

今回の税改正は私としては、かなり「適正になった」と感じていますが、皆さんはいかがでしょうか?

さて逆に、未だにずっと疑問に思っているのが、都市高速道路や高速道路で運用されているETCについてです。元来、諸外国と比べても「法外」と言える通行料金ですが、それを徴取するETCのゲートが、わたしにとって、非合理、かつ危険だと思うからです。

今回は料金そのものではなく、あのゲートについている「バー」について私がかねて感じていた疑問についてお話させていただきます。

最近は新型コロナウィルスの影響で劇的に自宅に居る時間が増え、元々好きだったYouTubeを観ている時間が激増しました。そんな中、また新しい好きなYouTuberを見つけてしまい、その方が長い動画を数時間毎に上げるのでほぼ毎日、長い時間をかけてみています(笑)。

そのYouTuberは、アメリカで長距離トレーラーの運転手をされている方で実際の運行中の車窓の映像に合わせてリアルタイムでコメントをしていくという動画を中心に、休憩時間や洗車の模様まで動画を上げており、まるでアメリカのトラックドライバーの仕事に密着しているような気持ちにさせてくれます。

その映像が新鮮ですし、お話も上手なこともあってか、先ほどチェックしたら何と1か月余りで5万人以上のチャンネル登録を得ていました。

その中で特に私が注目しているのがアメリカの道路行政や実際の運用状況で、その方は、極めて公平に、客観的な評価をされているので、非常に参考になるのです。

そして私が驚いたのは以前から私がETCは、こうあるべきだ、思っていたシステムが既にアメリカでは導入されていた点でした。

アメリカでは日本でいうETCはEZ PASS、もしくはi-Passと言われるシステムが運用されており、クレジットカードを持っていればインターネットで簡単に登録することができます。その後郵送で専用の機器が届き、自分でクルマの指定の場所に張り付ければ、それで使えるようになります。この辺りも極めて簡単で如何にも“アメリカ”という感じですね。日本ですと皆さんも御存知かと思いますが、ちょっと複雑なので、多くの方はクルマを購入するときに販売店等に任せてしまっているのではないでしょうか。

そして驚いたのが、その動画で、そのYouTuberの方は「今ハイウェイの有料区間に入りましたが、これがイージーパスですね」とゲートも何も無いところを通過したのです。続けて「日本では、まだ全ての料金所にゲートとバーが付いているようですが、ここアメリカでは州によって、最近、道路上部にセンサーが付いていて、何もないところが増えてますね」と説明されていたのです。

さらに、説明は続き、万が一、機器がついていないクルマが通過したらナンバーを読み取っているので、後日、持ち主の登録されている住所に請求書がとどくのですが、少し割り増し料金になるそうです。

大きなトラックは加減速が大変なので、このシステムは非常に助かるとのことでした。

私がかねてETCは、そうあるべきだと思っていた、そのままのシステムでしたので、夜中に動画をみながら、思わず「そうこれで良いじゃん!」と叫んでしまいました。

そもそもETCというのは料金所で全てのクルマが停止することによる渋滞を無くし、運行をスムーズにすることが最大の目的で、かつ人件費を含む運用コストも下げることも視野に入っていると推測されます。

しかし現状、せっかくナンバーを読み取り、クレジットカードで決済するのにも関わらず1台通過する度に下がるバーの手前で時速20キロまで速度を落とさなければならず、渋滞の緩和という観点では利点は半減していると私は思います。

更に1台毎に下りてくるバーについては、事故を誘発しているとさえ私は感じています。

実際に私もクレジットカードの挿入が、しっかりとされていなかったせいで、ETCゲートのバーが上がらず、急停止させたことがありました。その時に後ろで大きな急ブレーキ音がしたので、停まった後にミラーを見たら、本当にギリギリのところで、小型トラックが止まっていました。

後ろのドライバーさんが何とか停まって下さったからよかったものの、もし少しでもブレーキが遅かったらと思うと、ゾッとしました。

そして何より、後続のドライバーの皆さんに申し訳なくて、一気に血の気が引きました。

確かにカードがちゃんと入っていなかったというのは、私の不注意でしょう。後続のクルマも20キロまで速度を落としていれば、急ブレーキをかけずに安全に停まれたかもしれません。

しかし、何回も繰り返しますが、20キロまで速度を落とさせること自体が、利点を半減させていますし、そもそも機械が絶対に壊れないと思えない私は、毎回ゲートを通過する度に「ちゃんと開くかどうか」緊張を強いられています。

実際にETCゲートでバーが開かずに停止した車に大型ダンプが追突した映像を見たことがありますが、それは目を覆いたくなるような惨劇になっていました。
アメリカ方式のETCであったら、起こらなかった事故であると断言できます。

ちなみにアメリカでも現在、日本と同じ方式のゲートもありますし、勿論、現金車用にも対応しています。しかし州によって徐々にゲートなしの方式に変わってきているようです。

実は去年、東京モーターショーで日本の高速道路を運営する各NEXCOの方々と仕事をさせていただく機会がありましたので、ETCに関して、持論を申し上げたのですが、NEXCOの方は「正直者が損をしないようにバーを設けています」とおっしゃっていました。

そこで、「99%の正直者の利便性と安全を考慮すれば、バーは必要ないのではないでしょうか?それに過失で機器が作動しなかった人は後日送られてきた請求書を無視するような人はいないと思いますし、無視するような人はバーを強行突破するような人ではありませんか?」と続けてうかがってみたのですが、苦笑いされてしまうだけでした(笑)。

後日、他の方にシステムについてうかがったところ、後日請求書を送る、というも可能だそうですが、コストがかかるとも言われました。しかし「総合的に考えた場合、全国全てのETCゲートをセンサーだけにした方が将来的にはコストはおさえられるのではないか」との質問には、答えは得られませんでした。

何よりこれだけ「安全第一」を標榜している日本で、ETCゲートでの危険について「ETC機器を正しく設置しカードも正しく差し込み、速度を20キロに落とせば問題ない」とだけ繰り返されても納得はできかねます。アメリカではフリーウェイという無料の高速道路も多く料金所自体も日本のように多くはないので、システムを変えることが比較的容易なのかもしれません。

さらに日本社会では、スピード感のある変革が苦手なのも理解できます。しかし身の危険を実際に感じたことがある私としては、日本も、より安全で快適な道に変わっていくことを願ってやみません。

安東 弘樹

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