多くの感動を下さって、本当にありがとうございました!…安東弘樹連載コラム
今年のモータースポーツシーンが、殆ど終りました。
主な世界選手権、FIA F1(世界選手権)、FIA WEC(世界耐久選手権)、FIA WRC(世界ラリー選手権)それぞれメーカー、ドライバーのチャンピオンが決まっており、この原稿を書いている時点では、イベントとしてF1の最終戦、アブダビGPを残すのみとなっています。
その内、TOYOTA GAZOO Racing (以下TGR)が参戦したのはWECとWRCですが、その両方で、メーカーズタイトルとドライバーズタイトルを取りました!
WECの方はTGRがメーカーズタイトル5連覇。(LMP1時代からトップカテゴリーで)そしてドライバーズタイトルは、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレイ、平川亮、各選手が2連覇の偉業を達成しました。
まさに圧勝です。
WRCの方もTGRのメーカーズタイトル3連覇とトヨタGRヤリス・ラリー1を駆るカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組が2連覇を果たしました。
しかも昨年は、メーカーズタイトルを獲りながら、ホームのラリージャパンでは勝田貴元選手が3位ポディウムを獲得したものの、優勝は出来ず、少し残念な気持ちを残しシーズンを終えました。
しかし今年は、そのラリージャパンで、1,2,3,フィニッシュを決め完全王者になったのです。そう2023年もモータースポーツ、3大世界選手権の内、二つをTGRが制する事になりました。
F1もチームは日本メーカーではないものの、エンジンは現状、実質HONDAのものだとすると、何と全てのモータースポーツで多大なる成果を上げた事になります。
しかもWECもWRCも世界の主要メーカーが選手権から撤退をしたり規模を縮小している中、TGRが孤軍奮闘して、参戦し続けた事で選手権が維持出来た様な状況でした。
いわゆる、ワークスチームが少ない中(WECではTGRのみの時期も)必死に参加し続けた事で、WECでは去年からメーカーが戻って来ました。
今年はワークス参戦メーカーが増え、さらに来年、新規参戦するメーカーが出てきた事で、トップカテゴリーのメーカーは予想の範囲ですが、TOYOTA、ポルシェ、フェラーリ、プジョー、キャデラック(GM)、BMW、アルピーヌ、ランボルギーニの8社!
TGRが孤軍奮闘していた数年前には誰が予想していたでしょうか?!
これもトップカテゴリーで参戦し続けていたTGRのWECへの貢献の賜物だと言えるでしょう。
もう欧米メーカーはモータースポーツに興味を失っているのではないかと危惧していましたが、今年と来年、WECへの参戦メーカーが一気に増えたところを見ると、そうでもない事が分かります。
ライバルが増えた今年も、TGRはこれまで通りの強さを発揮してくれました。来年も、ぜひ王者の貫禄を見せて欲しいものです。
そしてWRCの方も2018年以降、2019年と2020年のHYUNDAIがチャンピオンになった以外は今年までTOYOTAが4回メーカーズチャンピオンになっていますので、ずっとTGRが選手権を牽引してきたと言っても過言ではありません。今はアジアの2メーカーが実質、チャンピオンを競っていますが、WRCの方もWEC並に賑やかになって欲しいと願っているのは私だけでは無いはずです。
これまでの事を考えれば日本のメーカーでもスバルや三菱。またヨーロッパメーカーでも、フランスのプジョーやシトロエン、イタリアのランチアや、参戦してすぐに一時代を築いたドイツのフォルクスワーゲン等も戻ってきてくれたら、これほど嬉しい事はありません。
フォルクスワーゲンはEVへのシフトをアピールしてモータースポーツからは撤退しましたが、実は3大モータースポーツもマシンは全て、モーターアシスト機構が付いた「ハイブリッド・マシン」であり、WRCでは燃料も理論上100%持続可能なものを採用しています。
現状、可能性はかなり低いとは思いますが、ぜひ、WRCに戻ってきてほしいものです。
ちなみに私はWEC第6戦、富士を長男と観戦。WRC第13戦ラリージャパンは仕事のスケジュールの影響で、SSの生での観戦は出来なかったものの最終日DAY4の最後のSSを豊田スタジアムのモニターでパブリック・ビューイングという形で観戦。
またセレモニアル・フィニッシュ(ラリー直後とは別の、改めての選手やメーカーへの表彰式)を目の前で「生で」楽しみました。愛知県での滞在は1日のみで、その日の内に自分のクルマを運転して帰京…。
レギュラー番組もあり、中々、週末のスケジュールを2日以上、空ける事は難しい為、存分には楽しめないのですが、いつものネットでチケットを購入。決して安くはないのですが、1年に数度の日本で行われる世界選手権ですので、体力的にも経済的にも頑張っています。
モータースポーツが日本でメジャーになる方法を解明していきたい
WECではTOYOTAや平川選手が王者であり、WRCでもTOYOTAが連覇している、というのに日本では何故、モータースポーツの世界選手権がこんなにも注目されないのでしょうか。
確かにチケットは完売するのですが、日本の中でも「一部の」熱狂的なモータースポーツファンが購入はしているものの、どうしても私の周囲で、モータースポーツの事が話題に上る事はありません。
勿論、ヨーロッパや今ではアメリカでもF1の人気はモータースポーツの中でも突出しており、WECやWRCは、そこまでではありません。
しかし、ここ数年の日本メーカーや日本人選手の活躍は目を見張るものがあり、ナショナリズムが理由でのみ、応援してくれても良いのではないかとさえ思います。
メディアでの露出が少ないからなのか、視聴率やネットでの接触率が少ないから露出が増えないのか、卵とニワトリ論になってしまいますが、何とか今後、私の人生を掛けて?モータースポーツが日本でメジャーになる方法を解明していきたいと思っています。
それにしても大手メディアの中で、特に私の古巣、TBSは現在、モータースポーツコンテンツが皆無という状況なのが残念でなりません…。いつも知り合いの何人かのプロデューサーには、嫌みのようにアピールしているのですが、全く実を結びません(笑)。己の力不足を痛感します。
以前、ロケでイギリスやフランスを訪れた際、モータースポーツやクルマと関係ない女性向け雑誌の表紙に、レーシングドライバーの顔が載っていたのを見たり、たまたま観たフィンランドを紹介するテレビ番組で現地の本屋さんが映り、F1ドライバーのバルテリ・ボッタス夫妻の写真が大きく紹介されていたのを見たりすると、つくづく、ヨーロッパでのモータースポーツ人気が羨ましくなります。
バブル真っ盛りの時期、日本でもモータースポーツは確かに人気がありました。1990年の私の就職活動の時期には、F1は勿論、ラリーレイドの「パリダカ」ですら就活中の大学生の話題になっていたのを思い出します。
そう日本でモータースポーツが人気になる、ポテンシャルは十分にあるはず。ここは、日本のモータースポーツ人気が根付くまで、TGRには頑張って頂きましょう!
何はともあれ、TGRの皆さん、今年1年、数々のタイトル獲得、おめでとうございます!
そして、我々ファンに、多くの感動を下さって、本当にありがとうございました!
来年も引き続き、応援させて頂きます!
安東弘樹
安東弘樹連載コラム
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