今回私が選んだクルマ(日本カー・オブ・ザ・イヤー2023-2024)…安東弘樹連載コラム
過日、(12月7日)日本カー・オブ・ザ・イヤー2023-2024が決まり発表されました。
2022年11月1日~2023年10月31日に発売(発表)されたクルマ、フルモデルチェンジされたクルマの中から、今年を代表する一台を決めるCOTY。
60人の選考委員が投票によって点数を付け、最も得点を得たクルマが今年のCOTYに輝きます。
ノミネートされた34台のうちの10台(10ベストカー)は既に11月に発表されており、その中から我々、選考委員は、あらためて投票をしてCOTYを決める方式ですが、今年から、その得票方法が変わりました。
これまでは25点の持ち点のうち、10点をCOTYに該当するクルマに付与し残りの15点を、その他の最大4台に振り分ける、という方式でした。
今年からはCOTYに相応しいクルマを1位2位3位、と順位で選び、自動的に1位のクルマには10点、2位のクルマには4点、3位のクルマには2点が与えられます。
各選考委員が選んだ3台の得点を足して、最も点数の多かったクルマがCOTYに選ばれる訳です。
あらためて、既に選ばれている10ベストカーを紹介しましょう。
SUBARU クロストレック
トヨタ アルファード/ヴェルファイア
トヨタ プリウス
日産 セレナ
ホンダ ZR-V
三菱 デリカミニ
アバルト 500e
BMW X1
マセラティ グレカーレ
フォルクスワーゲン ID.4
の10台です。(※記載はノミネート順です。)
この中から選考委員は前述の3台と、部門賞のデザイン・カー・オブ・ザ・イヤーとテクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーのクルマを選びます。
そして日本メーカーのクルマがCOTYになった場合、輸入車の中で最も得票の高かったクルマが、インポート・カー・オブ・ザ・イヤーとなります。
個人的には、インポート・カー・オブ・ザ・イヤーという枠が必要かどうか疑問に思ったこともありますが、日本市場は輸入車のシェアが10%と低いため、やはり必要なのかもしれません。
ちなみに、Kカーオブ・ザ・イヤー、(軽自動車部門のCOTY)とパフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤーは無くなりました。
そんな状況の中、この度、見事にCOTY 2023-2024に輝いたのは、TOYOTAのプリウスでした。
正直、今回は「今年はプリウスだろう」という空気にはなっていましたが、予想以上の大差でプリウスに得票が集まり、その強さを見せつけた形になったのです。
発表の方法は、アトランダムの順番で1人1人選考委員の投票内容がスクリーンに映し出され、それを司会のサッシャさんと、おぎやはぎのお二人が読み上げつつ、イジっていく(笑)形式。
実は私、発表の当日、最終選考会には出席していたのですが、会の後にレギュラー番組の生放送があり、60人中、50人の選考委員の投票結果が発表された所で会場を後にしました。
まだ10人の開票が残っていましたが、その段階でほぼ決まっていたので、安心して?現場に向かったのです。
現場に着き暫くして、スマホで確認したところ、「プリウスがCOTY受賞」というニュースが見つかりました。
ちなみに私はHONDA ZR-Vを1位、TOYOTAプリウスを2位、BMW X1を3位に選出していましたので、今年も自分がCOTYに選んだクルマが実際のCOTYに輝く事はありませんでした…。
これで私は2017年に選考委員になって以来、7年連続で実際にCOTYに選ばれたクルマを選ばなかった事になります(笑)。
他の選考委員と目線が違うのか、クルマの事を分かっていないのか(そう思いたくはないですが)色々と原因はあると思いますが、最近はむしろ「独自性がある」と誇りに思う?事にしています…。
私が選んだ日本カー・オブ・ザ・イヤー
私がZR-Vを選んだ理由を詳しく書きますと。
HONDAのe:HEVは低速から高速までの全域をモーターで駆動し、高速クルーズ時ではエンジンのみで駆動するシステムです。2日間、お借りして乗った際、その静粛性、動力性能、装備、内装の質感によって、極めて快適なドライブを楽しめました。
高速道路8割、一般道2割の走行で、エンジン走行のみになる高速クルーズの割合が高かったにもかかわらず、燃費は18.5km/Lを記録。これは少し条件が異なりますが、以前試乗した際のプリウスの燃費と、ほぼ同じでした。
勿論、カタログ上はプリウスの方が燃費性能は高い事になっています。ただ同じような一般道と高速道路を走っても、その時々で走行条件が変わってくるとこの様な結果になることもあるんです。
