WEC観戦で感動しました、モータースポーツ観戦が楽しいことを多くの方に知って欲しい…安東弘樹連載コラム
9月8~10日、富士スピードウェイでWEC(FIA世界耐久選手権)の第6戦富士6時間耐久レースが行われました。以前、このコラムでも書かせて頂きましたが、今年からワークス参戦のメーカーも増え、世界のモータースポーツファンから注目されている、レースです。
詳しい概要は、以前のコラムにも書かせて頂いたので、それを参照して頂きたいと思います。世界では確実に観客動員数も増えており、ここ日本でも注目されている影響で、チケットを取るのも苦労しました。
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前回は2017年に観戦したのですが、その時はレースの1か月前の段階でも、グランドスタンド1階の席はもちろん、少し値が張る4人が、ゆったりと座れるボックスシートも予約できる状況で、結局1階のグランドスタンドの席を予約しました。
しかし今回、レースのほぼ2ヶ月前の販売開始日に予約したのですが、ボックスシートは完売でグランドスタンド席も一階はかなり埋まっており、両隣の席が埋まっていると、途中でトイレに行く時なども一苦労ですので、まだ席に余裕があるグランドスタンド2階席を長男と二人分取ったのです。
6年前との違いを実感し、嬉しいような困るような複雑な心境で、決して安くはないチケットを長男と二人分、購入しました。後はレース当日を待つばかりです!しかし、チケットを購入した直後、何とWEC絡みの仕事が入ってきました。ある雑誌のweb媒体の仕事で、WECのLMP2クラスにワンメイクでタイヤを供給している「GOODYEAR」を取材し、それを記事にするというものです。
長男と二人、プライベートで観戦する予定でチケットも購入してしまいましたが、観戦しながらで取材は可能ということで、仕事を受けることにしました。
しかし蓋を開けてみると、やはり、「ながら取材」は無理そうでしたので、主な取材は写真撮影も含めて9日(土)の予選の時に集約し、決勝は基本的に観戦に集中させて頂けることになりました。
予選の時間に完全に被る形で、「GOODYEAR」の本国から来日した開発担当の2人のイギリス人技術者にインタビューをしたり、実際にLMP2クラスの各チームにタイヤを供給しているスタッフの作業風景の撮影、また私自身の取材風景の撮影やインタビューも含めて、9日(土)は予選をあまり観ることなく終わりました(笑)。
しかし、取材を通してタイヤメーカーの開発の苦労や想い、またタイヤメーカーから見るレースの過酷さやシビアな戦略などを知ることが出来て、たいへん勉強になり知見も拡がりました。改めて、その媒体様には感謝を申し上げたいです。
また、そのお陰で普段は入ることがない、VIP達が集うサーキットのラウンジ(各チームのピットの上にある部屋で常に飲み物や食事が用意されています)にも入ることが可能になり、その一端を知ることも出来ました。また、ラウンジでTOYOTAの佐藤社長にもお会い出来て、ガッチリと応援の握手をすることが出来たのも有り難かったです。
長男は「ラウンジは落ち着かない」と言って、元々我々が購入したチケットの席で終始、予選を観戦していましたが、その方が状況もよく分かるし臨場感があるので、席で観戦して良かった!と満足したようです。
そして予選の結果はTOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)7号車をドライブした小林可夢偉選手がポールポジション!
2位も8号車のハートレー選手が続き、ホームレース、見事にフロントロウ独占です。
取材で殆ど観戦出来なかった私に、長男が興奮して知らせてくれました。
雑誌のスタッフは、その日に帰京。決勝は私と長男は観戦だけ、と思いきや雑誌編集の方に、「ラウンジから真下にピット作業している所が見えるので、決勝レースの間、LMP2クラスのタイヤ交換時に「GOODYEAR」のタイヤが見える写真を1.2枚撮って、それを送って欲しい」と言われ、ラウンジにてその瞬間を待つことにしました。
耐久レースは一回目のピット作業まで1時間はありますが、急なタイヤ交換も有りますので、スタートから暫くはラウンジで待たなければなりません。長男を一人で自分の席で観戦させ(父親とレースについて話ながら二人で観戦したい、と言っていた長男には悪いことをしました)LMP2マシンのタイヤ交換の瞬間を待ち、無事に真上からの写真を撮り(我ながら臨場感のある写真を撮れました!)、急いで客席に戻ります。
仕事を終え、いよいよ応援状態に!
席に着いた時には、TGRとポルシェとのバトルの最中でした。スタートで出遅れたTGRの2台は、すぐに追い上げ、ポルシェの6号車と激しい首位争いを繰り広げていたのです。
今度こそ、完全に仕事を終え、観戦に集中できる状況になった私は、それまでの経緯を長男に詳しく聞き、いよいよ応援状態に入れました。
そして4時間を迎える直前に、まずは8号車がポルシェ6号車をオーバーテイク。首位に浮上。その後、最後のドライバーとして7号車に乗り込んだポールシッターの小林可夢偉選手が猛烈なペースで8号車を追い上げ、8号車が前を譲る形で7号車が首位に!
後は小林可夢偉選手がファステストラップを叩き出す等、後続との差を広げ、見事、ポール・トゥ・ウィンを飾りました。8号車も2位に入り、見事なホームレースでの、1・2フィニッシュ。更にはシリーズのマニュファクチャラーズタイトル獲得となったのです!
TGRとしては完璧な結果となりましたが、容易なレースではありませんでした。しかし今回は、TGRの「ワンチーム」としての結束を感じていましたので、勝利の予感は有りました。
レース前にTGRヨーロッパ副会長の中嶋一貴さんと話をしても、小林可夢偉代表(兼ドライバー)と顔を合わせ、ガッチリと握手をした際も、皆さんに自信がみなぎっていたのです。しかも、ただ自信がある、というだけではなく、「必ずやり遂げる」という確信のようなものを感じました。だからこそ、仕事をしながらの観戦でも安心していられたのだと思います。改めて、TGRの勝利とタイトル獲得にお祝いを申し上げます。
しかし、まだTGRの7号車、8号車のドライバーズタイトルは決まっていません!最終戦、バーレーンが11月2日から4日までで行われます。これは8時間レースですので、更にし烈な闘いになると想われます。ドライバーズチャンピオンは、誰になるのか。まだまだWECから目が離せません!
更なる工夫も必要
ただ、水を差す訳では有りませんが、少し気になったことも、お伝えしておきます。今回の観客数は三日間を通して5万4700人で、去年と比べて37%増と発表されました。しかし予選の日、少し予想よりも少ないイメージだったのです。天気が少し雨模様でしたので、仕方が無いと思っていたのですが、翌日の決勝の日…、天候には恵まれたのですが更に人数が少なく見えたのは気のせいでしょうか。
前述の通り、チケットはこれまでとは比べものにならない程、売れていたはずなのですが、当日、空いている席が目立ったことが不思議でなりません。もちろん耐久レースは、最初から最後まで座ってみているお客さんは少ないのも確かですが…。
そして、チケットの販売システムに関して、いつもレースを観戦する時に困惑することがあります。
ネットで購入した、今回レースの観戦券、パドックパス引換券、シートの指定券、駐車券、予約特典のポスター引換券が、バラバラに送られてくる上に、そのまま使えるチケットと、当日引き換えが必要なチケットの種類が違います。
前回も混乱しましたが今回も引換所で紙チケットを何枚も出し、この場所ではこのチケットが必要です。でも指定席券は、他の所で見せてください。と非常に複雑な、やりとりが必要でした。慣れてくれば良いのでしょうが、初めてモータースポーツを観戦する方が、それだけで嫌な気持ちになってしまわないか心配です。それでなくてもハードルが高いモータースポーツなのですから、もう少しデジタル化するか、1枚のチケットに全ての情報を集約するかの工夫が必要だと痛感しました。
出来るだけ多くの方にモータースポーツを楽しんで貰いたいという想いが強いだけに、今回の感動の結果を共有出来る様に更なる工夫も必要だと感じた観戦でした。
でも!TGRの皆さん、感動を本当にありがとうございました!
安東弘樹
(写真:安東弘樹、トヨタ自動車)
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