なお、私が試乗したプリウスは19インチの大径ホイール、タイヤを履いたモデルで、17インチ仕様ですと、かなり燃費は良くなるそうです。デザインを取るか(好みによりますが)燃費性能を取るか、でプリウスは変わってくるかもしれません。
※編集部注) ZR-Vとプリウスの走行条件が異なっていたため一部修正いたしました。
ZR-Vはモーター領域の低速時には静かでスムーズな加速。高速巡航時のエンジン領域も音がうるさいという印象もなく、常にキャビン内は平穏な状態で疲労が少なかったのです。
そして内装の手が触れる部分はソフトパッドで覆われ、終始、心地よい空間に包まれている感覚でした。重ねて私が乗ったクルマはマルーンと名付けられたワインレッドとブラウンの中間の様な色で非常に大人っぽいイメージの内装。
プリウスは黒の内装色が基本で、シックな雰囲気はあまり感じられなかったのは確かです。手に触れる部分が基本プラスチック素材で、冷たい感触でした。
他の選考委員やジャーナリストの方が、あまり触れない所での勝負では、ZR-Vには前席だけでは無く後席にもシートヒーターが装備されるのに対して、プリウスは後席にシートヒーターが付かない代わりに前席に、ヒーターだけではなく、ベンチレーターが付く、という1勝1敗の五分の勝敗を紹介しておきます。
他の選考委員やジャーナリストの方は、あまり装備内容は重視しないのか、試乗会に行って、この様な装備について私が細かく指摘すると、大抵は「初めて指摘されました」という反応が返ってきます。皆さんは細かい装備、気になりませんか?私はユーザーとして、とても気になります(笑)。
猛暑が続く日本ではシートベンチレーターは非常に有り難いですし、いつも後席に座る冷え性の妻は、後席にシートヒーターが無いと寂しそうにしますので、メーカーさんには「贅沢を言えば」その両方を装備して頂くと有り難い、と伝えておきます。
そういった理由も含めて、1位ZR-V、2位プリウスの配点になりました。
3位のBMW X1に関しては、ガソリン、ディーゼル、BEV(電気自動車)の3つのパワーユニットを補助金も考慮すると、ほぼ同じ価格で用意し、どれを選んでも満足できる動力性能や燃費性能を発揮し、安全装備、快適装備も抜かりなく、更に日本の道路事情でも持て余す事のないサイズである事も評価した要因です。
ただ!クドい様ですが、シートベンチレーターの設定が無いのが残念!BMWのインポーターの皆さん、是非、本国へのアピールをお願いします!
そして部門賞、デザイン・カー・オブ・ザ・イヤーには大きくデザインが変革したプリウスを選んだのですが、もう一つの部門賞、テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーは「棄権」させて頂きました。
テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーを実際に受賞したのは日産セレナで、私も悩んだのですが、今回の10ベストカーの中には、革新的な新技術、というのが見当たらず、これまでの技術を磨き込んだ、というクルマが多かったので、「該当無し」とさせて頂いたのです。
COTYのサイトによるとセレナの受賞理由の中に「プロパイロット2.0を最上級グレードに採用」とありますが、この最上級グレードに、という部分が個人的には若干、引っ掛かりました。このグレードは500万円弱のもので、実際にこのグレードを選ぶユーザーは1割程度ですので、高速道路で同一車線をハンズフリーで走行出来る、この機能の恩恵を受けられるのは、かなり限られたユーザーになります。
「オプションでも構わないので、全グレードで選べる様にはなりませんか?」とメーカーの方に申し上げた所、明確な御返事は頂けませんでした(笑)。私には、どうしても理由が分からないのと、既存の技術の採用、という事で、結局「棄権」させて頂いた、という訳です。
デザイン・カー・オブ・ザ・イヤーは三菱のデリカミニが受賞。
このデリカミニ、ベースになる、ekクロス スペースの3倍の販売台数を記録し、デザインが商品性の高さに直結する大切な要素である事を証明した、という受賞理由には私も納得しました。
さて、皆さんは、今回のCOTY、どのように感じられたでしょうか?
動画投稿サイトの普及により、現在のCOTYは以前のように、バイヤーズ・ガイドの役割を果たす事はなくなって来たと思いますが、後世に、この年に専門家は、このクルマをCOTYに選んだ、と伝える役割は、まだまだ残っていると思います。
毎回、COTYが発表される度に、様々な意見が寄せられるのは承知していますが、今後も温かく見守って頂ければ幸いです。
そしてプリウスの関係者の皆様、誠におめでとうございます!
安東弘樹
安東弘樹連載コラム
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